『逃げ上手の若君』(第107話 郎党1335) 感想

どうしても頼重を止めたくて暴れる時行。
その時行を頭突きで落ち着かせた叔父上。

「頼重には死なねば守れないものがある」か。
頼重がこの戦を起こした責任をとって死なないと、諏訪家を守れない。
諏訪家を守れないと、諏訪大社を信仰している信濃の民たちを守れない。
戦は明確に終わらせないと無駄に被害を広げるんだな。

「奴の死を責めてはいかん 罪悪感を感じてもいかん ただ誇れ! それが武士の主君としての責務だ!」
普段はちゃらんぽらんにみえる叔父上だけど、ここは武士をまとめる立場に生まれ育った人の、貫禄というか覚悟がうかがえる。
叔父上は北条としてのプライドが高い、と一貫して描かれているんだよね。

そして、逃げることに躊躇がないのもナイスだ!
自分は北条だから! 何してても北条だから! 恥ずかしいことなんて何もないよ! って感じが良い。
それでこそ時行が大好きな叔父上!
お付きの人が呆れてる感じなのも良いよね。

唯一残った身内として、時行に道を示してくれたんだな……。


「北条である事はいったん頭から捨てていい」
それは、時行は北条であることを捨てられない、と信じている言葉でもある。

時行は頼重を救うためなら北条を捨ててもいい、とは言えない。
それは、頼重に守られて鎌倉から脱出した時からの時間をまるっと否定するようなものだと思う。
でも、父と子の絆を否定されたままでのお別れはイヤなんだよね。


多数の兵を逃がし、ギリギリの数で奮戦したけれど追い詰められた頼重。
ここで時継を使って尊氏の暗殺を謀るけど、あっさり返り討ちにされちゃったよ。
時継かわいそすぎる……。


尊氏は「未来がわかる」と言ったけれど、「諏訪頼重の乱」という名は残らなかった。
「中先代の乱」。つまり北条家の戦ということになっている。
これは、尊氏の神力が頼重を上回るものであっても万能ではない、ということなのかな。


「時行を殺せば尊氏の勝ち 逃がせば全てお前の敗けとする!」
完全に敗けてる側の時行が、勝利条件を一方的に変えてしまう、という尊大な振る舞いをするのか。
時行が尊氏をみる目が、格下の人間に向ける目、って感じですごく良い
時行、たまに色気がハンパないのなんなんだろうね。