『ジャンプSQ.』2008年06月号 感想

『Luck Stealer』(No.7 陰謀)
友人を助けるために、真也に助けを求めた悠聖。
その借りを返すために、真也の依頼を受けることになるが……って、借りたものに対して、返すものが多すぎるし!
世の中、流行りは等価交換よ(笑)。
いや、そんなことになるんだろうなあ、と思ってたのよ。なにせ、相手があの真也だから。
真也の鬼畜っぷりが笑えてしかたない。

悪者にしか手を出さない、というポリシーを貫いてきた悠聖だけど、今度ばかりはむずかしいことになっちゃってる。
悪者だけを相手にする、ってのは悠聖にとってぎりぎりの妥協点なんだと思うんだけどね。
友人の命と引き替えと思えば安い、という考えもあるかもしれないけど、厳しいよなあ。

『テガミバチ』(第十七話 再会、涙、涙、涙)
捜し求めていたゴーシュと再会したラグ。
しかし、ゴーシュには過去の記憶がなく、みずからを「ノワール」と名乗り、自分の仕事は「奪うこと」だと言った。
わけがわからないまま、立ち去るゴーシュを、涙を流しながらみつめることしかできなかったラグ。
脳裏に浮かぶのは、やはり涙で見送ることしかできなかった母親の姿。
毎回、泣いている印象のあるラグだけど、今回の涙は本当につらい涙だった。

一方、ゴーシュのディンゴ・ロダと対峙するニッチ。
ロダにディンゴ失格だと言われて、こちらもショックを受けてしまう。
まあ、主人のラグをほっぽりだしてふらふらするとこは、確かにダメだと思うんだけど、ラグはニッチにそんなもの求めてないような気が……。
自分はラグのディンゴである、というのがニッチの唯一のアイデンティティだから、それを否定されてしまったら、ニッチはどうしていいのかわからないんだろうな。
ラグは自分の悲しみでいっぱいで、ニッチのことを考える余裕がないし……。

ゴーシュを連れて帰れなかったことを謝るラグに、ゴーシュの生存が確認できたことがうれしいと言うシルベット。
そうだね。生きてるんだか死んでるんだかわからない状態よりは、ずっとマシなんだよね。
ラグは責任感が強すぎて、マイナス方向にしかものを考えられなかったんだな。

パンツをラグに返して、ニッチが家出。
なんでパンツ……って、ニッチにとってはパンツはラグのディンゴであるという証なんだろうね。
おかげでニッチがまたもやノーパンに! なんて笑い事ですむもんではなく、事態は結構、深刻かもしれない。
ニッチは相当ガンコだから、説得するのも大変そうだし。

『TISTA』(CHAPTER7:幼い羊)
教会から聖務の執行権の剥奪を宣告されたティスタ。
ショックを受ける彼女が思い出すのは昔の自分。
とゆーことで、ついにティスタの過去と彼女が持つ能力の正体が明らかに。

ティスタの「目」に宿っている能力は、人から人へと伝播するものらしい。
それも、能力を持っている人は、感染させる相手を選ぶことができず、勝手に、近くにいる子供に、知らない間に伝播してしまう。
なんか、ホンモノのウィルスみたいだな。
だからこそ、自分は特別に選ばれた人間であると、ティスタは思うことができたのかもしれない。

ティスタが一番、最初に殺したのは父親と母親。
実際に彼女が手をくだしたのかはわからないけれど、ティスタはそう思っている。
この世界の不条理を最初にティスタに教えたのは親だった。
そして、幼い彼女は怒りと悲しみばかりを心の中に蓄え、それを声にすることさえできなかった。
そんな閉じこもることしかできなかった心を解き放つことになったのは、皮肉にも「人を殺す力」。
そのことにより、彼女は「人を殺すこと」に対する正当性を獲得したのかもしれない。

それにしても暗い。重い。怖い。
こーゆーの描いてると、作者ご本人もそうとうキツイことになるんじゃないかな、と余計なことを考えてしまうくらい。
どっかにハッピーエンドのシナリオはないもんかなあ。