『幽遊白書』 「雷禅の遺言」 感想
今週の心の叫び
雷禅さまのために……合掌
不親切なあらすじ
雷禅のもとで修行の日々を送っている幽助……だが、雷禅は栄養失調のため、その寿命がつきかけていた。
そして、雷禅は700年前に愛した女のことを語り、後の事を幽助に托し、静かに息をひきとったのだった(合掌)。
700年の恋
雷禅さまって、1000年前から食事してないとか、北神さんが言ってませんでしたか? 雷禅さまは700年前だって言ってますけど……この300年のズレは一体……(長生きしてるから、300年ぐらいは四捨五入してもどうってことないんですかねえ)。
それにしても、雷禅さまって……本当にけなげな方だったんですねえ……はあ……。
雷禅さまの恋人さん(名前が知りたい)、そして幽助の遠いご先祖さまって、本当にすごい方です。
なんとゆ一か……凄絶に美しい。
超然としていて、普通の人間には見えない何かを見据えているような感じがします。
まなざしのひとつひとつ、言葉のひとつひとつに、凄味があります。
人間という存在の枠を超え、それでもなお人間である自分に誇りを持って生きている……そんなイメージです。
その女にひとめぼれして、一晩かけておがみ倒した雷禅さま……なんて、かわいいの!
「口説き落とした」じゃなくて「おがみ倒した」という言い回しをしたあたりを見ると、雷神さまって見栄もプライドもかなぐり捨てて、「お願いだから、おれのものになってくれ」みたいな調子でこのお方にひたすらすりよったような感じがします。
いや、それってなんだか幽助に通じるものがあると思いませんか?
幽助の螢子ちゃんに対する態度ってのが、こうだったでしよ。
螢子ちゃんにすげなくされても、ひたすらにすがりついて「お願いだから結婚して」って言う幽助とすごく似ているような気がする。
2人とも、どうしても手に入れたいもののためになら、いくらでもみっともないマネができるのよ。
そこらへんがどうしようもなくかわいいのね、女から見れば(少なくとも私はかわいいと思う)。
ああ、血は争えない(笑)。
雷禅さまが「誇りに思えよ」と言ったのは、その食脱医師さんの“血”を受けていることを誇りに思えよ、という意味ですね。闘神・雷禅の“血”を誇りに思え、というわけではないと思います。
だって、雷禅さまはこの食脱医師さんと一夜を共にできたことを誇りに思ってますよ。絶対。
“いい女”というのは男の女に対する最高の誉め言葉であると私は思います。
“きれいな女”とか“かわいい女”とか“やさしい女”よりも、“いい女”の方が格が高いの。
容姿だとか才能だとか性格だとか、すべての要素をひっくるめたうえでの言葉ですからね。
本当に雷禅さまば“いい男”だと思います。その雷禅さまが“いい女”と評したこのお方は、それこそ最高の女だったんでしょう。
だけと、「次に会うまで人を食うまいと勝手に決めた」というのがまたすごい……(なんだかこれって、願かけみたいですよね)。
で、次に会う時がいつまでたってもめぐってこずに、700年が経過してしまったという……雷禅さまって執念の人(苦笑)。
死んでしまってもあきらめきれず、生まれ変わりを待っていたとは……。
雷禅さまのこの想いは、“愛”じゃなくて“恋”ですよね。
雷禅さまは“恋”をして、その“恋”はきちんと成就したんです。
