『幽遊白書』 「それぞれの明日!!」の巻 感想
今週の心の叫び
生きててよかったね
不親切なあらすじ
幽助は人間界への帰還を選択し、事件に関わった者達は、それぞれの日常を取り戻した。
けれど、皆がそれぞれの“道”を選び取る中……幽助だけが“道”を選ぶことができない。
幽助の行く末
「帰ろうぜ、人間界に」と言った時の幽助の表情がひどく印象的でした。
なんとゆ-か……この子が、こんなに穏やかな表情を見せたことってあった? って感じ。
すごくやさしくて、静かで、どこまでも澄みきったまなざしで、「帰ろう」と幽助は言う。
あの時、幽助が見ていたのは、懐かしい人間界の風景だったんだろうか、それとも、仙水が恋こがれた、幽助の父祖の地でもある魔界の風景だったんだろうか……そんなことをふと考えてしまいました。
いつもの幽助なら、「40時間もありゃ充分!」とか言って、ご先祖様を探して魔界中をかけずりまわりそうなもんだけどね。
幽助は幽助なりに疲れていて、休息を必要としていたのかもしれないし、自分が魔界にとどまると言えば、きっとついてきてくれるであろう桑原くんや蔵馬のことをおもんばかったのかもしれないし(飛影ちゃんは人間界に執着があるわけじゃないからかまわないでしょう)、下手して戻れなくなった場合のことを考えてしまったのかもしれない。
幽助は魔族に生まれ変わってしまったけれど、人間として生きてきた14年間は消えたわけではないし、本人も人間をやめたくてやめたわけではないものね。
温子母さんと一緒の家庭生活、蛍子ちゃんや桑原くんと一緒の学校生活……どれもこれも、しがみついてでも守りたいものだし、蔵馬には志保利母さん、桑原くんには静流姉さんや慕ってくれる桐島くんたちという、しがみついてでも守りたいものがある。
幽助にはそんな大事なものを捨てることなんてできないし、蔵馬や桑原くんに大事なものを捨てさせるなんてことも、もちろんできない。
そして、すべてのしがらみをすでに捨て去ってしまって、幽助についてきてくれたコエンマさまのことだってある。
幽助はきっと、誰も何も捨てることができない。
それでもいつか、誰か(何か)を捨てなければならなくなった時、幽助は大事なもののランクづけをしなくちゃいけなくなる。
何もかもを取る! なんてことが許されなくなるような事態が、いつかきっとやってくる……その時、幽助はどうするんだろうね。
幽助には人間としての幽助がちゃんと残っていて、けれど、やっぱり魔族としての幽助も確かに存在していて……魔族の幽助は、狭い人間界なんかにはとてもおさまらない強大な力を持っている。
力を押さえて生きていくことは、魔族の幽助にとって苦痛であるに違いない。
本来、誰よりも自由であったはずの幽助は、今、さまざまなものに縛りつけられて生きている。
そして、そんな縛りつけるものたちを幽助は振り払うことができない。それは、その“縛りつけるもの”=“命よりも大事なもの”であるという、どうしようもない二律背反がそこに存在しているからだ(酷な表現だけどね)。
“何も捨てない”と宣言した幽助か、何かを捨てることを決断する時……それこそが、幽助の人生の最大のターニングホイントなのかもしれない。
私はラストの幽助のつまんなそ-な顔を見てたら、なんだかすっごく悲しくなってきて、おもわず涙ぐんでしまいました。
タバコをくわえて、ひざを抱えて、うつろな目をしてる幽助なんて……見たくなかったですよ、私は(そういえば、タバコくわえてる幽助って、何年ぶり?)。
いつも、わきめもふらずに走っていた幽助か、今、“道”を選び取ることができなくて、岐路で立ち止まり、うずくまっている。
今まで幽助は、まわりのトラブルに巻き込まれるという形で動いていた。ある意味、幽助の意志は完全に無視されていた。
けれど、幽助はこれから、自分の意志だけで“道”を選択しなけれほいけない。
かわいそうだよね。幽助はまだたったの14歳なのに、“自分はどう生きるべきか”なんて命題を、目の前につきつけられてるんだものね。
だけど、桑原くんも蔵馬も飛影ちゃんも、温子母さんも蛍子ちゃんも、幽助が幽助らしく生きることだけを望んでいると思うよ。
“人間の幽助”らしくではなく、“魔族の幽助”らしくではなく、“強くて、たくましくて、どこまでも自分勝子でわがままで、誰よりも自由な幽助”らしく生きていって欲しいと思ってると思うよ。
だからね、そのためになら、皆、なんだってすると思うんだ。たとえ幽助に捨てられても、幽助の道をふさぐ者にだけはなりたくないに違いないから。
つらいことになるかもしれないけれど、幽助には幽助の意志だけで、幽助の“道”を選んで欲しいと思うし、もちろん、その“道”を桑原くんや蔵馬や飛影ちゃんが一緒に歩いててくれれば、最高にうれしい!(せめて、飛影ちゃんだけでも……ってのが本音かも(苦笑))。
そんなこんなで、つまらなそうな顔してる幽助に飛影ちゃんが斬りかかり、幽助を立ち上がらせようとする、まるっきり『頭を冷やせ!!』的な展開になればいいのに~、とあいもかわらず幽助×飛影なシーンを期待してしまった私って……やっぱりしつこいでしょうか?
