『幽遊白書』 「魅きつける理由!!」の巻 感想

今週の心の叫び
あ……あやしい……

不親切なあらすじ

巻原=戸愚呂(兄)が倒れ、残る敵は仙水と樹の2人だけとなった。
とりあえず、仙水は桑原を解放したが、今度は幽助を除く全員が、樹のペットである妖怪“裏男”に喰われてしまう。
樹は“闇撫”と呼ばれる妖怪であったのだ。
そして“裏男”の中で、桑原、蔵馬、飛影、御手洗そして樹は、幽助と仙水の闘いを見守ることとなったのだった。

かわいい妖怪たち

邪念樹って、すっごくかわいい走り方するね~。よく見てみるとかわいい顔してるし(笑)。
さすがに蔵馬。見苦しいものをいつまでも目の前に置いておかない!(徹底してるなあ)
裏男ってのも妙に愛らしい(え~っ、そう思いません?)。
こんなものをペットにしてる樹さんて、やっぱりいい性格してるねぇ(いや、邪念樹をペット(?)にしている蔵馬も相当なものだけど)。

仙水さんと樹さん

樹さんて妖怪だったんですね~。
10年前からほとんど年をとってないように見えたのも、彼が妖怪だったからなんですね。
だけど、あの気配に敏感な蔵馬が、どうして樹さんが妖怪だってことに気づかなかったのかが、よくわかりません(樹さんの妖気の隠し方がそれだけうまかったのかしら?)。
ああ、樹さんのフルネーム問題もボツですね(妖怪ではねぇ)。ちょっと残念。
「『ヒットスタジオ』に戸川純が出る」ってのは、確かに意表をついた台詞で、おもわず笑ってしまいましたよ、私は。
そうか、樹さんは戸川純がドハデな格好で『玉姫様』とか歌うのを楽しみにしてたのか~、とか思っちゃって(ここらへん、若い子にはさっぱりわからない話ですね)。
それでもって、その翌日、あの可愛い仙水さんと樹さんが肩を並べて『ヒットスタジオ』を見てる姿を想像して、肩をふるわせてしまいました(すっごく可愛い! 誰か私に描いてみせてください)。
おまけに仙水さんも存外にミーハー。『ヒットスタジオ』を毎週キッチリと見てるなんて(一体、誰のファンだったんだ?)。
大体、その後、小一時間ほど雑談をしたって、一体、なんの話をしてたんでしょうね。
ずっと『ヒットスタジオ』の話をしてたのか、それとも互いの身の上話をしてたのか……なんだか、考えるとすっごくおかしい。
だけど、本当にあの仙水さんは可愛いねぇ。樹さんが一目ぼれ(?)した気持ちがよくわかるわ。
可愛いくって可愛いくってしかたなくって、あの1コマだけをみつめて、ニヤニヤ、ヘラヘラとどうしようもないですよ(本当に大馬鹿……だけど、それっくらい可愛かったんだもの)。
もうもうもう、どうしてこんなに可愛い子が、あんなふうになっちゃうわけ?
そいでもって、樹さんを気に入っちゃった仙水さんは、コエンマさまに樹さんをパートナーにするように進言したんでしょうね、きっと。
そして、それをコエンマさまは受け入れた、と。
コエンマさまって、霊界探偵の助手に妖怪を使うのが好きだね~(蔵馬と飛影ちゃんも、コエンマさまのはからいで幽助の助っ人になったんだもんね)。
だけど、正直、この仙水さんと樹さんの関係を知って、妙に納得してしまいましたよ、私は。
なんとゆ-か……樹さんの“ひたすら仙水さんに従順な人”像が崩れた時点で、じゃあ、なぜ樹さんは仙水さんを止めなかったのか、ということを考えた時、樹さんが仙水さんの言いなりになるような人物ではない以上、みずからがすすんで仙水さんに手を貸しているとしか、考えられないなぁと思ったんですよ。
まぁ、どういう意図でもって、すすんで手を貸すなんてことをしてるのかは、さっぱりわからなかったんですけどね。
しかしまぁ……この2人の関係が、こんなに単純明快で、しかも歪みきってるとは……。

