『アンデッドアンラック』(No.122 そんなキミだから) 感想(否定も肯定もすべて)

『ジャンプ』の集合表紙、今回もアンディと風子ちゃんがセンター! と言いたいところだけど今回は坂本さんかな。
それでもやっぱり、ちゃんとふたりそろってるところが素晴らしいですよ。
風子ちゃんの頭についてるお面、タチアナちゃんだし。

しかしながら、今回はあんまりいちゃいちゃしてないな、と思ったら、アンディが持ってるかき氷が青で風子ちゃんは赤なのに、べーってしてる舌の色は逆になっているという……。
『ジャンプ』表紙で匂わせとは、手の込んだいちゃつきをしてくれる!
戸塚先生、ありがとうございます。


最初の時は、「あなたを今回のループをする者と認めます」で、なんの説明もなくループさせられたらしいジュイスさん。
不親切すぎる。
口調からしてこれは「ルナ」かな。
地球を壊すのは「神」で、「アーク」で逃がすのは「ルナ」ってこと?


この頃、ジュイスはまだ女性ではないっぽいし、ヴィクトルも華奢だな。
ふたりとも10代後半くらいにみえるけど、この時点でまだ「老い」がなかったとかいうことなんだろうか。
「不老」の否定能力者であるファンがいるんだから、「老い」がどこかで追加されたルールでもおかしくはない。


それにしても、ざっと44億年もひとりっきりで、その半分は宇宙空間で窒息死を繰り返したり、マグマで焼死したりで意識なかったっぽいヴィクトル……ひどすぎる……。
人間が食べられるものが登場するまで、飢餓状態のはずだし。
それを100回も繰り返してると考えると、今のヴィクトルがそこそこまともなのが不思議なくらい。
おそらくは、耐えていればいつかジュイスさんに会える、という望みがヴィクトルの精神を支えていたんだろうけど。

だとしたら、ヴィクトルがジュイスさんを殺そうとしていた、ってのがさらに重く感じるな。
その次のループでは、ジュイスさんが待ってくれない、ということを覚悟してたってことだから。

そりゃあ、44億年ひとりぼっちなんて想像したら、ジュイスさんも号泣するよ。
ジュイスさんが「神」殺しをあきらめられないもの当然って気がしてきた。
自分があきらめたらヴィクトルはどうなるの、って考えたらそんな選択肢ふきとぶよ。

てか、ジュイスさんも2億歳超えしてる可能性あるのか。


ジュイスさんがメットをとった瞬間、アンディが刀をかまえるの良いよね。
アンディ、ジュイスさんのことを信頼しているけど、ジュイスさんにとっての一番が風子ちゃんじゃないということも承知している。
そして、アンディにとっての一番は当然のごとく風子ちゃん。
だから、風子ちゃんを守るためなら、ジュイスさんにだって刃を向けることをためらわないアンディの迷いのなさが良いよなあ、って。


風子ちゃんに義手で触れて「こうやってキミに触れながら伝えられるんだ。腕が吹き飛ぶのも悪くない」って笑うジュイスさんが本当にステキすぎる。
ジュイスさん、本来は明るくて人懐っこい性格なんだろうね。
ユニオンのボスとしての威厳をがんばって保ってきたんだろうけど。

「キレイかどうかは分からないが」ってにっこりしてるジュイスさんもいたり、今回、本当にジュイスさんの表情が良いなあ。
ようやく秘密を打ち明けることができて、すっきりしてるのかも。

ジュイスさんもビリー様も、わりとほわほわな性格を、たくさんの秘密や謀でラッピングしてきたんだな。


ループの移動地点が回を重ねるごとに後ろにずれこむってのは、どういうことなんだろうね。
1回ごとに数十万年のレベルでずれこんでるよ。多分。

次のループ地点はおそらく1800年代。
今回でいうと、ヴィクトルがアンディになり、ファンが生まれたくらいの頃かな?


ジュイスさんに本当はどうしたいのかを問われて、普通の子供として生きるタチアナちゃん、トップくん、チカラくんを見たい、と答える風子ちゃん。

チカラくん、からだを震わせて学校に通ってたのか。
前髪で視界を遮ってるだけじゃ不安で、常にからだをゆすりながら行動してたのかな。

否定能力のせいでつらいことはたくさんあった。
でも、つらいこと全部をなくしたいわけじゃない。
「その辛さに耐えたからアンディに会えた!!」という言葉をきいた時の、アンディのちょっと意表をつかれた、って感じの表情が良い。
アンディはこの言葉をよすがに、風子ちゃんに会うまでの数十億年を耐えるんだろうな。
まあ、耐えられなくても、死ねないけどね……って書くと本当にひどいな。


「辛い事も楽しい事も全部、人間のせいにしたいんです」
この言葉はすごいな、って思った。
否定も肯定もすべて呑み込んで自分のものにしたい、って意味だと思った。
とても風子ちゃんらしくて、とても腑に落ちる、この物語のゴールになるべき言葉だと思った。

そういう意味で、この回は折り返し地点になるのかもしれない。
ゴールを探す物語から、ゴールを目指す物語への。

この物語のゴールは「神」殺しではないんだな。
手段としてそれが必要になるかもだけど。


「そんな世界で皆と生きたい」のとこの絵が良いよね。
ビリー様に肩車してもらうタチアナちゃん。
その足は絆創膏だらけでどんだけやんちゃなんだよ。
今のタチアナちゃんは転ぶことができないから、傷をつくることもできないんだよね。

リップはライラとラトラにはさまれてるし、ニコはイチコさんとミコちゃんにはさまれてるし、シェンはムイちゃんとメイちゃんにはさまれてるし、ヴィクトルはジュイスさんにせまられてるし、アンディはジーナさんにせまられてるし……フィルくんを持ち上げてるのはボイドか?
密度が……密集っぷりが愛しすぎる。


「その世界を今の皆と生きたかった」ってのは、私もひっかかってたとこだった。
次の皆は、今の皆と同じと言えるの? って。
タチアナちゃんは「私は私」って言ってくれたけど、そんな簡単に割り切れるもんじゃないだろ。
特に風子ちゃんの立場では。


アンディの額のカードはアーティファクト、っていうのは、確かジャンプフェスタの時に公開された設定だったっけ。
それがクエストの報酬のひとつになっていた「リメンバー」。

名前からして、記憶を次のループに持ち込める、とかそういうことかな。

そういえばクエストの結果発表の時、アンディは風子ちゃんを追ってユニオンを離れてたんだった。
もしその場にいたら、どういうことになってたんだろうか。



公式Twitterさんでは、アオリ文にヴィクトルが物言いをつけてた。
「少“女”とはなんだ」ってやっぱりこの時点では性別ないんだな。

「ジュイス関連はな」を繰り返すとこ、めっちゃ笑った。
ヴィクトル、ジュイスさん関連になると一切の妥協を許さない。

あと、ヴィクトルとハッシーブックさんの体格差がすごい。これは怖い。