ああ、それにしても……幽助はどこに行くのかなあ……。
コエンマさまの処遇
コエンマさまはこれから、どうするんですかね~……というか、あれからどうなったんですかね~(霊界に戻ったのか、はたまた霊界に戻ることさえできなかったのか)。
コエンマさまは、どんな罪も受けるといったけれど、実際、閻魔大王さまは息子をどうするつもりなんでしょうか?(オシリ百たたきで許して欲しいものですね)
だけど、幽助に「最善を尽くした」なんて言ってもらえたから、きっとそれだけで、コエンマさまは満足よね。
幽助はコエンマさまが初めて見せた弱い部分をちゃんとみつめて、仙水に対する深い愛情がとらせた無謀な行動を“最善”と評してくれたから、どんなつらいことにも、コエンマさまは耐えられると思うの(いっそのこと霊界を飛び出して、浦飯家に居候しませんか?(笑))。
それぞれの道
やたらとうれしいシーンが統出した、墓掘り7人組、その後について、書いてみましょう。
最初は刃霧くんね。
刃霧くんてば、生きてたのね。
やっぱり、妖怪が人間を殺した場合はいかなる理由があろうとも重罪に処す、ってのを飛影ちゃんも考えたのかしらね。
飛影ちゃんが刃霧くんを殺さなかった理由なんて、それ以外に思いつかないんですけど……(飛影ちゃんは、大事な幽助を殺そうとした刃霧くんに情けはかけないと思うわ!)。
だけど、刃霧くんてばこんな大変なことに、ヒマつぶしでつきあってたの?(そんなことだろうと、思ってはいだけどさ)
ところで、刃霧くんと一緒にいた女の子は、一体、誰?
私は妹さんと解釈しているんです。恋人だとは思えないなぁ。刃霧くんて、恋ができるような体質には見えないから(神谷医師もだ)。
だけど、この女の子って、たったこれだけの出番なのにすごい存在感があるわね。
霊能力めいたものまで使っちゃうし、刃霧くんもこの子にはやさしいみたいだし、言ってることがいちいち鋭い。
それにしても、あんな死にそうな目にあっても、刃霧くんはやっぱりこりずにテロリストなやつでしたね(笑)。
しかし、刃霧くんてば、毎月20万を5年以上も仕送りし続けるなんて(これに自分の生活費も加えると、月収40万ぐらいは必要なんじゃないかと……)、どうやって金を稼いでたんだ?(刃霧くんぐらいかっこよければ、お金をくれる裕福なお姉さんには困らないだろうけど(笑))
で、お次は神谷医師ね。
神谷医師も……あいかわらずで、ちょっとうれしいかも(笑)。
人類を滅ぼすという夢を断念した神谷医師は、今度は人類を馬鹿にして生きる、というやり方で、世間をわたっていくことにしたらしいです。
刃霧くんはわりとストレートにピュアに“悪の道”を生きているんだけど(刃霧くんの将来の夢は弁護士か犯罪者だそうですから、きっと彼は立派な犯罪者になったのでしょう(苦笑))、神谷医師はしたたかにしぶとく“悪の道”を歩んでいくような気がします(だって、私の中では、刃霧くんはどこまでも“少年”だけど、神谷医師はいつでも“大人”なんですもの)。
で、天沼くんね。
この子は多分、自分を“特別”扱いすることで、自分の存在を主張していたんだろうけど、周囲に目をむけることになってようやく、自分はちょっと頭がよくてゲームが上手なだけの“普通の子供”であるということに気づいたのね。
この子はまだ幼いから、トうウマも結構、簡単なことで解消されちゃったりするの(刃霧くんと神谷医師は、その点、年をとりすぎたのね)。
