『幽遊白書』 「それぞれの一年 飛影 前編」 感想
今週の心の叫び
飛影ちゃんが愛しすぎるわ
不親切なあらすじ
飛影が躯の元に来てから半年の月日が経った。
闘いに明け暮れる飛影が夢に見るのは、生まれた時のこと、妹の雪菜のこと。
飛影と雪菜は双子であり、2人の母親である氷菜は禁忌を侵して他族の男と交わった結果、飛影をみごもった。
しかし、氷女たちにとって男の子供は凶であったために、飛影は生まれてすぐに氷河の国を追放されたのだ。
そして、骸は順調に強くなっていく飛影を、ある男と決闘させるのだが、彼こそは飛影に邪眼を植え付けた男、魔界整体師・時雨であった。
忌み子・飛影
今週はもう……ダメです。
まっとうな文章が書けません(いや、まっとうな文章なんて書いたことはないんですが)。
あの扉絵を見ただけでへたりこみそうになった私は、“冷静”はおろか“平静”さえ保てません。
ああっ、誰かどうにかしてっ(泣)。
最近、幽助か愛しい! もしかしたら飛影ちゃんを追い抜いたかも! などと言っていた私ですが、やはり幽助への愛と飛影ちゃんへの愛は、完全に質が違っていたと思い知りました。
本当にもう……飛影ちゃんは無条件で愛しい子です。
本当に私はこの子を“溺愛”してます。幽助への“熱愛”とは比較対象になりません。
幽助のやることは、幽助だから大丈夫、どうにかなる、とわりと冷静に見てますが(飛影ちゃんに比べたらの問題ですけどね)、飛影ちゃんのやることは、もう何から何まで心配。
幽助の怪我なんて、また怪我しもゃって、で終わるけれど、飛影ちゃんの怪我は、飛影ちゃんが怪我してる~、痛そ~、かわいそ~、どうにかして~、となるんですよ。
幽助に対してはわりかし放任だけど、飛影ちゃんに対しては徹底的に過保護なわけですね。
その過保護な私が、こんなもんを読まされて愛が燃え上がらないわけがない(笑)。
ああっ、飛影ちゃん……なんてこんなに愛しいのかわかんないけど、とにかく愛しいわ!
だけど、本気で表紙をみてへたりこみそうになりました。
なんとゆ一か……冨樫先生はたまにおそろしく凶悪な絵を描きます(表現が悪いですが)。
とにかく色っぽいとゆ-か、艶っぽいとゆ-か……動悸、息切れ、めまいを誘う絵なの(今度は表現が妙ですね)。
すっごく不気味だってのは自分でもわかってるんだけど、線の一本一本を追いかけて、どうやったらこんなにすごい絵ができあがるのかを探ってみたくなる時があるんですよ(それに近いことは実際にやったことがあるような……)。
それにしても、飛影ちゃんてば大嘘つき!
何か雪菜ちゃんとは母親が違うだ! 同じじゃないか!
おまけに父親が違うというわけでもない。けれど、同じでもない……こういうのは、どう表記すべきなのかしら(飛影ちゃんには父親がいて、雪菜ちゃんには父親がいないわけですからねえ)。
本当に飛影ちゃんの父親ってのはどういう方だったんでしょう?(炎の妖気を持つ、かなり強い妖怪だと思われますが)
骸が「お前の親父なんてオチはねえ」と言った時、おもわず「あたりまえだ! こんなのが飛影ちゃんの父親だったら、私は泣くぞ!」と叫んでしまいましたよ(こんなこと言って、あの包帯の下の素顔が、バリバリの美形だったりしたらどうするつもりだ(苦笑))。
だって、幽助のご先祖さまがあんなにワイルドなハンサムさんなのよ? それで飛影ちゃんの父親が躯だったら、真剣に落ち込んでしまうわ(黄泉でもイヤ)。
だけど、躯って思ったより背が高いんですね。
ところで、飛影ちゃんが雪菜ちゃんを妹と判別できたのは、生まれる前、氷菜さんのおなかの中で雪菜ちゃんと一緒にいた時の、その妖気を覚えていたためなのかしら?