食脱医師をやっているということは、絶対にからだにものすごい負担をかけますよね(病死した人間の腐肉を食べるなんて、からだにいいわけない!)。
だから、この食説医師さんが子供を産むこと自体、ものすごく無理があったんじゃないかと思います(実際、子供を産んですぐに死んでしまったそうですし)。
それをおしてでもこの方は雷禅さまの子供を産んでくれたんですから……きっと、雷神さまも真剣に“恋”してもらっていたんでしょう。
雷禅さまは一夜限りの“恋”を、700年も忘れずに生きてきたの。
結局のところ、この“恋”は雷禅さまの寿命を縮めてしまったわけだけれど、そんなこと、雷禅さまにとってはどうでもいいことだったのかもしれないと思います。
雷禅さまは“恋”に殉じて死んだわけではなく、“恋”に殉じて生きていたら、その結果、たまたまこうなってしまっただけなのだと……私は思いたいです。
どんな飢餓状態にあっても、決して自分が勝手に立てた誓いを破ろうとはしなかった雷禅さま……そのー途さが、ちょっと哀しいです。
ああ、雷禅さまの死は最初から予告されていたものだから、そんなに落ち込まないだろうと思っていたのに……かなりこたえました。
雷禅さまのご冥福を、心からお祈りいたします。
雷禅さまの王国
雷禅さまのところの国民て、本当に皆ハゲ頭なんてすねえ(笑)。おまけにおそろの服を看ちやってまあ……。
ここの国民って、本当に雷禅さまを慕ってやって来た連中ばっかりなんですかね(少なくとも上層部は皆、そんな感じがするわ)。
これだけの妖怪たちが、雷禅さまに忠誠を尽くし、雷禅さまのために死のうとしている。
北神さんなんか、雷禅さまにならって人間を食べるのをやめるとまで言っている。
それでもなお、雷禅さまは女のために、彼らを置いて死んでしまうんですよね。
なんだか、こんなところまで幽助に似ていて、ち上っとだけせつないです。
幽助も雷禅さまも、その存在を頼りにして生きている連中をたくさん持っていて、しかも彼らは幽助や雷禅さまがどんな馬鹿をやろうと許してしまう。
それを知っていてなお、幽助も雷禅さまも、これと決めた道を脇目もふらずにつっばしっていってしまうのね。
そして、置いていかれてしまう者たちは、それでも幽助や雷禅さまを憎めない。
彼らが好きになったのは、そんな傍若無人で、どこまでも勝手きままな幽助であり雷禅さまであるから……,、
そして、置いていかれてもじーっと待ってて、いつか「おい、力を貸せよ」とか言われたら、喜んでついていってしまうのね。
幽助や雷禅さまを好きになった連中って、とてつもなくけなげで幸せだと思うわ。
雷禅さまの王国は、そのまま幽助の王国になるんでしょうか?
雷禅さまを愛した連中は、そのまま幽助を愛してくれるんでしょうか?
ぜいたくを言えば幽助には、雷禅さまの国を引き継ぐという形ではなく、幽助の国をつくって欲しいですね。
まあ、幽助は国王なんてガうじやないけど(それは雷禅さまにも言えることか?)。
X-Day
最初から来るとわかっていた、雷禅さまが死ぬ“X-Day”が、とうとうやってきました。
強い雷禅さまを心から慕っている幽助には、弱っていく雷禅さまをみつめることは、相当につらいことだったでしょう。
でもね……雷禅さまのために“食料”を調達するのだけはやめてくれ!