“特別”じやなくていい、“普通”で充分なんだから、このまますくすくと育って、いつか自分を殺した時の蔵馬の苦悩を理解できるようになって欲しいと思いますね。
で、御手洗くん。
御手洗くんは、本当にいい顔をするようになったなぁ。
いつも脅えたような目をしていた御手洗くんは、月人くんに向かって宣言したように、“強くなる”努力を怠らず、いつか強くて素敵な大人になって、桑原くんがさしのべてくれたようなやさしくて力強い、誰かを救うことができる手を特つことができるようになるんだよね。
“黒の章”の記憶は消しようがないだろうけど、それでも御手洗くんは、人間を信じて生きていけると思うの(そういえば、もうすぐ御手洗くんの誕生日なのね)。
そして、最後に巻原……。
この“魔界の扉攻防編”で、一番、幸せなのは樹さんと書いたけれど、一番、不幸なのは巻原だと断言しちやうわ、私!
なんて……なんて気の毒なやつ……。
永遠の理想郷
さて、仙水と樹さんですね(なせ、前項に入れなかったのかといえば、彼らにはもう“道”はないからである)。
あやしい……最後まであやしいぞ、この2人……(といっても、あやしいのは樹さんだけか)。
ああ、誰も入ってこれないであろう亜空間で、もう動かない仙水を抱いて、もう答えない仙水に淡々と話しかける樹さん……ううっ、こんなにけなげなやつだったのね。知らなかった)。
樹さんだけが仙水を見ることができる。樹さんはこれから、好きなだけ仙水を抱きしめることができる。誰も2人を引き離さない。誰も2人に干渉しない。いつまでもいつまでも2人っきり。
そして……仙水はこれからは永久に“忍”なの“カズヤ”でも“ミノル”でも“ナル”でもなく仙水は樹さんが一番、好きな“忍”であり続けるの。
これはもしかしたら、樹さんの理想の状況なのかも~、とか考えたら、ちょっとこわくなっちゃいました(私か深く考えすぎるのか?)。
結局、樹さんは死んだ仙水しか手に入れることができなかったのね。
10年以上も誰よりも近くにいたのに、仙水は死ななければ、樹さんだけのものになってあげなかったのね。
どうせ、生きてる時も樹さんだけを見てはいなかったんだから、生きてても死んでても、樹さんにとっては大差ないのね。
私は先号で書いたことに確信を抱いちゃいました。
絶対に樹さんは仙水に永久に片想い!
仙水と樹さんの純愛両想い路線の方から苦情が出ても、絶対に樹さんは片想いよ! こればっかりは曲げられないわ!(すっごい強気な発言)
だって、仙水ってば樹さんに痛みを訴えることさえしなかったっていうのよ(樹さんにとって、仙水とは“忍”のことなのである)。これって、10年以上も一緒にいる者に対して、すっごく失礼だと思うわ。最後まで仙水は樹さんに、弱みをみせなかったってことだからね(“ナル”に泣きつかれてもねえ……)。
だからね、やっぱり樹さんは仙水に片想いだったの(……しつこい)。
これから樹さんは1人っきりで、仙水との永遠の“理想郷”の中で生きていくのね。
さびしくてせつない“理想郷”だよね。
はじまりのおわり
飛影ちゃんはやっぱり、寝てる間に勝手に人間界に連れ戻されちゃったのね。
ちょっとすねてるけど、本気で怒ってるわけじゃないあたり、やっぱりこの子、幽助たちと一緒にいることができてうれしいんだね。
それにしても、飛影ちゃんが持っていたあのテープは、もしかして“黒の章”? 一体、どこからどうやって手に入れたわけ?
