『逃げ上手の若君』(第110話 歴史1335) 感想

諏訪の軍勢から離脱する逃若党のみんな。
これが今生の別れと理解しているだけに、みんな辛いだろうな。
見送る側は無念さを滲ませつつも清々しい感じだけど。


昨日の戦で死んだ者たちの骸を身代わりにして、一部の者は離脱か。
でも、頼重だけはここで死ななければいけない。
顔の皮をはいで身元をわからなくしたけれど、頼重が本物と確信できるから、他も多分、本物ということになったからなあ。

ここらへん、わりとあいまいに見逃されたのは、尊氏にとっては「諏訪頼重の乱」であり、頼重さえ死んでれば他はどうでもよかったからかも。
時行も尊氏に負けて頼重という後ろ盾を失った、というのは確かなんだから、時行が生きていたとしたって大した問題じゃない。

味方の骸をあえて損壊するのは辛かっただろうな。


尊氏にはチクっとするものがあったようだけど、これを無視した。
案外、これが尊氏の最大のミスだったのかも。


尊氏が「諏訪頼重の乱」と呼んでるのに、部下たちは勝手に「中先代の乱」と名付けた。
「先代」北条と「当代」足利の間に挟まった「中先代」時行。
つまり、尊氏がどうでもいいと思っていた、というか、思い込もうとしていた時行を、郎党たちは早々に凄い存在として認めてしまっていた。

やつあたりで殺された若い武士がかわいそすぎる。
それなのに高師直は「そんな事よりうどんがあります」だし、尊氏は「やった!」なの怖すぎる。

でも、ここでみせた尊氏のいらつきが積み重なることで、ただの人間になっていくわけね。


時行は逃若党と共に旅立った。
頼重はこれからは霊体になって解説役をするんだろうか。


ページが進むにつれ、まさかこれ最終回じゃないよね、ってはらはらした。
いや、本当にこれが最終回でもおかしくないよね。

でも、ここからの、時行の動きはほとんど史実に残ってないらしいので、創作し放題ではあるな……。


ところで秕はどうなったんですか?
連れて行ってもらえなかったんですか?