幽助が“人食い”を容認するのまでは、どうにか耐えられる……だけど、それはちょっと耐えられないわ、私……。
だって、そんなことをして、幽助が傷つかないわけがないわよ。
それは雷禅さまのためだと割り切っても、絶対に傷つくよ、幽助は。
だって幽助は今はもう魔族でも、昔はれっきとした人間だったんだもの。
雷禅さまのために幽助が人間を殺すなんて絶対に私はいや~!!(想像しただけで恐いわ、泣けてくるわで……)
しかし、そこまでしてでも生かしたいと思っていた雷禅さまが死んでも、幽助は泣いていません。
これはどういうことなんでしょうね。
雷禅さまの想いを理解し、これも仕方のないことと考えたのか、最初から覚悟ができていたのか、いまや幽助には雷禅さまから托されたたくさんの部下がいるから、彼らの前では泣けないと思ったのか、いまだ雷禅さまの死を実感できないでいるのか……。
いずれにせよ、皆が息をひそめて待っていた“X-Day”はやってきてしまったのです。
絶妙のバランスのもとに成り立っていた魔界の平穏は、雷禅さまの死と共に終わるわけですが、その跡継ぎとなる幽助は、魔界に何をもたらすんでしょうね。
雷禅さまのために……合掌
不親切なあらすじ
雷禅のもとで修行の日々を送っている幽助……だが、雷禅は栄養失調のため、その寿命がつきかけていた。
そして、雷禅は700年前に愛した女のことを語り、後の事を幽助に托し、静かに息をひきとったのだった(合掌)。
700年の恋
雷禅さまって、1000年前から食事してないとか、北神さんが言ってませんでしたか? 雷禅さまは700年前だって言ってますけど……この300年のズレは一体……(長生きしてるから、300年ぐらいは四捨五入してもどうってことないんですかねえ)。
それにしても、雷禅さまって……本当にけなげな方だったんですねえ……はあ……。
雷禅さまの恋人さん(名前が知りたい)、そして幽助の遠いご先祖さまって、本当にすごい方です。
なんとゆ一か……凄絶に美しい。
超然としていて、普通の人間には見えない何かを見据えているような感じがします。
まなざしのひとつひとつ、言葉のひとつひとつに、凄味があります。
人間という存在の枠を超え、それでもなお人間である自分に誇りを持って生きている……そんなイメージです。
その女にひとめぼれして、一晩かけておがみ倒した雷禅さま……なんて、かわいいの!
「口説き落とした」じゃなくて「おがみ倒した」という言い回しをしたあたりを見ると、雷神さまって見栄もプライドもかなぐり捨てて、「お願いだから、おれのものになってくれ」みたいな調子でこのお方にひたすらすりよったような感じがします。
いや、それってなんだか幽助に通じるものがあると思いませんか?
幽助の螢子ちゃんに対する態度ってのが、こうだったでしよ。
螢子ちゃんにすげなくされても、ひたすらにすがりついて「お願いだから結婚して」って言う幽助とすごく似ているような気がする。
2人とも、どうしても手に入れたいもののためになら、いくらでもみっともないマネができるのよ。
そこらへんがどうしようもなくかわいいのね、女から見れば(少なくとも私はかわいいと思う)。
ああ、血は争えない(笑)。
雷禅さまが「誇りに思えよ」と言ったのは、その食脱医師さんの“血”を受けていることを誇りに思えよ、という意味ですね。闘神・雷禅の“血”を誇りに思え、というわけではないと思います。
だって、雷禅さまはこの食脱医師さんと一夜を共にできたことを誇りに思ってますよ。絶対。
“いい女”というのは男の女に対する最高の誉め言葉であると私は思います。
“きれいな女”とか“かわいい女”とか“やさしい女”よりも、“いい女”の方が格が高いの。
容姿だとか才能だとか性格だとか、すべての要素をひっくるめたうえでの言葉ですからね。
本当に雷禅さまば“いい男”だと思います。その雷禅さまが“いい女”と評したこのお方は、それこそ最高の女だったんでしょう。
だけと、「次に会うまで人を食うまいと勝手に決めた」というのがまたすごい……(なんだかこれって、願かけみたいですよね)。
で、次に会う時がいつまでたってもめぐってこずに、700年が経過してしまったという……雷禅さまって執念の人(苦笑)。
死んでしまってもあきらめきれず、生まれ変わりを待っていたとは……。
雷禅さまのこの想いは、“愛”じゃなくて“恋”ですよね。
雷禅さまは“恋”をして、その“恋”はきちんと成就したんです。
