『ワールドトリガー』第144話 「香取葉子」 感想
いきなり、1話まるごと過去話になってびっくりした。
香取ちゃんと華さんは予想通り幼なじみか。
香取ちゃんは元々、何をやらせてもそこそこうまくやれちゃう系なのか。
そんな自分に満足してるから、たいして努力もしないし、がんばるのは無能の証、くらいに思ってそうな感じ。
がんばらなくても常に優越感を持って生きてこれたし、家族にめっちゃかわいがられているし、確かに変化を望む理由がない状態だよなあ。
一方、華さんの父親は娘が一番でなければ、友人との交流さえ禁じる厳格さ。
母親はとてもやさしそうな人だけど、これはいろいろと気詰まりだろうな。
それにしても、娘のために、祖父からもらった大事な家の壁を切っちゃうお父さんすごい(笑)。
いや、なんで自分でやろうとするし。
ないところに窓をつけて「模様替え」というのはさすがに苦しいが、それだけ香取ちゃんにとっては華さんは大事な存在だし、それが華さんのためにならないと言われるのは、めちゃくちゃ屈辱的だったんだろう。
そして、やってきた第一次大規模侵攻の日。
崩れた家の中に閉じ込められた香取ちゃんを助けたのは、華さんだった。
爪がはがれて、手がぼろぼろになって、それでも必死に瓦礫をどかして。
華さんが手袋をしているのは、この時の傷跡を隠すためなんだろうな。
親の心配をする香取ちゃんをなだめて、避難させた華さん。
この時、華さんの「大丈夫だから」は、香取家のみんなが娘だけ置いて外出したことを知っていたからこその言葉かもしれないし、香取ちゃんだけしか救う余裕がないから、香取ちゃんを動かすための嘘だったのかもしれない。
でも、それを言った時の華さんは、全然、大丈夫なんかじゃなかった。
そんな彼女のいう「大丈夫」に逆らうことなんてできるはずがないよなあ。
華さんは、家族より香取ちゃんの方が助けやすそうだったから、香取ちゃんを選んだ、と言った。
でも、もしかしたら、家族の方を先に助けようとして、どうにもこうにもならなくてあきらめたのかもしれない。最悪、助かっていなかった家族を目にした可能性もある。
そこのところを華さんは語らない。
香取ちゃんもそれ以上、追及のしようがないよなあ。
そして、お金が稼げるし、住む場所も確保できるから、という理由で、華さんはボーダーに入った。
両親を亡くし、ようやく中学生になろうとしている華さんにとって、自分の力だけで生きていけるルートはボーダーぐらいなものだろう。
でも、それだけじゃないんだろうなあ、と思うのは、BBFに載っていた派閥グラフで、華さんが隊員としては三輪に次ぐぐらいの城戸派に位置しているからだ。
無表情で、淡々としているようにみえて、それでも心の中にはいろいろなものが渦巻いてそうだよなあ、華さん。
家は失ったけど、家族は全員無事で、トリオンに恵まれ、戦闘センスもそれなりに高い香取ちゃん。
家を失い、家族をすべて失い、トリオンに恵まれず、オペレータになるしかなかったんだろうな、と思われる華さん。
この華さんの不遇さのハンパなさよ。
香取ちゃんは「ワタシ天才だから」とか言っちゃうくらいに、いろんな才能に恵まれて、だからこそ、努力というものを知らない。
多分、頑張り方がわからない。我慢がきかない。
華さんみたいに、将来に備えてこつこつと自分の能力をあげていこう、という発想がない。
そういう性格はそうそう変わるものではないから、華さんのためにも1番になりたい、と思ってはいても、負ければつまらないしむかつくしへそまげるし、ちょっと方向を間違えただけで自分は本当はデキるはずなんだ、とポジションをかえてみたりする、というのは、ものすごくわかりやすいかなあ。
小学生の頃なら、天賦の才だけで無双できるけど、成長するほどに、それだけでは生きていけなくなる。
ましてやボーダーの正隊員には、才能があるうえに努力も惜しまないような人がごろごろいる。
この中で勝ち抜いていくのはさすがに厳しいだろう。
B級のトップ2は、A級の強さを保持したままB級に降格した二宮隊と影浦隊。
B級上位グループにいるというのは、その2隊や、元A級1位隊隊長の東さんと戦うということで、これは香取ちゃんにとっておもしろくないことこのうえないんだろうな。
それで、B級中位グループなら無双できると思いきや、三雲隊にこてんぱんにやられてるし。
結局のところ、香取ちゃんは変化を望んでいないのかもしれない。
だから、大きく動かない。
そんな香取ちゃんを、華さんはうらやましく思っているのかもしれない。
だってそれは、現状にある程度、満足しているということだから。
でも、華さんは変化を望んでいるんじゃないのか?
