『暗殺教室』第77話 呪いの時間 感想、もしくは、本当の「地獄」はどこにあるのか

そうか……E組から抜けたのは竹林くんか……。
沖縄編では、奥田ちゃんと一緒に、体調を崩したクラスメイトたちの看病をしてて、なんかずいぶんと落ち着いてる感じだなあ、と思ってたら、医者一家の息子だったか。


全校集会の時に、浅野くんが紙を差し出してたってことは、竹林くんのスピーチの文面は、浅野くんが書いたってことでよさそうだなあ。
なんとゆーか、スピーチがあまりにもテンプレなプロバガンダっぽくって、生徒たちが、これはどうリアクションするのが「正解」なの? 的に周囲の様子をうかがっている様子が、なんか薄気味悪いなあ、と。
でもって、真っ先に浅野くんが拍手して、「おかえり、竹林君」と言った途端に、「これは、全面的に歓迎しないといけないのね」と一斉に悟って、歓声をあげたところで、薄気味悪さマックスに……。

どんだけ見え透いた茶番劇でも、それを演出したのが浅野親子とはっきりしているのなら、それにはきっちり拍手を送ってやらねばならない、ということを、みんながちゃんと理解している、って感じがして、それが気持ち悪いなぁ、と。


ところで理事長先生は、夏休みにいつも頑張った生徒に接触してE組脱出を打診する、とか言ってたけど、E組からの脱出は絶望的に難しいという設定のはずだったから、前例はあるにはあったけど「いつも」ではなかったんじゃないのかなあ、とか思った。
あの理事長先生の言うことだしなあ。嘘ではないにしても、本当とも言いがたい、くらいのレベルの信用度。

しかし、理事長先生の言葉は、言葉だけでみれば実に立派な教育だ。
竹林くんはがんばった。その努力は報われ、彼の希望は叶えられた。
殺せんせーに反論の余地はない。


「僕にとっては、地球の終わりよりも百億よりも、家族に認められる方が大事なんだ」
竹林くんのこの価値観は、とても真っ当だ。
真っ当じゃないのは、いい成績をとらないと家族に認められない、という状況の方。

「親の鎖って…すごく痛い場所に巻きついてきて離れないの」
と、言った時の神崎ちゃんの表情には、あきらめが浮かんでいるようにみえた。
神崎ちゃんも同じように鎖に縛られていて、修学旅行前の神崎ちゃんだったら、理事長先生から同じような誘いがあったら飛びついていたかもしれない。
多分、今の神崎ちゃんは、少しずつ、自分で、鎖をほどいている状態なんだろう。
でもそれって、親と距離を置くということで、それはそれでさびしいことだ。

鎖を周囲が引っ張っても、本人の痛みが増すだけ。

竹林くんの鎖も、竹林くん自身が解くしかないということなんだろうなあ……。
竹林くんが心の底からA組昇格を喜んでいるのなら、このまま見送るしかないんだろうけど、そうも見えないんで、E組の生徒たちも対応に迷っている感じがする。

殺せんせーはなんかやる気っぽいけどね。