『逃げ上手の若君』(第228話 継承1317) 感想

今回は尊氏サイドのお話。
家時が自害してから当主と当主候補が三代続けて錯乱状態に陥っていた足利家。
直義と高兄弟がやたらと次男である高氏をけしかけてるのは、それだけの才覚を認めているからだと思ってたんだけど、足利のトップが次々と様子がおかしくなるのをみてたら、そりゃあ必死にもなるよな、と思った。
だって、このままだったら足利家のお先まっくらだ、って不安になるの当然じゃん。


周囲の期待は感じているけれど、一生食うには困らないだろう名家の、責任を負わずに済む次男坊という立場に満足して、のんびり自由に生きていたかった高氏。
ここらへん、時行と似たような感じなのね。

そして、ふたりとも兄の死により、たくさんのものを背負うルートから逃れられなくなってしまった。


自信満々で「何か」を引き受けた高氏。
でも結局はそれにのみこまれてしまい、弟と幼馴染みを死に追いやってしまった。
「中の神」がいなくなっても、何も取り戻せない。
それでも足利尊氏としての責任は果たそうとしたんだな。


決着をつけることを望んだのは時行だけじゃなかったか。
そして、それは時行への憎しみゆえではないような気がする。

時行も尊氏もこのままでは終われない、という想いを抱きつつ、どこか鬼ごっこをした昔をなつかしんでいるようで、少なくともネガティブな気持ちにとらわれている様子はない。
それはなんか、うれしいな。