現状に満足していないんじゃないのか?
香取ちゃんは、そんな華さんのためにできることが、いっぱいあるんじゃないのか?
そう思わずにいられない。
でもそう簡単に変われるようなら香取ちゃんじゃない、という気もするしなあ。
それにしても、瓦礫の山の向こう側を巨大なトリオン兵がドドドドドと走り回っている絵がめっちゃこわかった。
なんだよあのシュールな絵。
奈良坂と古寺は家を壊された、とかいう話があったけど、彼らもこんな光景をみたのかもしれないなあ。
ボーダーの正隊員の中心層である高校生たちは、第一次大規模侵攻の時は、小学生か中学生だったわけで、おそらく、大人たちに守られるだけでなんにもできなくって、それを悔しく思うくらいの年齢だったんだろう。
でも、ボーダーは、子供だからこそできること、を示してくれて、ネイバーにやられっぱなしな状況に抵抗する手段を与えてくれた。
ネイバーによって何かを奪われた子供たちにとって、ボーダーは意外と重い存在なのかもしれない。
逆を言えば、ボーダーはそんな子供たちを利用しているということなんだけど、大人が戦うだけで問題が片付くのならそうしてる、ってとこなんだろうなあ。
オサムはヒュースがネイバーであることは問題じゃない、という考えだけど、ネイバーにあんな光景をみせられた子供たちがいるボーダーに、ヒュースが入るというのは、実はものすごく大変なことなんじゃないのか? という気がしてきた。
オサムは意外とそういうとこ無神経というか、自分が必要だと思うものに手を伸ばす時は、周囲をばっさり切り捨てるとこがあるよね。
ところで、嵐山さんは放棄された家であっても壊すことを嫌うという話があったけど、今は放棄されているけれど以前はそこにたくさんの家族がいて、穏やかに暮らしていたということを知っているから、そして、自分は何より家族が大事だから、よその家族のことであってもその名残を必要以上に傷つけることを厭うのかなあ、とか思った。
香取ちゃんと華さんは予想通り幼なじみか。
香取ちゃんは元々、何をやらせてもそこそこうまくやれちゃう系なのか。
そんな自分に満足してるから、たいして努力もしないし、がんばるのは無能の証、くらいに思ってそうな感じ。
がんばらなくても常に優越感を持って生きてこれたし、家族にめっちゃかわいがられているし、確かに変化を望む理由がない状態だよなあ。
一方、華さんの父親は娘が一番でなければ、友人との交流さえ禁じる厳格さ。
母親はとてもやさしそうな人だけど、これはいろいろと気詰まりだろうな。
それにしても、娘のために、祖父からもらった大事な家の壁を切っちゃうお父さんすごい(笑)。
いや、なんで自分でやろうとするし。
ないところに窓をつけて「模様替え」というのはさすがに苦しいが、それだけ香取ちゃんにとっては華さんは大事な存在だし、それが華さんのためにならないと言われるのは、めちゃくちゃ屈辱的だったんだろう。
そして、やってきた第一次大規模侵攻の日。
崩れた家の中に閉じ込められた香取ちゃんを助けたのは、華さんだった。
爪がはがれて、手がぼろぼろになって、それでも必死に瓦礫をどかして。
華さんが手袋をしているのは、この時の傷跡を隠すためなんだろうな。
親の心配をする香取ちゃんをなだめて、避難させた華さん。
この時、華さんの「大丈夫だから」は、香取家のみんなが娘だけ置いて外出したことを知っていたからこその言葉かもしれないし、香取ちゃんだけしか救う余裕がないから、香取ちゃんを動かすための嘘だったのかもしれない。
でも、それを言った時の華さんは、全然、大丈夫なんかじゃなかった。
そんな彼女のいう「大丈夫」に逆らうことなんてできるはずがないよなあ。
華さんは、家族より香取ちゃんの方が助けやすそうだったから、香取ちゃんを選んだ、と言った。
でも、もしかしたら、家族の方を先に助けようとして、どうにもこうにもならなくてあきらめたのかもしれない。最悪、助かっていなかった家族を目にした可能性もある。
そこのところを華さんは語らない。
香取ちゃんもそれ以上、追及のしようがないよなあ。
そして、お金が稼げるし、住む場所も確保できるから、という理由で、華さんはボーダーに入った。