仙水さんの素顔

仙水さんて、すっごくまっすぐな人なんだと思う。
まっすぐすぎるから、一度、こうと決めてしまったら、もう別の見方ができない。
幽助なんかは単純だから、幻海師範に殴られて「そうじゃないだろ!」とか言われれば、「そうか~」なんて、ころっと考えを変えちゃうようなところがあるけど、仙水さんはそこまで柔軟な頭は持っていない。
だから、妖怪は悪だと決めつけてしまったら、なにがなんでも妖怪は全部、悪者だし、人間は生きるに値しないと感じれば、すべての人間を殺してしまおうとする。
仙水さんは、許すことを知らない。忘れることも知らないし、逃げることも知らないし、負けることも知らない。
彼は立ち止まらない。周囲を見渡す余裕もなく、ただひたすらに走り続ける。
ある意味、見事な欠陥人間だけど、自分でそれを矯正しようとしなかった(矯正しちゃいけないと思っていたような感じもする)し、矯正してくれる人が現れることもなかった。
妖怪と人間をくっきりと色わけしていた仙水さんは、妖怪である樹さんの中に“人間”を見いだした。
すべての妖怪を殺そうとした仙水さんが樹さんを殺さなかったのは、樹さんは“人間”であると、彼が判断したためなんだろう。
仙水さんはどんな気持ちで、樹さんをパートナーにしたんだろうね。
たけど、仙水さんてば人間にも友達がいなかったような感じがするから、人間でも妖怪でもない存在として、樹さんを受け入れたのかもしれないなぁ。

樹さんの素顔

「時限爆弾と恋人をいっぺんに手にいれた」
この表現て……本当にあやしい……(仙水さんが爆弾だとすると、そのスイッチを押してしまったのは、コエンマさまということになるんでしょうかね?)
樹さんはずーっと、仙水さんが爆発するのを待っていた(その爆発に自身が巻き込まれる可能性があることを知っていたに違いないのに)。
恋人さながらに仙水さんに寄り添い、仙水さんをみつめ、仙水さんのことばっかり考えて生きてきた(もう、すみからすみまで、あやしいやつらだわ)。
その樹さんの仙水さんにかける執着は、相当なものだったんだろうと思う。
樹さんにとって仙水さんは、ただ見守るだけの者であって、共に生きる者ではなかった。だから、仙水さんがなにをしようとも、樹さんは彼についていくだけでよかったのだ。
だけど、それは樹さんにとって仙水さんがその程度の存在だった、ということを意味するわけではない。樹さんにそういう誰かと共に生きるという観念自体がなかっただけで、結局のところ、仙水さんは樹さんのすべてであったのだろうと思う。
樹さんはやっぱり歪んでいる。
仙水さんの不幸の一因は、その歪んでいる樹さんに見込まれてしまったことだ。
2人のあいだに愛情とか友情とか呼べるものは存在しなかったのかもしれない。だけど、強い絆は確かに存在しているし、2人ともそれを断ち切るつもりなんて、毛頭なかったに違いない。
妖怪嫌いの仙水さんは、“人間”くささを持った妖怪である樹さんを殺さなかった。そして、人間嫌いになった仙水さんは、“妖怪”である樹さんだけをそばに置いた。
樹さんはいつでも、仙水さんにとって都合のいい存在であり続けた。
樹さんは仙水さんを否定しない。そのすべてを肯定してくれる。なんでも言うことを聞いてくれる。自分を責めたてたりしない。なにがあってもそばにいてくれる。
誰も触れていない新雪を血と泥で汚すという快感に浸っているのだと、樹さんは言う。だけど、それだけの理由で、樹さんが仙水さんにこだわり続けたわけではないと思いたい(それでまた、月人くん事件の時みたいに落ち込むことになるかもしれないけどね)。
仙水さんがあの事件で、自滅してしまわなかったのは、樹さんという心の支えがあったためかもしれない。けれど、仙水さんはあの時、1人で破滅しなかったかわりに、今は樹さんと2人で破滅の道を辿ろろとしている(この2人だったら、無理心中ぐらいしそうでコワイわ)。
きっときっと、仙水さんは救われない。幽助には、ここまでの歪みを修正するだけの力はきっとない。
そんな確信めいたものが私の中にはあって……とっても衰しくなってしまった(それでも、仙水さんは樹さんに救って欲しいなあ)。