じゃあ、“飛影”って名前は誰がつけたの?
死ぬ前に氷菜さんがつけたのか、泪さんがつけたのか(泪さん自身が「あのコ」と呼んでるあたりを見ると、その可能性は低いように思われますが)、どこかに名付け親がいるのか、それとも飛影ちゃんが自分でつけたのか……。とっても気になる。
飛影ちゃんにとって、生きるに値する氷女は雪菜ちゃんだけなのね。
飛影ちゃんが雪菜ちゃんにあそこまで執着するのは、雪菜ちゃんだけが飛影ちゃんの“同族”だからなのかもしれないわ。
もしかしたら、雪菜ちゃんには悪いことをしたとか思ってるかもしれない。だって、雪菜ちゃんから母親を奪ったのは、飛影ちゃん自身なんだもの。
ああっ、それにしても飛影ちゃん。こんなかわいいお顔に傷をいっぱいつけるんじゃない! こんなかわいい腕に傷をつけるんじゃない! こんなかわいい首に……以下同文(すみません。すごくアブナイ女になってますね)。
飛影ちゃんてば、自分で自分の傷も治せないわけ?(今までは“歩く救急箱”の蔵馬がそばにいたからねえ(苦笑))
飛影ちゃんの過去
ところでところで……飛影ちゃんてば生まれた時からめつきが悪い……。なんてこと……。
こんな飛影ちゃんでも、愛くるしく笑ってた赤ん坊の時期があったのよ~、とか思ってたのに……(今の方が断然、愛くるしいじゃないか(苦笑))。
それにしても、なんて暗い過去なんだ……。
生まれた時から誰にも祝福されていなくて、それどころか完全にやっかいもの扱い(ぐらいじゃすまないわね、あれは)で、しかも、それをきちんと理解していたなんて……。
そして、そんな可哀想な飛影ちゃんのために泣いてくれたのが、泪さんだけだっただなんて……。
赤ん坊の飛影ちゃんには、泪さんの涙の意味を理解することはできなかったけれど、“償い”という言葉の意味を理解することはできなかったけれど、“殺す”という言葉の意味は理解していたのね。
あの泪さんから氷泪石を受け取った飛影ちゃんの、本当に小さな手に涙が出そうになりました。
あんな目をしていても、あんな笑い方をしていても、やっぱり飛影ちゃんは生まれたばかりの赤ん坊だったのよ。
そんな赤ん坊が、あんな高い所から投げ捨てられていいわけないじゃない。
泪さんはきっと、その後、何度も何度も自分が捨てた飛影ちゃんのことを思い出したことだろう。雪菜ちゃんを見るたびに、共に育つはずだった双子の兄のことを考えたことだろう。
そして、泪さん自身もそうなることは予想がついていて……だから、飛影ちゃんに真っ先に殺されたいと願ったんじゃないんですかね。
そう考えると、果てしなく長い寿命を持つ氷女の彼女が、すごく可哀想になってきます。
飛影ちゃんの孤独
今の飛影ちゃんは、躯の配下というよりは、躯のペット(苦笑)。
ただひたすらに闘わされて、強くならなければ生き残ることさえ許してもらえず、本人の意志なんてまるで無視されている。これじゃあ闘犬か闘牛ですわ(すると時雨さんはかませ犬か)。
そんな目にあわされている飛影ちゃんが繰り返し繰り返し見る夢は、生まれた時のことであり、雪菜ちゃんのことであるのね。
飛影ちゃんは今、闇の中に沈みこんでいて、その中にかすかに見える光がきっと雪菜ちゃん。
飛影ちゃんは雪菜ちゃんという存在にしがみついて、なんとか生き延びている。自分自身の存在を忘れずにいることができる……そんな気がします。
飛影ちゃんの氷泪石に飛影ちゃんの妖気がしみついているということは、雪菜ちゃんの氷泪石には雪菜ちゃんの妖気がしみついているということで……飛影ちゃんはその雪菜ちゃんの妖気を胸に抱きながら日々を過ごしている。