それでもまあ……幽助はちゃんと約束を守ったってわけね。偉い!
蔵馬も秀一くんに戻れて、本当によかったわ。
長く妖狐さまの姿でいると、人間を続けることが難しくなる、ってなことが『幽遊解体新書』に書いてあったから、ちょっと心配だったの。
それと、幽助の髪を私の希望通り蔵馬が切ってくれたのもすっごくうれしかった(笑)。静流姉さんが切ってくれるってのも考えたんだけどね。
やっぱり、幽助はこの髪型でなくっちゃ!
ああ、それにしても、どこまでも収拾がつかなくなるんじゃないかと、一時期、本気で心配した“魔界の扉攻防編”が本当に終わったんですね。
うれしいシーンもたくさんあった。哀しいシーンはもっとたくさんあった。いろんなことを考えさせられた。何回も泣かされた。とにかくエネルギーを消耗するシリーズだった。
そして、今回でようやく一段落。
皆はそれぞれに決着を着け、それぞれに新しい一歩を踏み出していく。
いろいろと問題は残されているけれど、私が心底、思ったのは、月人くんが生き返って、本当によかった。刃霧くんが生きてくれてて、本当にうれしかった。そしてそして……どんな姿になろうとも、幽助が生きているという現在の状況に、私は本当に満足している。
生きていてくれれば、それでいい。
これからいくらでも“道”が選べる。やり直すことができる。
だから、一抹の不安を覚えながらも、私はこの結末に満足している。
これはきっと“はじまりのおわり”で、これからまた幽助たちはひどいめにあって、また誰かが傷ついて泣くことになるんだろうけど……とりあえずは「冨樫先生、ご苦労さまでした。新シリーズを楽しみにしてます」と言いたいです。
余談ですが・・・…次号予告の『意外な訪問者』というのを見て、“訪問者”ってのは雪菜ちゃんのことね。きっとそうね。そうであって欲しいわ。
雪菜ちゃんにして! 冨樫先生、お願い! と叫んだのは私だけ?(飛影ちゃんと雪菜ちゃんの問題を、1日も早く片づけて欲しいのよ、私は!)
生きててよかったね
不親切なあらすじ
幽助は人間界への帰還を選択し、事件に関わった者達は、それぞれの日常を取り戻した。
けれど、皆がそれぞれの“道”を選び取る中……幽助だけが“道”を選ぶことができない。
幽助の行く末
「帰ろうぜ、人間界に」と言った時の幽助の表情がひどく印象的でした。
なんとゆ-か……この子が、こんなに穏やかな表情を見せたことってあった? って感じ。
すごくやさしくて、静かで、どこまでも澄みきったまなざしで、「帰ろう」と幽助は言う。
あの時、幽助が見ていたのは、懐かしい人間界の風景だったんだろうか、それとも、仙水が恋こがれた、幽助の父祖の地でもある魔界の風景だったんだろうか……そんなことをふと考えてしまいました。
いつもの幽助なら、「40時間もありゃ充分!」とか言って、ご先祖様を探して魔界中をかけずりまわりそうなもんだけどね。
幽助は幽助なりに疲れていて、休息を必要としていたのかもしれないし、自分が魔界にとどまると言えば、きっとついてきてくれるであろう桑原くんや蔵馬のことをおもんばかったのかもしれないし(飛影ちゃんは人間界に執着があるわけじゃないからかまわないでしょう)、下手して戻れなくなった場合のことを考えてしまったのかもしれない。
幽助は魔族に生まれ変わってしまったけれど、人間として生きてきた14年間は消えたわけではないし、本人も人間をやめたくてやめたわけではないものね。
温子母さんと一緒の家庭生活、蛍子ちゃんや桑原くんと一緒の学校生活……どれもこれも、しがみついてでも守りたいものだし、蔵馬には志保利母さん、桑原くんには静流姉さんや慕ってくれる桐島くんたちという、しがみついてでも守りたいものがある。
幽助にはそんな大事なものを捨てることなんてできないし、蔵馬や桑原くんに大事なものを捨てさせるなんてことも、もちろんできない。
そして、すべてのしがらみをすでに捨て去ってしまって、幽助についてきてくれたコエンマさまのことだってある。
幽助はきっと、誰も何も捨てることができない。
それでもいつか、誰か(何か)を捨てなければならなくなった時、幽助は大事なもののランクづけをしなくちゃいけなくなる。
何もかもを取る! なんてことが許されなくなるような事態が、いつかきっとやってくる……その時、幽助はどうするんだろうね。
