『ジャンプSQ.』2008年08月号 感想

『テガミバチ』(第十九話 アジサイ色の絵テガミ)
テガミ弾に入れるテガミを書こうとして悩みまくるラグ。
BEE仲間に相談するものの誰もテガミをちゃんと書いたことがない。
配達するばっかで自分では書かないんだね。紺屋の白袴?(なんかビミョ~に違う気がする)

そんなラグに舞い込んだ依頼は、テガミの配達ではなく、差出人不明のテガミの差出人を探すこと。
依頼人のレイさんがめっちゃ美人~。
今回はメインストーリーから独立した感じの話だけど、あいかわらず人情話系のつくりかたがめっちゃうまいなあ。

ところで中原中也の『汚れつちまつた悲しみに…』の浅田先生表紙バージョンを買ってしまった。
以前、図書館で借りて読んでて、そのうち買おうかなあ、と思ったんで、せっかくなら浅田先生の絵付きの方がお得じゃん、とゆーことで。
表紙として採用された方もステキだけど、私としては『スクエア』のとじこみポスターに採用された絵の方が好きだなあ。

『曽根崎心中!』
河下水希先生の読みきり。
あいかわらず、女の子のからだのプニプニ感が見事すぎる。
WJよりも規制がゆるいSQとゆーことで、いつもよりグレードアップしてるような気も。

河下先生がインタビューで、「感動した」よりも「面白かった」と言われたい、といった発言をしていたけど、私の中では「ああ、女の子がかわいかった」というのが、いつもの感想。
この路線を極めるために突っ走っていって欲しい方だよなあ。

『Luck Stealer』(No.9 依頼人)
悠聖の力をみせつけられ、それが自分の手に負えるものではないと悟ったらしい氷見山。
悠聖を追う事をあきらめると同時に警察まで辞めてしまった。
悠聖が様々な事件の犯人であると知っているのに、それを追えないは警察官としての自分が許せず、それなら警察官を辞めてしまうしかないと考えたのかなあ。
なんかもう、融通のきかない男(苦笑)。

殺さない、という誓いを守ることができて一安心の悠聖。
だけど、自分の存在がいろんなものをねじまげていることに思いが至らないほどお気楽でもない。
真也にいいように騙されてるだけの存在でいられれば楽だったののね。

これからは悠聖のルーツを探る物語になっていくのかなあ。

『TISTA』(LAST CHAPTER:優しい距離)
元の自分に戻るためにアーティーを殺そうとするティスタ。
しかし、どうしても殺すことができず、ティスタは自身に銃口を向ける。

ついに「間違えた」と口にしてしまったティスタ。それは多分、彼女が常に思っていて、そして、どうしても口にできなかった言葉。
それを認めてしまったら、ティスタは罪の意識に押しつぶされて生きていけなくなってしまうから。
でも、ティスタはそれを口にしてしまった。だから、人生を「降りる」しかなかった。

だけど、アーティーを狙うもう一人の「修道士」の存在を知り、ティスタは死ぬことができなくなった。
アーティーを救うために、アーティーとFBI捜査官の前に姿を現したティスタは撃たれてしまった。
FBI捜査官に捕まりそうになったティスタを助けたのは、ティスタをずっと見守り続けていたプーおじさんだった。

ゼロイン同士の死闘の中、倒れたティスタは長い昏睡状態に陥り、プーおじさんはFBIにすべてを白状することで、彼女の減刑を願った。
しかし、新しくゼロインを引き継いだ子供によってプーおじさんは殺された。
そして、ティスタは目覚め、120年の刑に服している……。

作者コメントで「力不足を痛感。今作を糧に次はもっとおもしろい物語を描けるように頑張ります!!」と書いていた遠藤先生。
確かに、途中で放り出された感が否めない(苦笑)。
このマンガを読みながら、この物語はどう決着がつけば納得できるんだろうか、とずっと悩んでいた。
どうしても「キレイ」な終わり方が思いつかなかったんだよね。
殺し屋をやめたティスタはアーティーと結ばれ幸せになりました、で終わらせられないだろう、と。それで済ますにはティスタは人を殺しすぎていると。
自分の罪を真正面から認めて、それでもティスタがアーティーと生き延びる道を望む、というのが定石のような気がするけど、それにしてもティスタの背負ったものが重過ぎて、そのルートを登ることができるんだろうか、と。
一読者である私がおせっかいなことにそうやって悩んでいたくらいだから、作者である遠藤先生はもっと悩んでいたんだろうなあ、と愚考するわけだ。
スノウとスージーをもっと活かしてあげられたらよかったのかなあ。

とにもかくにも、『TISTA』の物語はこれで完結。
この物語の行く末が心配(?)で私は『SQ.』を買い続けていたような気がする。
もっとうまい決着のつけかたがあったんじゃないか、というのが正直な気持ち。
それでも、私は遠藤先生に失望してはいない。
なぜだか、この人はいつか、もっともっとおもしろいマンガを私に読ませてくれるんじゃないか、という強い期待があるから。
だから、今のところは、「おつかれさまでした」と言いたい。
遠藤先生、次回作を楽しみにしております。