『逃げ上手の若君』(第169話 百花繚乱1338) 感想
なんとか尊氏は追い出したものの、状況はまったく変わっていない。 顕家は瀕死状態だし、奥州武士たちは顕家を見捨てて逃げるという選択ができない。 「戦う気を無くさせる術はないか」と顕家も困っているが、ここまで戦う気にさせたのは顕家なので、どうにもならんだろう。 顕家のそばにずっといる松姫は、元々は旅芸人か。 そういう身分の娘でも「花ではないか」と称えそばに置いてたのね。 松姫は声が出せないのね。 まったくしゃべらないので、無口なのか、地元の言葉しかしゃべれなくて、時行たちには通じないから話さないのかな、とか思ってた。 南部の逆パターン的な。 思い余って無謀を承知で顕家を救いに行こうとした時行の元に飛んだ矢にくっついてたのは、顕家がいつもつけている髪飾り。 てか、ずっと髪飾りだと思ってたんだけど冠なの? 顕家の想いを受け取った時行は撤退を決意。 元から逃げろと言われてたのに、それに背いてでも、と動こうとしたら、胸をトンと叩かれるみたいにこの贈り物では、もう顕家の気持ちに従うしかないよなあ。 そして、最期に顕家が空に向けて射たのは鏑矢。 鏑矢は花を散らし、戦場を華やかに飾る。 「もっと咲け 甘えるな 御ぶちのめすぞ 花共」 ずっと「獣共」と呼んでた連中も含めて「花共」と呼ぶんだな。 踏みとどまっていた顕家軍の武将たちも退却するか……するしかないよな……。 結城の姿に泣ける日がくるとは……。 公家は勢力を完全に失うけど、文化を担う者として存在し続け、それが現在の日本文化の礎となる。 考えてみれば、武士が公家を滅ぼさなかったのって、なんかすごいな。 武士が公家を根絶やしにしようと思えば、めっちゃ簡単にできたんじゃないかと思うんだけど。 残して威光を借りることにメリットがあったからかな。 それとも、武士も公家の文化に心惹かれるものがあったのかな。 今、大河ドラマで扱ってる『源氏物語』とか、公家が滅ぼされてたら歴史から消え去っていたのかもしれない。 てか、歴史のどこかで消えちゃった文化もきっとあったんだろうね。 「父上 兄上 喪って泣くのは今日限りです」 ここに高時と邦時、頼重と顕家が描かれているのも泣く。 血のつながった父と兄も、導いてくれた父と兄も、時行は喪ってしまったんだな。 ところで、時行にとっては、まだ魅摩ちゃんは「友」なのね。 父親と共に顕家の最期を見た魅摩ちゃんは、こ...