幽助には人間としての幽助がちゃんと残っていて、けれど、やっぱり魔族としての幽助も確かに存在していて……魔族の幽助は、狭い人間界なんかにはとてもおさまらない強大な力を持っている。
力を押さえて生きていくことは、魔族の幽助にとって苦痛であるに違いない。
本来、誰よりも自由であったはずの幽助は、今、さまざまなものに縛りつけられて生きている。
そして、そんな縛りつけるものたちを幽助は振り払うことができない。それは、その“縛りつけるもの”=“命よりも大事なもの”であるという、どうしようもない二律背反がそこに存在しているからだ(酷な表現だけどね)。
“何も捨てない”と宣言した幽助か、何かを捨てることを決断する時……それこそが、幽助の人生の最大のターニングホイントなのかもしれない。
私はラストの幽助のつまんなそ-な顔を見てたら、なんだかすっごく悲しくなってきて、おもわず涙ぐんでしまいました。
タバコをくわえて、ひざを抱えて、うつろな目をしてる幽助なんて……見たくなかったですよ、私は(そういえば、タバコくわえてる幽助って、何年ぶり?)。
いつも、わきめもふらずに走っていた幽助か、今、“道”を選び取ることができなくて、岐路で立ち止まり、うずくまっている。
今まで幽助は、まわりのトラブルに巻き込まれるという形で動いていた。ある意味、幽助の意志は完全に無視されていた。
けれど、幽助はこれから、自分の意志だけで“道”を選択しなけれほいけない。
かわいそうだよね。幽助はまだたったの14歳なのに、“自分はどう生きるべきか”なんて命題を、目の前につきつけられてるんだものね。
だけど、桑原くんも蔵馬も飛影ちゃんも、温子母さんも蛍子ちゃんも、幽助が幽助らしく生きることだけを望んでいると思うよ。
“人間の幽助”らしくではなく、“魔族の幽助”らしくではなく、“強くて、たくましくて、どこまでも自分勝子でわがままで、誰よりも自由な幽助”らしく生きていって欲しいと思ってると思うよ。
だからね、そのためになら、皆、なんだってすると思うんだ。たとえ幽助に捨てられても、幽助の道をふさぐ者にだけはなりたくないに違いないから。
つらいことになるかもしれないけれど、幽助には幽助の意志だけで、幽助の“道”を選んで欲しいと思うし、もちろん、その“道”を桑原くんや蔵馬や飛影ちゃんが一緒に歩いててくれれば、最高にうれしい!(せめて、飛影ちゃんだけでも……ってのが本音かも(苦笑))。
そんなこんなで、つまらなそうな顔してる幽助に飛影ちゃんが斬りかかり、幽助を立ち上がらせようとする、まるっきり『頭を冷やせ!!』的な展開になればいいのに~、とあいもかわらず幽助×飛影なシーンを期待してしまった私って……やっぱりしつこいでしょうか?
ああ、それにしても……幽助はどこに行くのかなあ……。
コエンマさまの処遇
コエンマさまはこれから、どうするんですかね~……というか、あれからどうなったんですかね~(霊界に戻ったのか、はたまた霊界に戻ることさえできなかったのか)。
コエンマさまは、どんな罪も受けるといったけれど、実際、閻魔大王さまは息子をどうするつもりなんでしょうか?(オシリ百たたきで許して欲しいものですね)
だけど、幽助に「最善を尽くした」なんて言ってもらえたから、きっとそれだけで、コエンマさまは満足よね。
幽助はコエンマさまが初めて見せた弱い部分をちゃんとみつめて、仙水に対する深い愛情がとらせた無謀な行動を“最善”と評してくれたから、どんなつらいことにも、コエンマさまは耐えられると思うの(いっそのこと霊界を飛び出して、浦飯家に居候しませんか?(笑))。
それぞれの道
やたらとうれしいシーンが統出した、墓掘り7人組、その後について、書いてみましょう。
最初は刃霧くんね。
刃霧くんてば、生きてたのね。
やっぱり、妖怪が人間を殺した場合はいかなる理由があろうとも重罪に処す、ってのを飛影ちゃんも考えたのかしらね。
飛影ちゃんが刃霧くんを殺さなかった理由なんて、それ以外に思いつかないんですけど……(飛影ちゃんは、大事な幽助を殺そうとした刃霧くんに情けはかけないと思うわ!)。
だけど、刃霧くんてばこんな大変なことに、ヒマつぶしでつきあってたの?(そんなことだろうと、思ってはいだけどさ)
ところで、刃霧くんと一緒にいた女の子は、一体、誰?
