『呪術廻戦』(第78話 玉折-参-) 感想(嫌いという大義)

夏油の呪詛師堕ちを学長からきいた時の五条先生の表情がすさまじい。
わけわんなすぎて混乱して、脳内でものすごい速度で現状を受け入れないための否定材料を探してるのかな、って感じの顔してる。
そして、「聞こえてますよ。だから"は?"つったんだ」って時の顔は、呆然としているようにみえる。
「は?」の一言で、受け入れ拒否を表明してんだよ、それくらい察しろよ、ってちょっと八つ当たり的な感じ。
でも、学長だって現実を受け入れたくないんだよ。
それがわかるから、五条先生も言葉につまって、だけど何かが今にもとびだしてしまいそうな、こんな苦し気な表情になっちゃったんだね。


夏油、両親まで殺してたか。
夏油は呪術師家系じゃなかったんだな。
非術師を全滅させる、という「大儀」を掲げた以上、たとえ肉親であっても例外にはしないという、呪詛師になるという覚悟を自分に示したのかもしれない。


家入先生、まだ高校生なのに堂々と外でタバコ吸っとる。
夏油を前にしてもいつも通りな家入先生だけど、この人は意識的に五条先生と夏油の中間地帯という立場を保とうとしてるのかな、って気がした。
どちらにも肩入れしないことで、ふたりのつながりを保っているというか。


夏油いうところの「運試し」というのは、五条先生を試している、という気がする。
五条先生が自分を殺せるか否か、という。


「君にならできるだろ、悟」
夏油が掲げた途方もない理想を、実現可能にできそうな「最強」の存在。
夏油は五条先生になりたかったんだろうか。
でも、夏油が五条先生ほどの力を持っていたなら、こんな状態にはなっていない気がするな。


新宿の雑踏の中で、茈の構えをする五条先生こわい。
それもう大惨事だから。
でも、長い目でみれば、夏油が直接的間接的に殺した人数より、犠牲は少なくすんでいたのかもしれない。
とか考えだすと、いろいろと気が滅入るんですが。


「でも、俺だけ強くても駄目らしいよ」という台詞が、教師になって呪術師を育てる、という五条先生の進路の最初の一歩だったのかもしれない。


パパ黒の仲介役やってたあの人が、夏油と手を組んだか。
この人、理子ちゃん暗殺に手を貸してるんだが、そこらへんにはめをつぶるのか?
でも、理子ちゃん暗殺を依頼した園田は達磨につぶされた。

「反対多数」って字だけで、信者の姿が描かれていなかったのがこわい。
これ、夏油にとってはどうでもいい猿の群れ、ってことなんだろうな。
考えてみれば、ここまで盤星教の信者たちの台詞はなにひとつないんだよね。
にこにこして拍手してただけで。
徹底して個のない存在として描くことで、存在の気持ち悪さが増しているよなあ。

で、「大儀」だなんだと言っておいて、「猿は嫌い それが私の選んだ本音」って、好き嫌いでここまでやっちゃってる、ってことが示されるという。
この歪んだ正直さ、がこわい。
「嫌いだから死ね」なのね、単純に。


チビ伏黒をみる五条先生の顔がすごいんですがっ。
パパ黒のことがトラウマかしちゃってるんだろうか。
こんなにちっちゃいのに、ちゃんとパパ黒と同じ顔してるんだもんなあ。
てか、こんなかわいい男の子に声をかける男性とか、事案なのでは?
あと、伏黒の小さい頃は、かなり貧乏生活してた感じだけど、この頃は誰の稼ぎで生きてたんだろうか。


今回、やたらと五条先生の表情が豊かだったな。
本編というか主線というか、では、割と超然としてる存在だから。
でも、あんまりみたくなかったな、追い詰められた顔は。