両親を亡くし、ようやく中学生になろうとしている華さんにとって、自分の力だけで生きていけるルートはボーダーぐらいなものだろう。
でも、それだけじゃないんだろうなあ、と思うのは、BBFに載っていた派閥グラフで、華さんが隊員としては三輪に次ぐぐらいの城戸派に位置しているからだ。
無表情で、淡々としているようにみえて、それでも心の中にはいろいろなものが渦巻いてそうだよなあ、華さん。
家は失ったけど、家族は全員無事で、トリオンに恵まれ、戦闘センスもそれなりに高い香取ちゃん。
家を失い、家族をすべて失い、トリオンに恵まれず、オペレータになるしかなかったんだろうな、と思われる華さん。
この華さんの不遇さのハンパなさよ。
香取ちゃんは「ワタシ天才だから」とか言っちゃうくらいに、いろんな才能に恵まれて、だからこそ、努力というものを知らない。
多分、頑張り方がわからない。我慢がきかない。
華さんみたいに、将来に備えてこつこつと自分の能力をあげていこう、という発想がない。
そういう性格はそうそう変わるものではないから、華さんのためにも1番になりたい、と思ってはいても、負ければつまらないしむかつくしへそまげるし、ちょっと方向を間違えただけで自分は本当はデキるはずなんだ、とポジションをかえてみたりする、というのは、ものすごくわかりやすいかなあ。
小学生の頃なら、天賦の才だけで無双できるけど、成長するほどに、それだけでは生きていけなくなる。
ましてやボーダーの正隊員には、才能があるうえに努力も惜しまないような人がごろごろいる。
この中で勝ち抜いていくのはさすがに厳しいだろう。
B級のトップ2は、A級の強さを保持したままB級に降格した二宮隊と影浦隊。
B級上位グループにいるというのは、その2隊や、元A級1位隊隊長の東さんと戦うということで、これは香取ちゃんにとっておもしろくないことこのうえないんだろうな。
それで、B級中位グループなら無双できると思いきや、三雲隊にこてんぱんにやられてるし。
結局のところ、香取ちゃんは変化を望んでいないのかもしれない。
だから、大きく動かない。
そんな香取ちゃんを、華さんはうらやましく思っているのかもしれない。
だってそれは、現状にある程度、満足しているということだから。
でも、華さんは変化を望んでいるんじゃないのか?
現状に満足していないんじゃないのか?
香取ちゃんは、そんな華さんのためにできることが、いっぱいあるんじゃないのか?
そう思わずにいられない。
でもそう簡単に変われるようなら香取ちゃんじゃない、という気もするしなあ。
それにしても、瓦礫の山の向こう側を巨大なトリオン兵がドドドドドと走り回っている絵がめっちゃこわかった。
なんだよあのシュールな絵。
奈良坂と古寺は家を壊された、とかいう話があったけど、彼らもこんな光景をみたのかもしれないなあ。
ボーダーの正隊員の中心層である高校生たちは、第一次大規模侵攻の時は、小学生か中学生だったわけで、おそらく、大人たちに守られるだけでなんにもできなくって、それを悔しく思うくらいの年齢だったんだろう。
でも、ボーダーは、子供だからこそできること、を示してくれて、ネイバーにやられっぱなしな状況に抵抗する手段を与えてくれた。
ネイバーによって何かを奪われた子供たちにとって、ボーダーは意外と重い存在なのかもしれない。
逆を言えば、ボーダーはそんな子供たちを利用しているということなんだけど、大人が戦うだけで問題が片付くのならそうしてる、ってとこなんだろうなあ。
オサムはヒュースがネイバーであることは問題じゃない、という考えだけど、ネイバーにあんな光景をみせられた子供たちがいるボーダーに、ヒュースが入るというのは、実はものすごく大変なことなんじゃないのか? という気がしてきた。
オサムは意外とそういうとこ無神経というか、自分が必要だと思うものに手を伸ばす時は、周囲をばっさり切り捨てるとこがあるよね。
ところで、嵐山さんは放棄された家であっても壊すことを嫌うという話があったけど、今は放棄されているけれど以前はそこにたくさんの家族がいて、穏やかに暮らしていたということを知っているから、そして、自分は何より家族が大事だから、よその家族のことであってもその名残を必要以上に傷つけることを厭うのかなあ、とか思った。