『幽遊白書』最後のフルパワー!!の巻 感想
今週の心の叫び
やっと終わった…
不親切なあらすじ
戸愚呂のフルパワーと幽助のフルパワーがついに衝突した!
幽助のすぺてをかけた霊丸を戸愚呂は正面から受け止めたが、100%の力に肉体が耐えきれず、彼はとうとう自己崩壊をおこし倒れてしまった。
こうして、暗黒武術会の優勝は浦飯チームに決定したのだった。
100%と120%
戸愚呂は100%を超えようとして失敗した。
100%の力で闘うことができる相手を求め続けてきた彼は、幽助という敵に巡り合えることができた喜びに、有頂天になっていたようだった(実際、彼は限界を超える力を出したくてしようがなかったのかもしれない)。
いつでも背水の陣をしき、死にものぐるいで闘ってきた幽助と違って、戸愚呂は常に余力を残した闘いをしてきた。あるいは、幻海師範の若い時であったなら100%の相手をできたかもしれないが、さすがにそういうことにはならなかったようだ。
全力で闘うことの喜びを求めてしまうのは、闘いに生きるものたちの本質なのかもしれない。幽助はともかく、飛影ちやんにはその傾向が顕著である。
結局、戸愚呂は100%のパワーに肉体自身が耐えきれず、自己崩壊をしてしまったのだが、満足して死んでいったように感じられる。
結局、幻海師範と同じような時期に死んでしまったわけだから、妖怪に転生してまで得た寿命もあまり意味がなかったわけだ(不老という点では意味があったんだけどね)。
私は、もし戸愚呂が妖怪にならなかったら、どうなっていたのだろうかと考えてみた。
希望としては、幻海師範と一緒に山の中で、修行と妖怪退治に明け暮れる生活を送って欲しい。だけど、そんな二人に弟子人りなんかしたら大変だろうなあ。幻海師範一人に、あれだけ苦しい目にあわされていた幽助なのに、鬼教師が二人となった日には……(気の毒な幽助)。
だけど、もし戸愚呂と幻海師範が結婚して、子供でも生まれたあかつきには、大変なスパルタ教育が待っていそうな気がする……。案外、戸愚呂なんてかなりな子煩悩オヤジになるかもしれない。
はなしがそれてますね、元に戻しましょう。
とにかく、幽助はみずから、自分の中に戸愚呂に憧れている部分があったことを認めたけれど、戸愚呂の中にも幽助に憧れている部分が存在していたはずなんですね。
老いに対抗するために妖怪への転生を望み、いつまでも強くあれと願った彼も、結局、長い年月に耐えられず、自分よりも強い者に倒される時を待ち望んでいたんじやないかと思う。
だってね、自分か捨て去ったはずの“老い”から逃げずに、人間としての生にこだわり続けた幻海師範は、幽助という最高の弟子を得ることができたのに、自分は妖怪になっても何も得ることができなかった。強くなりすぎて命がけで闘うこともできなくなってしまい、“敵”すらも失ってしまった。
そんなわけで、戸愚呂は妖怪になっても、ちっともいいことはなかったように思う(兄貴のほうは妖怪としての生を楽しんでいたようだけど……)。
結局、戸愚呂は幻海師範の執念に負けてしまったのだ(女の恨みは恐いんだよ)。
私は冨樫先生が一番ごひいきにしていた戸愚呂というキャラクターか好きだった。
彼は最高の悪役だったと思う。
できればあの世で幻海師範と再会して、笑みを交わしあっていて欲しいものだ。
優勝商品の行方
ところで、幽助たちが優勝したのはよいが、いったい、なんでも望みをかなえてくれるという優勝のごほうぴはどうなってしまうのだろうか。
優勝賞品を出そうにも、運営委員はすべて戸愚呂に殺されてしまったし、たった一人、生き残った左京さんも、戸愚呂が負けた以上、生きてはいないだろう(彼には自分の命に執着している様子がまるでないから、姑息な手段を用いて生き延びるということはあり得ないと思う)。
飛影ちゃんの望みはすでにかなえられてしまったわけだが(だって、運営委員の皆殺しが願いだったんでしょ?)、一体、他の連中の望みはどうしてくれるんだろう。
きっと未払いってことになるんだろうなあ。
もったいない。
樹里さんと小兎ちゃん
今週の幽遊を読んでいての最大の謎は、樹里さんと小兎ちゃんがしっかりと生き残っていたことであった。
樹里さんも小兎ちゃんもかなり職業熱心な方だったから、あのような惨状にあっても、職務を放棄しなかった。だから、かなり戸愚呂に近い場所にいたはずなのだが、ちょっとヨロヨロしているだけでちゃんと生きているのだ。
してみると、あの二人はああ見えても結構、強い妖気を持っている妖怪なんだろうか。それとも、結界をはるのが得意なんだろうか。さもなければ、フェミニストなコエンマさまが、さりげなく蔵馬と一緒に“壁”の中に入れてあげていたのだろうか(案外、瑠架さんが影で結界を張っていたのかもしれない)。
ぜひ、真相が知りたい。
だけど、二人で声をあわせて幽助の勝利をコールする姿はうれしかったなあ。冨樫先生、かわいい二人を忘れないでくれてありがとう。