飛影ちゃんはいつでも、雪菜ちゃんの妖気を感じている。だから、飛影ちゃんが雪菜ちゃんを忘れることはないのね(これはかなりうれしい)。
時雨さんに指摘されて、他人には一目たりとも見せてやるもんか、とばかりにそそくさと隠してしまった飛影ちゃんがかわいいわ。
それにしても、飛影ちゃんのこんなにすさんだ目は久しぶりに見ました。
やっぱりダメね。幽助がそばにいないと(すぐにそういう発想をするあたり……)。
けれど本気で、こういう時だからこそ、飛影ちゃんのそばに幽助がいて欲しいと思います。
飛影ちゃんは、幽助に出会う前の長い長い孤独の時間よりも、幽助と別れてからのたった半年の孤独の時間の方を、つらく感じているんじゃないかと、私は思うので。
蔵馬や幽助と出会う前の飛影ちゃんなら、今、そんなにつらい想いはしていなかったかもしれない。現在の状況を楽しむことさえできたかもしれない。
けれど、もう駄目なの。
飛影ちゃんは幽助に出会って、魂をつくりかえられてしまったの。もう、昔の飛影ちゃんには戻れないの。
氷女たちに捨てられたっていいじゃないか。
飛影ちゃんは幽助が蔵馬が桑原くんが、きっと拾ってくれる。
だから、幽助たちと過ごした時間を忘れないで欲しい。救ってくれる手が確実に存在することを覚えていて欲しい。幽助の復活を知った時のあの笑顔を、永遠に失ったりしないで欲しい。
ああ、幽助と再会できた時、飛影ちゃんがすぐに皆と一緒にいた時の自分を、取り戻すことができるといいんですけど。
雪菜ちゃんの素顔
いざとなると、こういう子が一番、こわいんじゃないかしら、と思っていた雪菜ちゃんですが、やっはりこわい子でした(苦笑)。
ああ、雪菜ちゃんは氷河の国を出奔してたのね。それで、あんなにのんきなのね。期限つきのわりには急いでる様子がまるでないと思っていたら……。
雪菜ちゃんはやはり、はかなげな外見にそぐわない、強くて激しい子でした。
飛影ちゃんと雪菜ちゃんの母親である氷菜さんも、雪菜ちゃんに似た、気性の激しい方だったんだろうと思います。
禁忌を侵して恋をして、自分が死ぬことを承知で飛影ちゃんを産んだわけですからね。並の強さじゃありません。
飛影ちゃんと雪菜ちゃんが氷菜さんから受け継いだその情の深さ(いや、飛影ちゃんてむちゃくちゃ情の深い子だと思いますよ)は、氷女としてはかなり異端だったんでしょうね。
他族と交わることもせず、流浪の城から出ることもせず、恋もせず、おそらくは大した変化もなく、ただひたすらに長く長く生き続けるだけの氷女たち……考えてみれば、哀しい女たちの国なんですね、氷河の国は。
雪菜ちゃんはおそらくは飛影ちゃんたちに救い出され、氷河の国に戻った時に、そんな氷河の国の在り方に違和感を覚えたんでしょうね。
ずっと氷河の国の中にいたのなら、そんなことは考えなかったかもしれない。
けれど、外界の良い面と悪い面を見据え、自分を利用しようとした醜い人々、自分を救いだそうとして死んだ青年、自分のために闘ってくれた幽助や飛影ちゃん、そして、自分がやったわけでもないことを真剣に謝ってくれた桑原くんに出会ってしまった雪菜ちゃんには、生きてるんだか死んでるんだかわからない氷河の国という場所が、自分が生きるべき場所ではなくなってしまったのだろうと思います。
自分が生まれ育った国を「滅んでしまえばいい」と思うほど、雪菜ちゃんは憤っている。
