『逃げ上手の若君』(第93話 ディベート1335) 感想

時行と直義のディベート大会(?)開催中。
直義の猛攻を時行はうまく押し返していたけれど、それは頼重の仕込みというところを突かれて、時行がピンチ!

まあ、10歳の子供がそんなペラペラと話をきれいにまとめられるはずがないってのは確かだな。
この程度のことなら頼重が予想して対策を立ててても不思議はないし。


「幼子に対し言葉が過ぎたか」というのは、子供にキツく当たっちゃって悪かったな、という気持ちから出た言葉ではなく、時行はまだ頼りない子供なんだよ、ということを周囲にアピールするための言葉なのかな。


「宿命に縛られ苦しむお前を見たくないのだ」
この言葉で冷静になった時行。

時行にかける情けなど、直義は持ち合わせていない。
直義の言葉は、時行を素通りしすぎたのかな、と感じる。
それまで、バチバチな圧で攻撃をしかけてきたのは、直義の方便であって本心ではなかったかもしれないけど、少なくとも本気だった。
だけど、この言葉にはなんにも気持ちが乗っかってなくて、時行にそれが通じてしまったのかな、って。


ここから、北条がおさめていた過去のことから、足利が狙う未来に論点をずらしたのうまいな。

足利が北条を倒して帝に権力を戻したものの、その帝が悪政を布いたら、それは足利が余計なことをした、ってことになる。
その帝を足利が倒せばいいとこどりができるよね、と護良親王が指摘していたけれど、そこらへんは頼重も気づいていただろうね。


そして「子供だから」という事実を、子供だから大人(=頼重)に利用されだまされる、から、子供だから感情だけで動いても仕方ないよね! にすりかえた。

「気持ち悪いし大っ嫌いだ!!」
大人がこんなこと言ったら、冷静さを失った信用できない大将、という評価になるかもしれないけど、子供が言えば、心情を素直に言葉にした信用できる大将になる。

元々、信濃からついてきてた武士たちは、足利をつぶさないと落ち目になるだけとわかっていたから、「帝も嫌だし足利も嫌だ!」というのは本音だろう。
途中から合流した連中も、足利はともかく帝の政には反発しているんだろうから、帝は嫌、こんな状況をつくった足利は責任とれよ、ってなるだろう。

そして、主君を裏切った人物を、心の底から信用できるかと問われれば、否になるのも普通だろう。

でもまあ、一般人にしてみれば、時行がおとなしくしてくれてれば、戦のない日々が過ごせたかもしれないのに、ってなりそうだけどね。


めっちゃ見事に論戦をはねのけたな。
松井せんせーの手腕がスゴイ。