食脱医師をやっているということは、絶対にからだにものすごい負担をかけますよね(病死した人間の腐肉を食べるなんて、からだにいいわけない!)。
だから、この食説医師さんが子供を産むこと自体、ものすごく無理があったんじゃないかと思います(実際、子供を産んですぐに死んでしまったそうですし)。
それをおしてでもこの方は雷禅さまの子供を産んでくれたんですから……きっと、雷神さまも真剣に“恋”してもらっていたんでしょう。
雷禅さまは一夜限りの“恋”を、700年も忘れずに生きてきたの。
結局のところ、この“恋”は雷禅さまの寿命を縮めてしまったわけだけれど、そんなこと、雷禅さまにとってはどうでもいいことだったのかもしれないと思います。
雷禅さまは“恋”に殉じて死んだわけではなく、“恋”に殉じて生きていたら、その結果、たまたまこうなってしまっただけなのだと……私は思いたいです。
どんな飢餓状態にあっても、決して自分が勝手に立てた誓いを破ろうとはしなかった雷禅さま……そのー途さが、ちょっと哀しいです。
ああ、雷禅さまの死は最初から予告されていたものだから、そんなに落ち込まないだろうと思っていたのに……かなりこたえました。
雷禅さまのご冥福を、心からお祈りいたします。
雷禅さまの王国
雷禅さまのところの国民て、本当に皆ハゲ頭なんてすねえ(笑)。おまけにおそろの服を看ちやってまあ……。
ここの国民って、本当に雷禅さまを慕ってやって来た連中ばっかりなんですかね(少なくとも上層部は皆、そんな感じがするわ)。
これだけの妖怪たちが、雷禅さまに忠誠を尽くし、雷禅さまのために死のうとしている。
北神さんなんか、雷禅さまにならって人間を食べるのをやめるとまで言っている。
それでもなお、雷禅さまは女のために、彼らを置いて死んでしまうんですよね。
なんだか、こんなところまで幽助に似ていて、ち上っとだけせつないです。
幽助も雷禅さまも、その存在を頼りにして生きている連中をたくさん持っていて、しかも彼らは幽助や雷禅さまがどんな馬鹿をやろうと許してしまう。
それを知っていてなお、幽助も雷禅さまも、これと決めた道を脇目もふらずにつっばしっていってしまうのね。
そして、置いていかれてしまう者たちは、それでも幽助や雷禅さまを憎めない。
彼らが好きになったのは、そんな傍若無人で、どこまでも勝手きままな幽助であり雷禅さまであるから……,、
そして、置いていかれてもじーっと待ってて、いつか「おい、力を貸せよ」とか言われたら、喜んでついていってしまうのね。
幽助や雷禅さまを好きになった連中って、とてつもなくけなげで幸せだと思うわ。
雷禅さまの王国は、そのまま幽助の王国になるんでしょうか?
雷禅さまを愛した連中は、そのまま幽助を愛してくれるんでしょうか?
ぜいたくを言えば幽助には、雷禅さまの国を引き継ぐという形ではなく、幽助の国をつくって欲しいですね。
まあ、幽助は国王なんてガうじやないけど(それは雷禅さまにも言えることか?)。
X-Day
最初から来るとわかっていた、雷禅さまが死ぬ“X-Day”が、とうとうやってきました。
強い雷禅さまを心から慕っている幽助には、弱っていく雷禅さまをみつめることは、相当につらいことだったでしょう。
でもね……雷禅さまのために“食料”を調達するのだけはやめてくれ!
幽助が“人食い”を容認するのまでは、どうにか耐えられる……だけど、それはちょっと耐えられないわ、私……。
だって、そんなことをして、幽助が傷つかないわけがないわよ。
それは雷禅さまのためだと割り切っても、絶対に傷つくよ、幽助は。
だって幽助は今はもう魔族でも、昔はれっきとした人間だったんだもの。
雷禅さまのために幽助が人間を殺すなんて絶対に私はいや~!!(想像しただけで恐いわ、泣けてくるわで……)
しかし、そこまでしてでも生かしたいと思っていた雷禅さまが死んでも、幽助は泣いていません。
これはどういうことなんでしょうね。
雷禅さまの想いを理解し、これも仕方のないことと考えたのか、最初から覚悟ができていたのか、いまや幽助には雷禅さまから托されたたくさんの部下がいるから、彼らの前では泣けないと思ったのか、いまだ雷禅さまの死を実感できないでいるのか……。
いずれにせよ、皆が息をひそめて待っていた“X-Day”はやってきてしまったのです。
絶妙のバランスのもとに成り立っていた魔界の平穏は、雷禅さまの死と共に終わるわけですが、その跡継ぎとなる幽助は、魔界に何をもたらすんでしょうね。