『魔人探偵脳噛ネウロ』第181話 嘘【あくい】 感想

笹塚さんのお葬式で始まった今回。
ちょっとだけ……ほんのちょっとだけ、もしかして生き延びてないかなあ、と思ってたんだけど……。10の18乗分の1くらいは(←奇跡の数字)。
笹塚さんはゼロの世界に行ってしまわれた。
そこんとこきっちり念押しされちゃった感じだよ。
石垣はちゃんと生きててそこんとこはホッとした。もしかしてどっかで殺されてるとかないだろうなあ、と脅えてたもんで。

弥子ちゃんと話をする笛吹さん。
いつも弥子ちゃんに対しては、警察の仕事に首をつっこむな、ばかり言ってる人なのに、これからの捜査方針まで話してるんでちょっと驚いた。
笹塚さんにとっての弥子ちゃんを笹塚さんは語らなかったから、誰もそれを知ることはできない。
でも、弥子ちゃんにだけ見せる笹塚さんの顔ってのは確かにあった。
それを笛吹さんは理解していて、だからこそ笹塚さんの遺志を継ぐ者のうちの一人としての弥子ちゃんを認めたのかもしれないなあ、とか思ったりした。
弥子ちゃんと笛吹さんは「同志」になったんだよ、きっと。

「十年来のデキの悪い悪友が死んだ。それだけの事。泣くのも笑うのも…全てのケリがついた後でいい!」
それだけのことって、十年来の悪友なんて一人しかいないんじゃないの? 笛吹さん(泣)。
弥子ちゃんの前ではファイティングポーズしか見せない笛吹さん。
その笛吹さんの言葉を黙ってきいてるだけの弥子ちゃん。
なんか、泣くこともできない、って感じが痛々しすぎる。
「警察とはそういう生き方を選んだ人間の集まりだ!!」
そんな笛吹さんの言葉を聴いていた石垣。
この人だけはなごみ要員としてだけ存在していて欲しかったんだけど、そうもいかないのかなあ。
「手駒が盤上から降り、そして二度と戻ってこない喪失感。これが…死か」
魔人様なりの笹塚さんの死を悼む言葉。
「かなしい」とか「さびしい」とかいう感情を理解できない(もしかしたら自覚できないだけかも)魔人様は「喪失感」という言葉で笹塚さんの死を嘆くのか……。

この落ち込んでる展開の中、妙にハイテンションな葛西。
この人、私はわりと好きなんだけど、なんか嫌いになりそうよ。シクシク。
どーしてこの人、こんなにご機嫌なの?
好きなだけ燃え燃えしてるから?

本格的に動き出した笛吹さん。
信頼できる部下たちを召集して密命を下す。
いくらなんでもここまでの人数をすぐにかき集められるわけないから、かなり前から準備をしていたんだろうな。
でも、行動開始のふんぎりをつけさせたのは笹塚さんかも。
法律を絶対的ルールとしてきた笛吹さんは、法的にはみだす行動を決意した。
そして、自分のみならず部下たちにもそれを求める。
この策が成功しても失敗しても、法を破った責任をとって警察辞めます、くらいの決意はしてそうだよなあ。
てか、その前に命が危ないような気がするんだけど。
泣くのはすべてのケリがついてから、のはずだったのに、それでも流れてしまう涙に、なんかうっかりもらい泣きしてしまった。
警察組織になじまない印象が強かったヒグチも、こうやってみるといっぱしの警察官になっちゃってんだよなあ。

本城博士に会いにいった弥子ちゃん。
なんかちょっとなごやかムード……と思っていたら、いきなり「どうしてウソつくの?」だもんなあ。
本城博士が警察内の内通者であり、「シックス」の意をうけて笹塚さんに餌を撒いたのではないかと疑う弥子ちゃん。
この目の据わり方がコワい……。

魔人様の頭脳に頼らず、一人でこの結論を導き出した弥子ちゃん。
しかし「あんまり頭良くないから…この推理、不自然な点がいっぱいあるの」とゆーこと。
ちょっと考えても、本城博士が「シックス」の協力者なら、なんでジェニュインは本城博士を殺そうとしたの? とかいろいろとわからないことがあるもんな。
もしかしたら、魔人様も似たようなことを考えて、だけど不自然な点があるので切り捨てたのかもしれない。
でも、弥子ちゃんは不自然な点があるからこそ、そこにひっかかったんじゃないかと思う。
行動が不自然なのはポジションが不自然だから。
だから完全な「シックス」の手の内の者ではないとふんでるんじゃないかと……。

「違う、ってひとこと言って。そしたら…謝るよ」
そんなことを言うけど、弥子ちゃんは自分が「間違えてる」とは思ってないよね、多分。
推理は間違えてるかもしれないけど、きっと弥子ちゃんは「正答」にたどりついてると思うんだ。
ゆらぎのない弥子ちゃんの目と言葉。
謝る、と言いつつも、その目は本城博士を脅しているように見える。
日付がかわったどころの騒ぎじゃないよ。なんか、ステージをひとつクリアしたって感じだ。
これもひとつの「豹変」なのかもしれない。

最近、めっきり魔人様の出番が少ない。
その代わりといってはなんだけど、魔人様の意図しないところで動き出した弥子ちゃんと笛吹さん。
結局、人間を救うのは「魔人」ではなく「人間」、ということなんだろうな。

ところで、先週、いろいろとすっとばしたもんでちょっと補足。
サイは見事に女の子になってた。
アイさんと初対面した飛行機の中であんな顔してたから、あの時点ではサイもまだ本来の顔を覚えてたらしい。
今になってみると、「シックス」と微妙に似ててやだなあ。
バラバラにしないと読めなかったその人の内側を、生きながらにして読むことができるようになったサイ。
この能力を使って弥子ちゃんからアイさんの記憶を吸い上げて過去を思い出すのよ~、とか思った私はドリーマーすぎるだろうか。