けれど、雪菜ちゃんにはきっとできない。
「滅んでしまえばいい」とは思っても、やはり実際に滅ぼすことはできないと思う(たとえ、それだけの力を持っていても)。
だから、“自分で滅ぼす”という発想が出てこなかったんじゃないかと思うんですよ。
“兄に滅ぼしてもらう”という他力本願な考えじゃなくて、“兄が滅ぼすなら許せる”という考えだったんじゃないかと、私は思っているので。
けれど、それって自分の怒りや憤りを兄におしつけて、自分の手は汚さないということでもあって……それを飛影ちゃんに指摘されてしまって、雪菜ちゃんはショックを受けたんじゃないのかしらね。
それにしても、雪菜ちゃんの兄に対する執着も、やはり並ではないです。
自分は氷河の国で大事に育ててもらったのに(やはり、泪さんに育てられたんでしょうか)、双子の兄である飛影ちゃんは生まれた途端に投げ捨てられちゃったという、ある種の罪の意識があるのかもしれないなあ(しかし、兄を“へのへのもへじ”にしないで欲しい)。
ああっ、それにしても桑原くんの雪菜ちゃんへの恋は、さらに成就の可能性が低くなってきましたね。
だって雪菜ちゃんてば桑原くんの子供を産んだら死んでしまうのよ。
そんなの絶対に飛影ちゃんは許さないだろうし、桑原くんだってそれじゃあ哀しすぎるわよね。
雪菜ちゃんを失い、姿形だけは自分に似た、凶暴な性格の赤ん坊を抱えて途方に暮れる桑原くんの図を想像して、ちょっと寒くなってしまいましたよ(子供をつくらなきゃいいだろう、という考えもありますが、桑原くんて絶対に、子供は野球チームができるぐらい欲しい! というタイプだと思う)。
ところで、雪菜ちゃんてば、飛影ちゃんの正体を知ってて、あえて黙っているような気がしてしかたないんですけど、それって私だけですかね。
なんとなく、あの飛影ちゃんへのアプローチの仕方がね、そんな感じがするんですよ。
何よりも大事な母の形見である氷泪石を預け、自分の兄について語り、故郷である氷河の国よりも、ずっとずっと兄の方が大事であると伝え、兄が氷何の国を滅ぼしても自分は傷ついたりしないと教える(つまり、滅ぼしたいのなら、自分のことを気にせずに滅ぼしてくれ、と言っている)……本当に意味深な行動だと思いませんか?(深読みのしすぎでしょうか)
邪眼の秘密
時雨さんの第一印象といえは、とにかく“痛そうな人”だったりします(笑)。
うわ~。悪趣味~。こんなとこに鈴なんかつけないでよ~(大笑)。
普通にしてれば結構、美形だと思うのに……しくしく……もったいない。
しかし、邪眼をつけるってことは、すごいことだったんですね。
むちゃくちゃな痛みに耐えると同時に、量下級レベルまで妖力が落ちることを覚悟しなきゃならない。
そんな妖力じゃ、生き延びるのも天変だろうし、何よりもあれだけブライドが高く、生まれて5年目にはA級妖怪だったというエリートの飛影ちゃんが、そこらへんのザコ妖怪と同レベルになっちゃうというのは、精神的にもかなりきついものがあったんじゃないかと思うわ。
苦労したんだねえ、飛影ちゃん(しみじみ)。
ところで、“それぞれの一年”ということは、ストーリーが本道に戻るのは、雷禅さまが死ぬ時ということですかね。
ああ、雷禅さま。あんなにかっこいい方なのに、すぐに死んでしまわれるのね……哀しすぎるわ。
その時、幽助と飛影ちゃんがどういう位置にあるのかも、すごく気になりますし。
飛影ちゃんが愛しすぎるわ
不親切なあらすじ
飛影が躯の元に来てから半年の月日が経った。
