『逃げ上手の若君』(第27話 死にたがり1334) 感想

『ジャンプ』表紙の集合絵のスイカを食べてる時行がかわいい!
いいよね、ノースリーブの時行様。


本編の表紙は信濃国勢力図。
なるほど、信濃国の真ん中部分を国司に奪われて、諏訪氏の領地と保科の領地が分断されちゃってる状況なのか。
これは確かに、頼重が援軍を出すのは難しそうだな。

保科も状況は理解していて、頼重に援軍は求めない。
だからもう、どんだけ派手に死ぬかの算段を立てている状態。
「もはや死が宴会芸の感覚だよ!」って……。
ノリノリすぎるだろ、この暑苦しいおじさんたち。

あと、「首だけの状態で敵の尻から侵入し」ってどういう状況なのかさっぱりわからん。
人間は首だけになってもお尻には入れる大きさにはならないよ(←とマジレスしてみる)。
本当にいろいろヤバい人だけど、「笑顔で死にます」って最後に付け加えてるのが最高にヤバさを際立たせてるな。
こういう描写が松井せんせーは本当にうまい。


そのヒートアップしてる現場にも冷静な人はいた。
保科の隣領の四宮。
自分の領地のことじゃないから、クールでいられるのかな。
落ち着いた感じの人だけど、この人も保科と同じ立場になったら「死ぬぞ!!」ってなるのかな……。

四宮の案は、保科に領地の南側を諦めさせて、自領の北側に逃げてもらう、ということ。
そうすれば守らなければならないものも減るし、四宮も助けやすいから勝てる見込みがある、ということらしい。
でも、領地の約半分を放棄して国司に乗っ取られるのが我慢ならないから、保科はこんな状態になってるんだよなあ。


結局、時行たちはあきらめて、とりあえず戦わせてくたびれたところを説得する、ということにした。
とりあえず戦わせて、の間にどれだけの犠牲がでるのか……とは思うけれど、全滅よりはマシなのかな……。

全員を救いたい、と言う話がまったく出てこないあたり、時行たちもこの時代の武士なんだよな。


一方、国司の軍は国司みずからが戦場に出てきた。
で、そのお守り役は市河。小笠原はうまく逃げたようだ。
「眼が腫れて」って……小笠原氏、目が飛び出てるから閉じると腫れてるみたいな感じになるのか。


玄蕃も吹雪もがんばっている。
特に弧次郎は一番、危険なところでがんばっている。
その姿に「あの子も…我らと共に死んでくれるのか!!」と喜ばれて時行がキレた。

「どうだ美しかろう」とか言われても、時行は「死」に美しさを見出せない。
思い出すのは、一族郎党がすべて失われていった姿。
そこに美しさなんてものはない。

保科は保科なりに、自分の最期を美しく飾り付けようとしているんだろう(←銀さん的言い回し)。
武士らしく、自分の領地を守るために、潔く、美しく、死んでいきました、と言ってもらえることを想像するくらいしかやれることがない、くらいまで追い詰められているんだろう。

でも、弧次郎まで道連れにするのは違うよね、ってなる。

「弧次郎が誰のために命がけで…」
時行の震えながらの言葉。
誰のために、っていったら、もちろん時行のために、だろう。
時行はそれをわかっている。

時行は、自分のために死ぬべき者をおまえのために死なせるとかありえない、みたいになってるのかな……って考えて、それってなんか傲慢だな、って感じた。
他人の命を自分のものだと信じて疑わないあたりが。
でも、その傲慢さこそが「主」としての資質なのかもしれない。

「私のために死んでくれ」といつか時行は弧次郎に言うんだろうか。
とか妄想しちゃって、ちょっとどんよりしてる。


ところで番外編の暑苦しい漢、松井せんせー、めっちゃノリノリで描いてそう。