私は妹さんと解釈しているんです。恋人だとは思えないなぁ。刃霧くんて、恋ができるような体質には見えないから(神谷医師もだ)。
だけど、この女の子って、たったこれだけの出番なのにすごい存在感があるわね。
霊能力めいたものまで使っちゃうし、刃霧くんもこの子にはやさしいみたいだし、言ってることがいちいち鋭い。
それにしても、あんな死にそうな目にあっても、刃霧くんはやっぱりこりずにテロリストなやつでしたね(笑)。
しかし、刃霧くんてば、毎月20万を5年以上も仕送りし続けるなんて(これに自分の生活費も加えると、月収40万ぐらいは必要なんじゃないかと……)、どうやって金を稼いでたんだ?(刃霧くんぐらいかっこよければ、お金をくれる裕福なお姉さんには困らないだろうけど(笑))
で、お次は神谷医師ね。
神谷医師も……あいかわらずで、ちょっとうれしいかも(笑)。
人類を滅ぼすという夢を断念した神谷医師は、今度は人類を馬鹿にして生きる、というやり方で、世間をわたっていくことにしたらしいです。
刃霧くんはわりとストレートにピュアに“悪の道”を生きているんだけど(刃霧くんの将来の夢は弁護士か犯罪者だそうですから、きっと彼は立派な犯罪者になったのでしょう(苦笑))、神谷医師はしたたかにしぶとく“悪の道”を歩んでいくような気がします(だって、私の中では、刃霧くんはどこまでも“少年”だけど、神谷医師はいつでも“大人”なんですもの)。
で、天沼くんね。
この子は多分、自分を“特別”扱いすることで、自分の存在を主張していたんだろうけど、周囲に目をむけることになってようやく、自分はちょっと頭がよくてゲームが上手なだけの“普通の子供”であるということに気づいたのね。
この子はまだ幼いから、トうウマも結構、簡単なことで解消されちゃったりするの(刃霧くんと神谷医師は、その点、年をとりすぎたのね)。
“特別”じやなくていい、“普通”で充分なんだから、このまますくすくと育って、いつか自分を殺した時の蔵馬の苦悩を理解できるようになって欲しいと思いますね。
で、御手洗くん。
御手洗くんは、本当にいい顔をするようになったなぁ。
いつも脅えたような目をしていた御手洗くんは、月人くんに向かって宣言したように、“強くなる”努力を怠らず、いつか強くて素敵な大人になって、桑原くんがさしのべてくれたようなやさしくて力強い、誰かを救うことができる手を特つことができるようになるんだよね。
“黒の章”の記憶は消しようがないだろうけど、それでも御手洗くんは、人間を信じて生きていけると思うの(そういえば、もうすぐ御手洗くんの誕生日なのね)。
そして、最後に巻原……。
この“魔界の扉攻防編”で、一番、幸せなのは樹さんと書いたけれど、一番、不幸なのは巻原だと断言しちやうわ、私!