闘いに明け暮れる飛影が夢に見るのは、生まれた時のこと、妹の雪菜のこと。
飛影と雪菜は双子であり、2人の母親である氷菜は禁忌を侵して他族の男と交わった結果、飛影をみごもった。
しかし、氷女たちにとって男の子供は凶であったために、飛影は生まれてすぐに氷河の国を追放されたのだ。
そして、骸は順調に強くなっていく飛影を、ある男と決闘させるのだが、彼こそは飛影に邪眼を植え付けた男、魔界整体師・時雨であった。
忌み子・飛影
今週はもう……ダメです。
まっとうな文章が書けません(いや、まっとうな文章なんて書いたことはないんですが)。
あの扉絵を見ただけでへたりこみそうになった私は、“冷静”はおろか“平静”さえ保てません。
ああっ、誰かどうにかしてっ(泣)。
最近、幽助か愛しい! もしかしたら飛影ちゃんを追い抜いたかも! などと言っていた私ですが、やはり幽助への愛と飛影ちゃんへの愛は、完全に質が違っていたと思い知りました。
本当にもう……飛影ちゃんは無条件で愛しい子です。
本当に私はこの子を“溺愛”してます。幽助への“熱愛”とは比較対象になりません。
幽助のやることは、幽助だから大丈夫、どうにかなる、とわりと冷静に見てますが(飛影ちゃんに比べたらの問題ですけどね)、飛影ちゃんのやることは、もう何から何まで心配。
幽助の怪我なんて、また怪我しもゃって、で終わるけれど、飛影ちゃんの怪我は、飛影ちゃんが怪我してる~、痛そ~、かわいそ~、どうにかして~、となるんですよ。
幽助に対してはわりかし放任だけど、飛影ちゃんに対しては徹底的に過保護なわけですね。
その過保護な私が、こんなもんを読まされて愛が燃え上がらないわけがない(笑)。
ああっ、飛影ちゃん……なんてこんなに愛しいのかわかんないけど、とにかく愛しいわ!
だけど、本気で表紙をみてへたりこみそうになりました。
なんとゆ一か……冨樫先生はたまにおそろしく凶悪な絵を描きます(表現が悪いですが)。
とにかく色っぽいとゆ-か、艶っぽいとゆ-か……動悸、息切れ、めまいを誘う絵なの(今度は表現が妙ですね)。
すっごく不気味だってのは自分でもわかってるんだけど、線の一本一本を追いかけて、どうやったらこんなにすごい絵ができあがるのかを探ってみたくなる時があるんですよ(それに近いことは実際にやったことがあるような……)。
それにしても、飛影ちゃんてば大嘘つき!
何か雪菜ちゃんとは母親が違うだ! 同じじゃないか!
おまけに父親が違うというわけでもない。けれど、同じでもない……こういうのは、どう表記すべきなのかしら(飛影ちゃんには父親がいて、雪菜ちゃんには父親がいないわけですからねえ)。
本当に飛影ちゃんの父親ってのはどういう方だったんでしょう?(炎の妖気を持つ、かなり強い妖怪だと思われますが)
骸が「お前の親父なんてオチはねえ」と言った時、おもわず「あたりまえだ! こんなのが飛影ちゃんの父親だったら、私は泣くぞ!」と叫んでしまいましたよ(こんなこと言って、あの包帯の下の素顔が、バリバリの美形だったりしたらどうするつもりだ(苦笑))。
だって、幽助のご先祖さまがあんなにワイルドなハンサムさんなのよ? それで飛影ちゃんの父親が躯だったら、真剣に落ち込んでしまうわ(黄泉でもイヤ)。
だけど、躯って思ったより背が高いんですね。
ところで、飛影ちゃんが雪菜ちゃんを妹と判別できたのは、生まれる前、氷菜さんのおなかの中で雪菜ちゃんと一緒にいた時の、その妖気を覚えていたためなのかしら?
