『逃げ上手の若君』(第104話 三浦1335) 感想

鎌倉に超速で迫る高兄弟の軍。
それを阻む最後の砦は三浦兄弟の軍。

高兄弟、強すぎ!
これだけ強い高師直が普段は尊氏の料理人やってるの、ちょっとおもしろいな(←料理だけやってるわけではない)。

そして、牛頭が馬に乗ってる絵がだいぶおもしろい。


三浦兄めっちゃ強いし、統率力もあるし、戦もちゃんとできる人っぽいけど、なすすべなく敗走か……。
あっというまに片腕とばされてるし。
せめて、時行に状況を伝えなければ、と三浦兄弟ふたりで鎌倉に戻る途中で、兄・時明はこのままでは兄弟共倒れと判断し、浜辺の壺の中で休んでるからひとりで鎌倉に戻れ、と弟に命じる。

まあ、腕を落とされてるわけだから、よく意識を失わないな、くらいの状態なので、この判断は妥当だろうね。
ここで、自害はしない、と言ってくれるのが、時行の影響を感じて泣ける。

三浦・兄は人質として時行に息子をあずけようとしたけど、時行は足利方にあずけるように言ってたのか。
なるほど、族滅を避けるために、いい感じに北条と足利の両方に血族を分散配置するのか。
みんなそうしてるから、やったところで特にお咎めはない感じ?


「美学の檻に囚われず 貴方の命と一族の命をどうか大事に」
すでに一族を失っている時行がこう言ってくれる。
たとえば、ここで三浦兄弟が命惜しさに足利方に寝返っても、時行はふたりとも無事で良かったと思うんだろう。


「八郎 個人の正義で守れるものはたかが知れてる」
正義を貫きたいと北条についた弟と、北条を裏切った方が利を得られると足利についた兄。
弟は裏切り者と兄を責めたけれど、それは、一族を背負っていない身軽さゆえに「個人の正義」を求めることができたからで、兄は当主としての責任からそれを許されなかったんじゃないかな。

でも、兄がいなくなったら、弟は兄の息子を守る立場になる。
一個人の正義感だけでは、一族を守り、時行を援けることはできないぞ、という最期の忠告。
そして、一族を守るだけの力をつけてから、時行を援けてくれ、という最期の願いなんじゃないかな。


息子を弟に託して、兄は壺の中でひっそりと目を閉じる。
若干、ギャグテイストだった三浦兄弟のやりとりが、こういう形で終結するのか。
松井せんせーの手腕がすごすぎる。


そして、ついに時行と高兄弟の対決……。
この先、読みたくないな……。