なんて……なんて気の毒なやつ……。
永遠の理想郷
さて、仙水と樹さんですね(なせ、前項に入れなかったのかといえば、彼らにはもう“道”はないからである)。
あやしい……最後まであやしいぞ、この2人……(といっても、あやしいのは樹さんだけか)。
ああ、誰も入ってこれないであろう亜空間で、もう動かない仙水を抱いて、もう答えない仙水に淡々と話しかける樹さん……ううっ、こんなにけなげなやつだったのね。知らなかった)。
樹さんだけが仙水を見ることができる。樹さんはこれから、好きなだけ仙水を抱きしめることができる。誰も2人を引き離さない。誰も2人に干渉しない。いつまでもいつまでも2人っきり。
そして……仙水はこれからは永久に“忍”なの“カズヤ”でも“ミノル”でも“ナル”でもなく仙水は樹さんが一番、好きな“忍”であり続けるの。
これはもしかしたら、樹さんの理想の状況なのかも~、とか考えたら、ちょっとこわくなっちゃいました(私か深く考えすぎるのか?)。
結局、樹さんは死んだ仙水しか手に入れることができなかったのね。
10年以上も誰よりも近くにいたのに、仙水は死ななければ、樹さんだけのものになってあげなかったのね。
どうせ、生きてる時も樹さんだけを見てはいなかったんだから、生きてても死んでても、樹さんにとっては大差ないのね。
私は先号で書いたことに確信を抱いちゃいました。
絶対に樹さんは仙水に永久に片想い!
仙水と樹さんの純愛両想い路線の方から苦情が出ても、絶対に樹さんは片想いよ! こればっかりは曲げられないわ!(すっごい強気な発言)
だって、仙水ってば樹さんに痛みを訴えることさえしなかったっていうのよ(樹さんにとって、仙水とは“忍”のことなのである)。これって、10年以上も一緒にいる者に対して、すっごく失礼だと思うわ。最後まで仙水は樹さんに、弱みをみせなかったってことだからね(“ナル”に泣きつかれてもねえ……)。
だからね、やっぱり樹さんは仙水に片想いだったの(……しつこい)。
これから樹さんは1人っきりで、仙水との永遠の“理想郷”の中で生きていくのね。
さびしくてせつない“理想郷”だよね。
はじまりのおわり
飛影ちゃんはやっぱり、寝てる間に勝手に人間界に連れ戻されちゃったのね。
ちょっとすねてるけど、本気で怒ってるわけじゃないあたり、やっぱりこの子、幽助たちと一緒にいることができてうれしいんだね。
それにしても、飛影ちゃんが持っていたあのテープは、もしかして“黒の章”? 一体、どこからどうやって手に入れたわけ?
それでもまあ……幽助はちゃんと約束を守ったってわけね。偉い!
蔵馬も秀一くんに戻れて、本当によかったわ。
長く妖狐さまの姿でいると、人間を続けることが難しくなる、ってなことが『幽遊解体新書』に書いてあったから、ちょっと心配だったの。
それと、幽助の髪を私の希望通り蔵馬が切ってくれたのもすっごくうれしかった(笑)。静流姉さんが切ってくれるってのも考えたんだけどね。
やっぱり、幽助はこの髪型でなくっちゃ!
ああ、それにしても、どこまでも収拾がつかなくなるんじゃないかと、一時期、本気で心配した“魔界の扉攻防編”が本当に終わったんですね。
うれしいシーンもたくさんあった。哀しいシーンはもっとたくさんあった。いろんなことを考えさせられた。何回も泣かされた。とにかくエネルギーを消耗するシリーズだった。
そして、今回でようやく一段落。
皆はそれぞれに決着を着け、それぞれに新しい一歩を踏み出していく。
いろいろと問題は残されているけれど、私が心底、思ったのは、月人くんが生き返って、本当によかった。刃霧くんが生きてくれてて、本当にうれしかった。そしてそして……どんな姿になろうとも、幽助が生きているという現在の状況に、私は本当に満足している。
生きていてくれれば、それでいい。
これからいくらでも“道”が選べる。やり直すことができる。
だから、一抹の不安を覚えながらも、私はこの結末に満足している。
これはきっと“はじまりのおわり”で、これからまた幽助たちはひどいめにあって、また誰かが傷ついて泣くことになるんだろうけど……とりあえずは「冨樫先生、ご苦労さまでした。新シリーズを楽しみにしてます」と言いたいです。
余談ですが・・・…次号予告の『意外な訪問者』というのを見て、“訪問者”ってのは雪菜ちゃんのことね。きっとそうね。そうであって欲しいわ。
雪菜ちゃんにして! 冨樫先生、お願い! と叫んだのは私だけ?(飛影ちゃんと雪菜ちゃんの問題を、1日も早く片づけて欲しいのよ、私は!)