じゃあ、“飛影”って名前は誰がつけたの?
死ぬ前に氷菜さんがつけたのか、泪さんがつけたのか(泪さん自身が「あのコ」と呼んでるあたりを見ると、その可能性は低いように思われますが)、どこかに名付け親がいるのか、それとも飛影ちゃんが自分でつけたのか……。とっても気になる。
飛影ちゃんにとって、生きるに値する氷女は雪菜ちゃんだけなのね。
飛影ちゃんが雪菜ちゃんにあそこまで執着するのは、雪菜ちゃんだけが飛影ちゃんの“同族”だからなのかもしれないわ。
もしかしたら、雪菜ちゃんには悪いことをしたとか思ってるかもしれない。だって、雪菜ちゃんから母親を奪ったのは、飛影ちゃん自身なんだもの。
ああっ、それにしても飛影ちゃん。こんなかわいいお顔に傷をいっぱいつけるんじゃない! こんなかわいい腕に傷をつけるんじゃない! こんなかわいい首に……以下同文(すみません。すごくアブナイ女になってますね)。
飛影ちゃんてば、自分で自分の傷も治せないわけ?(今までは“歩く救急箱”の蔵馬がそばにいたからねえ(苦笑))
飛影ちゃんの過去
ところでところで……飛影ちゃんてば生まれた時からめつきが悪い……。なんてこと……。
こんな飛影ちゃんでも、愛くるしく笑ってた赤ん坊の時期があったのよ~、とか思ってたのに……(今の方が断然、愛くるしいじゃないか(苦笑))。
それにしても、なんて暗い過去なんだ……。
生まれた時から誰にも祝福されていなくて、それどころか完全にやっかいもの扱い(ぐらいじゃすまないわね、あれは)で、しかも、それをきちんと理解していたなんて……。
そして、そんな可哀想な飛影ちゃんのために泣いてくれたのが、泪さんだけだっただなんて……。
赤ん坊の飛影ちゃんには、泪さんの涙の意味を理解することはできなかったけれど、“償い”という言葉の意味を理解することはできなかったけれど、“殺す”という言葉の意味は理解していたのね。
あの泪さんから氷泪石を受け取った飛影ちゃんの、本当に小さな手に涙が出そうになりました。
あんな目をしていても、あんな笑い方をしていても、やっぱり飛影ちゃんは生まれたばかりの赤ん坊だったのよ。
そんな赤ん坊が、あんな高い所から投げ捨てられていいわけないじゃない。
泪さんはきっと、その後、何度も何度も自分が捨てた飛影ちゃんのことを思い出したことだろう。雪菜ちゃんを見るたびに、共に育つはずだった双子の兄のことを考えたことだろう。
そして、泪さん自身もそうなることは予想がついていて……だから、飛影ちゃんに真っ先に殺されたいと願ったんじゃないんですかね。
そう考えると、果てしなく長い寿命を持つ氷女の彼女が、すごく可哀想になってきます。
飛影ちゃんの孤独
今の飛影ちゃんは、躯の配下というよりは、躯のペット(苦笑)。
ただひたすらに闘わされて、強くならなければ生き残ることさえ許してもらえず、本人の意志なんてまるで無視されている。これじゃあ闘犬か闘牛ですわ(すると時雨さんはかませ犬か)。
そんな目にあわされている飛影ちゃんが繰り返し繰り返し見る夢は、生まれた時のことであり、雪菜ちゃんのことであるのね。
飛影ちゃんは今、闇の中に沈みこんでいて、その中にかすかに見える光がきっと雪菜ちゃん。
飛影ちゃんは雪菜ちゃんという存在にしがみついて、なんとか生き延びている。自分自身の存在を忘れずにいることができる……そんな気がします。
