『ワールドトリガー』第211話「遠征選抜試験・9」 感想(カンニングと協力の違い)

今月は1話掲載ですね。
葦原先生の首の調子がよろしくないそうで心配ですが、体調にあわせて2話掲載、1話掲載、休載と柔軟に対応できるのは、葦原先生が無理なく連載を続けられている感じがして、ちょっと安心します。
まあ、マンガ描いてること自体が無理してる、という気もするんですけどね。


1日目の成績が最下位だった諏訪7番隊。
おそるおそる香取ちゃんの方をみるオサムに笑った。
そしたら香取ちゃんがすごい顔しててさらに笑った。

香取ちゃんもわかっているんだ。
ここは香取隊じゃないんだから、感情的にふるまうのはよくないってことに。
だから、必死でギギギギと悔しさを噛み殺し、なんとかおさえこんでぶふぅぅと排気(?)した。

それにしても、ギギギギのところの香取ちゃんの表情の迫力すごいな。

「……まあ……今日はしょうがないわ」って、あからさまにいろいろ抑え込んでる感じで言ってる香取ちゃんをみて、宇井ちゃんが「堪えた」って考えてるけど、香取ちゃんが怒りだしたら自分が止めないといけないかな、とか身構えてたのかもしれない。

「逆に言えばメガネさえちゃんと働けば真ん中くらいはいけるってことでしょ」という言葉に、「だな。俺も同じ感想だ」と相槌をうつ諏訪さんも、香取ちゃんが沸騰しかけたことは完全にスルーして、香取ちゃんの判断を評価して、オサムにちょっとだけ注意することで、香取ちゃんをなだめているような気がする。


それにしても、下位3隊すべてに三雲隊のメンバーが入ってるのなかなかひどいな。
理由は察するけど。


歌川1番隊はやっぱりユーマが漢字読めなくて、小夜子ちゃんに質問して、小夜子ちゃんがあわあわしてた。
てか、中学生の虎太郎くんや、見た目が小学生なユーマでも、小夜子ちゃんはあわあわしてしまうのね。
東さんや諏訪さん相手だったらどうなっちゃうの?

漆間さんはいろいろキツイこと言ってるけど、ユーマは特に気にしてない、というか、本気で申し訳ないと思ってる感じ。
ユーマの人の判断基準は、嘘をつくかつかないか、にあるっぽいから、本音をぶちまけてくる漆間さんは高評価なのかもしれない。

漆間さんは小夜子ちゃんに対しては対応が丁寧だし、虎太郎くんに対してもむちゃくちゃ厳しいわけでもないし、お金がからまなければわりと普通の高校生な感じがしてきた。

ところでユーマの「外国育ち」の詳しい設定は私も知りたい。
傭兵やってる父親にくっついて紛争地域を渡り歩いてきた、というそんなにウソでもない設定になってるんじゃないかと予想。


一方、若村11番隊では、下から2番目になった主原因と思われるヒュースが、自分が足をひっぱったと堂々と分析をしていた。
「驚くほどのことじゃないな」って腕組みをしながら冷静に言ってるの笑う。
そりゃあ、マリオちゃんに「なんであんたが一番落ち着いてんの?」って言われる。

この順位発表の様子をA級隊員の誰かがみてると思うんだけど、玉狛の誰かがみてたら、ヒュースはこういうこと言う、って納得してそう。
小南ちゃんはひとりでキレてそう。


三雲隊のメンバーが入ってる隊が下位3位内に入ってることを心配してくれる笹森くん、やさしい。
でもヒュースは、心配してくれてありがとう、とか言わない。うん。オサムとチカちゃんは言うだろうけど、ヒュースとユーマは言わなそう。

「オレとユーマは戦闘試験でいくらでも挽回できるから問題ない」って、ききようによっちゃめっちゃ傲岸なことを言ってるけど、ヒュースはただ本当のことを普通に語ってるだけなんだよね。

ヒュースは実に通常運転だ。
ここが玉狛ではないこと、ちゃんと意識してる? って感じもするが、まあ、これがヒュースだ。
そして、諏訪7番隊で発生したトラブルを的確に読んでいる。さすがだ!


