『逃げ上手の若君』(第96話 頼み1335) 感想

あいかわらず頼りになる三大将と、想像以上に頼りになる三浦・兄。
袂を分かっていた弟も、兄の実力は認めているのね。

「三浦の闘犬共!!」って、犬呼ばわりされて憤っていた三浦とその郎党たちが「闘犬」を名乗るのがかっこいい!
あと、おでこに「どーよ」って書いてる叔父上がかわいいな。


直義は負けを悟り、迅速に撤退の準備をはじめた。
戦下手かもしれないけど、状況を見極めてちゃんと損切りできる有能な人だよね。
鎌倉から身内や官僚たちを移動させる手はずもちゃんと整えてたのね。
家族だけでなく官僚まで動かしたの、抜かりないな。

で、動かせないのは護良親王だけか。

あの常識とか倫理観とかどうでもいい感じの上杉が、護良親王の件に関しては冷や汗かいてて、親王を手にかけることの重大さが伝わる。
直義もめっちゃドクンドクンしてるし。

だけど、直義にそれを指示した尊氏は涼しい顔だ。

「この天下に二つ以上の太陽があるのは 少し不自然な気もする」
「万事…よろしく頼んだぞ」

言葉では何も指示していない。
なんなら護良親王をほめちぎっている。
だけど、尊氏が直義に命じたことは明白だ。

ただ文を読んでいるだけなのに、兄が目の前に迫っているような威圧を感じ、直義は身動きできずにいる。
この描写の緊張感がたまらんよね。


捨てられたとわかっていても父への想いを捨てない護良親王がひたすら不憫だ。
後醍醐天皇は頭の切れる人なのに、残念な判断ばかりしちゃう、みたいなイメージあるな。
なんだろう。理想が高くて視野が狭いって感じなのかな。

敵に囲まれ死んでいく皇子と、味方に囲まれはしゃいでいる北条の嫡子。
その対比が悲しい。


「誰でもいい 父に力を貸してくれ…」
これは中先代の乱の先につながる台詞なんだろうな。