飛影ちゃんの氷泪石に飛影ちゃんの妖気がしみついているということは、雪菜ちゃんの氷泪石には雪菜ちゃんの妖気がしみついているということで……飛影ちゃんはその雪菜ちゃんの妖気を胸に抱きながら日々を過ごしている。
飛影ちゃんはいつでも、雪菜ちゃんの妖気を感じている。だから、飛影ちゃんが雪菜ちゃんを忘れることはないのね(これはかなりうれしい)。
時雨さんに指摘されて、他人には一目たりとも見せてやるもんか、とばかりにそそくさと隠してしまった飛影ちゃんがかわいいわ。
それにしても、飛影ちゃんのこんなにすさんだ目は久しぶりに見ました。
やっぱりダメね。幽助がそばにいないと(すぐにそういう発想をするあたり……)。
けれど本気で、こういう時だからこそ、飛影ちゃんのそばに幽助がいて欲しいと思います。
飛影ちゃんは、幽助に出会う前の長い長い孤独の時間よりも、幽助と別れてからのたった半年の孤独の時間の方を、つらく感じているんじゃないかと、私は思うので。
蔵馬や幽助と出会う前の飛影ちゃんなら、今、そんなにつらい想いはしていなかったかもしれない。現在の状況を楽しむことさえできたかもしれない。
けれど、もう駄目なの。
飛影ちゃんは幽助に出会って、魂をつくりかえられてしまったの。もう、昔の飛影ちゃんには戻れないの。
氷女たちに捨てられたっていいじゃないか。
飛影ちゃんは幽助が蔵馬が桑原くんが、きっと拾ってくれる。
だから、幽助たちと過ごした時間を忘れないで欲しい。救ってくれる手が確実に存在することを覚えていて欲しい。幽助の復活を知った時のあの笑顔を、永遠に失ったりしないで欲しい。
ああ、幽助と再会できた時、飛影ちゃんがすぐに皆と一緒にいた時の自分を、取り戻すことができるといいんですけど。
雪菜ちゃんの素顔
いざとなると、こういう子が一番、こわいんじゃないかしら、と思っていた雪菜ちゃんですが、やっはりこわい子でした(苦笑)。
ああ、雪菜ちゃんは氷河の国を出奔してたのね。それで、あんなにのんきなのね。期限つきのわりには急いでる様子がまるでないと思っていたら……。
雪菜ちゃんはやはり、はかなげな外見にそぐわない、強くて激しい子でした。
飛影ちゃんと雪菜ちゃんの母親である氷菜さんも、雪菜ちゃんに似た、気性の激しい方だったんだろうと思います。
禁忌を侵して恋をして、自分が死ぬことを承知で飛影ちゃんを産んだわけですからね。並の強さじゃありません。
飛影ちゃんと雪菜ちゃんが氷菜さんから受け継いだその情の深さ(いや、飛影ちゃんてむちゃくちゃ情の深い子だと思いますよ)は、氷女としてはかなり異端だったんでしょうね。
他族と交わることもせず、流浪の城から出ることもせず、恋もせず、おそらくは大した変化もなく、ただひたすらに長く長く生き続けるだけの氷女たち……考えてみれば、哀しい女たちの国なんですね、氷河の国は。
雪菜ちゃんはおそらくは飛影ちゃんたちに救い出され、氷河の国に戻った時に、そんな氷河の国の在り方に違和感を覚えたんでしょうね。
ずっと氷河の国の中にいたのなら、そんなことは考えなかったかもしれない。
けれど、外界の良い面と悪い面を見据え、自分を利用しようとした醜い人々、自分を救いだそうとして死んだ青年、自分のために闘ってくれた幽助や飛影ちゃん、そして、自分がやったわけでもないことを真剣に謝ってくれた桑原くんに出会ってしまった雪菜ちゃんには、生きてるんだか死んでるんだかわからない氷河の国という場所が、自分が生きるべき場所ではなくなってしまったのだろうと思います。