ヒュースが提案した共通課題の遅れの解決法は、課題を4等分して解いて、それを丸写しする、というもの。
学校の夏休みの宿題かよ。
まあ、確かに「課題」とは言われたけど、「学力をはかるための試験」とは言われてないから、それは「カンニング」にはあたらずただの「協力」だと解釈することも可能か。

ところで「正解は?」「越後製菓」ってなる問題ってなんなんです?
ヒュースが「越後製菓」を認識してるのもビックリだが。


ヒュースの説明は理路整然としていて、納得できるけど、ヒュースが口頭で答えたことを他の連中がきいてたことがセーフだから、協力して答えを解き合うこともセーフ、とは言い切れないよな。
単純に、ヒュースが日本語読めないからしょうがない、と黙認されただけ、という可能性もある。

でも、中学生の虎太郎くんと大学院生の東さんに、同じ学力試験を出してる時点で公平ではないからなあ。
教え合うこともアリ、という前提で出されている可能性もある。

つまりは、これもまた、運営の意図をどう読み取るか、という試験なのか?

ヒュースは常識とかをほとんど気にしなくて、合理的な解決方法をまず考えて、状況的にそれは通るか通らないか、だけを基準に判断するから、こういう発想もでてくるんだろうね。
カンニングはやっちゃダメ、という感覚すらなくて、それをジャッジする側が許容するか否か、だけがヒュースにとっては問題なんだろう。


「……オレが決めるのか……!? オレが……!? リーダーだからか……!」ってなってる若村に笑った。
そうだよ、リーダーだからだよ!

若村は決断することに慣れてないんだよね、きっと。
自分で決めたがる香取ちゃんという隊長につきあってきたから、文句いいつつもリーダーに従う、という行動に慣れすぎちゃったんだろう。


二宮8番隊では東さんが食事をつくろうとしていた。
料理をするからか、雑に髪を束ねてる姿がとても良いです!

「簡単に炒め物と米とスープでいいか?」って言ってるあたりに、自炊慣れしてる感ある。
慣れてない人は、簡単にで「炒め物」や「スープ」をあげないと思う。

チカちゃん、私物持ち込み許可分を全部お米にしちゃったの?
えっ、あれ結構な重さじゃない? トリオン体になってたのかな。

チカちゃんのお米にかける執念はなんなんだろう……。

びっくりしつつも深く追求せず「じゃあ多めに炊いとくよ」って言ってくれる東さん、やさしい。

ところで、二宮さんの「焼き肉の時」発言に動揺するユズルくんかわいいよね。
まあ、一緒に焼き肉に行く、というのはわりと親密感あるからな。


一方、柿崎3番隊の料理当番はののさんだった。
「おれも手伝いますよ!」って手を挙げた太一に、柿崎さんがちょっとびくっとしてない?
来馬先輩から太一についていろいろときかされてる?

ののさんが手伝いを断ったのは、太一に手伝わせると大惨事になるからかもしれない。


古寺6番隊の料理当番は六田ちゃんと奥寺か。
六田ちゃんは料理ができないわけじゃないけどドジっ子属性な気配が。


古寺が諏訪さんに電話しててちょっとびっくりした。
閉鎖環境試験だから、外と通信できないものだと思い込んでた。
実際の遠征もある程度は本部と連絡とれるものなのかな。

あれは支給のスマホのはずだから、そこに入ってる連絡先は、連絡をとってもいい相手ということだよね。
隊長同士だけが連絡をとりあえるのかな。それとも、隊員同士はみんな連絡をとりあえるのかな。

古寺が何かに気づいて、諏訪さんに確認をとりにきたけど、それは諏訪7番隊が最下位だからだろうか。
電話してることも当然、A級隊員の監視下なわけで、その中であえて確認をとりたいことってなんなんだろうな。


それにしても遠征選抜試験編に入ってから、香取ちゃん押しがすごくて、いいぞ、もっとやれ! って思うわけですが、チカちゃんと木虎ちゃんの出番がほぼないのはさびしい。