『ハイキュー!!』コミックス第8巻のこととかアニメ化のこととか

『ハイキュー!!』の8巻が出て、ここらへんが第1部完! っぽかったので、なんとなく1巻から読み返してみた。

読み返してみると、1~4巻が烏野高校男子バレーボール部ができあがるまでのおはなしで、5~8巻がインターハイ予選のおはなしなのね。
アニメはとりあえず2クールと思われるので、ちょうど1クールずつで収まる感じかな?

8巻の表紙は王様の冠とマントを脱ぎ捨てる影山くんで、「第68話 脱・“孤独の王様”」の回の表紙が背後からで、8巻表紙が正面から、というワンセットの絵になってるんだね。
8巻のサブタイトル自体が「脱・“孤独の王様”」だし。

それでなんとなく思ったんだけど、1~4巻まではチームのメンツが揃い、ライバルが出揃う(牛若を除く)までのおはなしだけど、5~8巻のインターハイ予選編は、影山くんが“コート上の王様”=“孤独の王様”から、烏野のセッターに変身(?)するまでのおはなしだったんじゃないかな。
だからこそ、対青城戦では、一度、セッターがスガさんに替わらなければいけなかったんじゃないかと。

大地さんとは別方面から烏野バレー部をまとめあげてきた、正セッターのスガさんを、追い落とす形で影山くんは正セッターのポジションを獲得した。
セッターとして実力的には誰がみても影山くんの方が上だろ、って感じなんだけど、当の影山くんは“烏野のセッター”としてはスガさんの方が上なんじゃないか、と考えているような気がする。
で、それを決定的にみせつけられたのが対青城戦だったわけで、スガさんの戦いぶりを目の当たりにすることは、影山くんが“烏野のセッター”になるためにどうしても必要なものだったように思うんだ。

そして、セッターとしての影山くんの上に、絶対的に君臨する“大王様”・及川。
だけど、及川自身は自分が絶対的ではないと、痛いほどに自覚している。
なにせ、中学時代は2学年も下の影山くんに警戒心むきだしだったからね。今もそうだけど(苦笑)。

スガさんにとって影山くんは蹴落とすべき相手じゃないし、影山くんにとってのスガさんも右に同じくだ。
だけど、“大王様”・及川にとって、影山くんは蹴落とすべき相手なんだよね。明確に。

「――なんなんだ…アンタ。アンタみたいな人に、どうやって太刀打ちすれば――」
「飛雄、急速に進化するお前に、俺は負けるのかもしれないね。――でも、それは今日じゃない」

この影山くんと及川の台詞の対比が、現在のところの2人の位置関係を示しているように思える。
及川はいつか追いつかれることを覚悟したうえで影山くんを叩きのめすし、影山くんは自分と及川との差を目の当たりにして途方に暮れている。

影山くんは及川にどうやって太刀打ちすればいいのか。
答えは決まっている。
影山くんが崩れそうになった時に「おいまさかビビってんのか。ダッセー」と声をかけたのは日向くんだったし、及川が崩れそうになった時に「これでチャラな。どっちだって同じ1点だ」と言い放ったのは岩泉さんだ。
結局のところ、2人ともセッターだから、お互いの一番の「武器」は、自分のアタッカーに決まっている。
旭さんを一時的に失い、途方に暮れてしまっていたスガさんをみれば、「武器」を失ったセッターの悲哀がわかろうというものだ。

「うちの連中は、ちゃんと皆、強いからな」
結局、このスガさんの台詞が答えだと思うんだよね。
「“6人”で強い方が、強いんだろうが、ボゲが!!!」
と岩泉さんが言ったのも、多分、そういうこと。

チームの強さを、セッターが一番、信じていなければいけない。

で、このことをものすごくあっさりやり遂げているのが、音駒のセッター・研磨くんのような気がするんだよね(苦笑)。
「強いのはおれじゃなくて、皆だから」なんてこと言ってたし。

自分ひとりじゃバレーはできない、ということを、烏野に来てからわかったつもりで、実はわかっていなかった、と影山くんが自覚したのが対青城戦で、それを自覚したからこそ、影山くんは“王様”ではなくなったわけだ。

コート上には“王様”も“臣下”もいない。
自分の陣地にいるのは“味方”だけってことなんだよね。


インターハイ予選が、影山くんが“コート上の王様”を降りるための物語であったとすると、ここから先の物語は、日向くんが“小さな巨人”になるための物語になるのかなあ、と考えている。
だからこそ、インターハイ予選の間は、ラスボスになるであろう男・牛若と烏野の接点がまるでなかったのに、それが終わった途端に出会ったのかなあ、と。
牛若は、及川をいじめるためにいるんじゃなく(爆)、日向くんが“エース”になるために必要な存在だから、影山くんのための物語に出す必要がなかったんじゃないかな。


ところで、テレビアニメ化決定!
ということでめでたいね!
『黒子のバスケ』と同じくProduction I.G制作ということで、試合シーンのクオリティも期待できそうだし。
そんなわけで、絵の心配はあんまりしてないわけだけど、バレーボールアニメって、今、現役のアニメーターさんはほぼ未知の領域なんじゃないかな(苦笑)。

あと注目はやっぱりキャスティングがどうなるかだな……。
黒子くん@小野憲章さんがハマりすぎなだけに、どんな日向くんと影山くんが出てくるのか、期待半分不安半分といったところ。

ところで、及川はなぜか私の中では福山潤さんの声でしゃべっているんだが、なんでなんだろう(笑)。