自分が生まれ育った国を「滅んでしまえばいい」と思うほど、雪菜ちゃんは憤っている。
けれど、雪菜ちゃんにはきっとできない。
「滅んでしまえばいい」とは思っても、やはり実際に滅ぼすことはできないと思う(たとえ、それだけの力を持っていても)。
だから、“自分で滅ぼす”という発想が出てこなかったんじゃないかと思うんですよ。
“兄に滅ぼしてもらう”という他力本願な考えじゃなくて、“兄が滅ぼすなら許せる”という考えだったんじゃないかと、私は思っているので。
けれど、それって自分の怒りや憤りを兄におしつけて、自分の手は汚さないということでもあって……それを飛影ちゃんに指摘されてしまって、雪菜ちゃんはショックを受けたんじゃないのかしらね。
それにしても、雪菜ちゃんの兄に対する執着も、やはり並ではないです。
自分は氷河の国で大事に育ててもらったのに(やはり、泪さんに育てられたんでしょうか)、双子の兄である飛影ちゃんは生まれた途端に投げ捨てられちゃったという、ある種の罪の意識があるのかもしれないなあ(しかし、兄を“へのへのもへじ”にしないで欲しい)。
ああっ、それにしても桑原くんの雪菜ちゃんへの恋は、さらに成就の可能性が低くなってきましたね。
だって雪菜ちゃんてば桑原くんの子供を産んだら死んでしまうのよ。
そんなの絶対に飛影ちゃんは許さないだろうし、桑原くんだってそれじゃあ哀しすぎるわよね。
雪菜ちゃんを失い、姿形だけは自分に似た、凶暴な性格の赤ん坊を抱えて途方に暮れる桑原くんの図を想像して、ちょっと寒くなってしまいましたよ(子供をつくらなきゃいいだろう、という考えもありますが、桑原くんて絶対に、子供は野球チームができるぐらい欲しい! というタイプだと思う)。
ところで、雪菜ちゃんてば、飛影ちゃんの正体を知ってて、あえて黙っているような気がしてしかたないんですけど、それって私だけですかね。
なんとなく、あの飛影ちゃんへのアプローチの仕方がね、そんな感じがするんですよ。
何よりも大事な母の形見である氷泪石を預け、自分の兄について語り、故郷である氷河の国よりも、ずっとずっと兄の方が大事であると伝え、兄が氷何の国を滅ぼしても自分は傷ついたりしないと教える(つまり、滅ぼしたいのなら、自分のことを気にせずに滅ぼしてくれ、と言っている)……本当に意味深な行動だと思いませんか?(深読みのしすぎでしょうか)
邪眼の秘密
時雨さんの第一印象といえは、とにかく“痛そうな人”だったりします(笑)。
うわ~。悪趣味~。こんなとこに鈴なんかつけないでよ~(大笑)。
普通にしてれば結構、美形だと思うのに……しくしく……もったいない。
しかし、邪眼をつけるってことは、すごいことだったんですね。
むちゃくちゃな痛みに耐えると同時に、量下級レベルまで妖力が落ちることを覚悟しなきゃならない。
そんな妖力じゃ、生き延びるのも天変だろうし、何よりもあれだけブライドが高く、生まれて5年目にはA級妖怪だったというエリートの飛影ちゃんが、そこらへんのザコ妖怪と同レベルになっちゃうというのは、精神的にもかなりきついものがあったんじゃないかと思うわ。
苦労したんだねえ、飛影ちゃん(しみじみ)。
ところで、“それぞれの一年”ということは、ストーリーが本道に戻るのは、雷禅さまが死ぬ時ということですかね。
ああ、雷禅さま。あんなにかっこいい方なのに、すぐに死んでしまわれるのね……哀しすぎるわ。
その時、幽助と飛影ちゃんがどういう位置にあるのかも、すごく気になりますし。