『暗殺教室』第1話 暗殺の時間 感想、もしくは、松井優征の帰還

『週刊少年ジャンプ』で松井優征先生の連載『暗殺教室』がはじまった!

前連載『魔人探偵脳噛ネウロ』が終了してから約3年……あいまにちょこちょこと読み切りは描いてらしたけど……長かったなあ(しみじみ)。
松井センセの読み切りはとてもおもしろいんだけど、やっぱり連載が読みたかった。どうしてもどうしても。

待たされすぎて、先週、『ジャンプ』で連載予告をみつけてしばらく放心状態。昨日、店頭で『ジャンプ』の表紙をみて呼吸困難というありさま(苦笑)。
いやいや、人間、待たされすぎると、反応が過剰になるのね。

それにしても、読み切りを経ないで連載というのはめずらしい。
読み切りで載せるとインパクトが薄れちゃうから、とかいうインパクト勝負ものなのかな? とか予想してたんだけど、今週の『ジャンプ』の表紙はかなりなインパクトだった。
いやいや、先週の予告カットにでてた変な生物は、色がつくとさらに変な生物になってるじゃないか。

冒頭は、なぜかシールドグラスをつけた子供たちと、変な生物。
で、次の見開きページで子供たちがいきなり発砲。

2ページ目ですでにポカーンですがな。

てか、『ジャンプ』の表紙に「暗殺者参上」とか描いてあったから、変な生物が暗殺者なのかと思ったら、変な生物は暗殺される側だった……。
そうか、なんでみんなシールドグラスつけてんのかと思ったら、万が一の事態から目を守るためか。子供たちの安全対策は万全だな(苦笑)。

そして、なぜかポカーンて口ひらいたみたいになっちゃってる月がご登場で、さらにポカーン。
「我々はもう一生三日月しか見れないのです!!」って問題はそこかよっ。
引力とか潮汐力とかよくわかんないけど、あれだけ月が欠けたら、地球は異常気象で大変なことにになってるだろ、とか突っ込んでは負けだ、ということはよくわかっている。うん。

「初めまして、私が月を爆った犯人です」
「来年には地球も爆る予定です」
「君達の担任になったので、どうぞよろしく」
今北産業乙!

今回分を読んだ後で、この台詞を読み返すと、3行でこのマンガの設定が見事にまとめられていることがわかるという……。
あいかわらず松井センセはやることに無駄がない。


主人公だけが段違いに強い、というのは『魔人探偵脳噛ネウロ』と同じ。
だけど、変な生物は人間を下等生物とみなしている様子はない。
むしろ、他の先生たちよりも、生徒たちを慈しんでいるようにみえる。

学校側から「価値がない」とされた子供たちは、得体の知れない生物のおかげで、「特別な存在」になっている(世間的には公表されていなくても)。
行き止まりの場所に溜まることしかできない子供たちに対して、気持ち的には「目的」を、社会的には「存在価値」を、変な生物はその圧倒的な力によって与えている。
そして、子供たちを「特別な存在」にすることこそが、「殺せんせー」の目的なのかもしれないなあ、と思ってみたり。

『魔人探偵脳噛ネウロ』が「食欲」の物語で、『東京デパート戦争体験記』が「物欲」の物語とすれば、この『暗殺教室』は「承認欲求」の物語なのかもしれない。

けれど、「食欲」や「物欲」を満たすよりも、「承認欲求」を満たすことははるかに難しい。
それは、「他者」の存在を必要とするから。

う~ん、殺せんせーは子供たちをどこに導きたいのか。ひいては、松井センセは読者に何を伝えたいのか。

それにしても松井優征だ。
まごうことなき松井優征のマンガだ。
あの松井優征がついに『週刊少年ジャンプ』に帰還したのだ!

設定はブラックなのに、なんか妙に愛嬌がある。
これはもう松井センセの最大の魅力だと思うんだ。

絵はちょっとまるくなったというか、線が太くなったのかな?
登場してるのが、変な生物と子供たちばっかりなんで、なおさらそういう印象をうけるのかも。

にしても、渚くんはかわええなあ。
最初、女の子? とか思っちゃったよ。

殺せんせー実は美形? フラグも立ってたりするし、いろいろと楽しみっ。