『週刊少年ジャンプ』2019年01号 感想

『ジャンプ』的に2019年に突入。
毎年言ってるけど、巻末ページのレイアウトが変わると「師走だな~」って思うよね。

『チェンソーマン』(第1話 犬とチェンソー)
『ファイアパンチ』の藤本たつき先生がついに『ジャンプ』本誌に来た~。
あいかわらずグロい……けど『ファイアパンチ』よりはマイルド?
しょっぱなから主人公の肉体が欠損してて、しかも売り払った結果そうなった、ってのがすごいな。
しかも、本人、それを悲観してる感じがまるでないし。

ポチタのしっぽが取っ手(?)なのがめっちゃツボだったんだが、それが最終的に主人公の胸から生えてて、なんだこのデザインは! 天才か! ってなった。

自分が殺されそうになってる時も、ポチタをしっかり抱いてる姿に、本当にポチタだけが生きるよすがなんだろうなあ、と思った。
「ポチタがいりゃあそれでよかったのに、もっといい生活を夢に見たんだ」ってしおらしいこと言ってるかと思えば、「テメエら全員殺せばよぉ! 借金はパアだぜ!」ってヒャッハーなってるし、なかなか一貫性がないところが一貫しているというか、とにかくその場その場を乗り切るだけの生き方しかできないし、先を考えるなんて、そんな余裕がある生活したことないし、ってことなんだろうと思うとせつない。

デンジはなんであんな借金地獄をほっぽりだしてどこかに逃亡しないのかな、と思ったんだよ。
殺すぞ、と脅されてるからだろうけど、あのおじさんたちに本当にそんな能力あるのか? って。
でも多分、デンジはあの狭い場所しか知らないから、逃げた先でも同じようなことになる、というイメージしかわかないんだろうな。
実際、その通りかもしれないし。

でもそんなデンジの前に、イメージすらできなかった未来を与えてくれる女性が現れた。
「だ…抱かせて……」って言ったデンジが、ギュってされたコマがなんかもう泣けた。
なんかもう心の底から「よかったねえ」って思った。
連載の1話目で、すでに泣けるマンガなんてめったにあるもんじゃない。

借金の奴隷から、デビルハンターのペット(?)に昇格したデンジ。
これからかなり過酷なことになるんだろうな、藤本タツキだもんな、と思うんだが、本気で「デンジ……よかったねえ(涙)」って思ったんだよね。
パンにジャムがついてて、さらにデザートまで付くぞ、って。

というわけで、初回としては『暗殺教室』以来のすばらしい出来だった!
『ジャンプ』を読む楽しみがさらに増えてうれしい。

『鬼滅の刃』(第137話 不滅)
無惨様を前にしても脅える様子さえみせないあまね様。覚悟が決まりすぎだろ。
普通に庭で遊んでる子供ふたりは、はっきり言って怖かったけど。
えっ。お館様、妻子を巻き込んじゃってるけどいいの?
跡取り息子は逃がしているようだけど。

「君は誰にも許されていない」というお館様の言葉に、炭治郎が上陸兄妹に言った「君たちのしたことは誰も許してくれない」という言葉を思い出す。
それでも兄妹は互いを許し合うことができたけれど、無惨様にはそういう存在すらいないんだよね。

お館様はすでに鬼殺隊の指揮をとれるような状態ではない。
それならば、ここで無惨様に殺されることで隊員たちの士気を高めよう、というのは、わからないでもない。
一族の短命を受け入れて生きてきたお館様にとって、自分の死を利用するということは、ごく自然な発想なんだろうと思う。
だけど、鬼殺隊。特に柱たちはそれを受け入れられるんだろうか。
まあ、受け入れられないからこそ、その感情が無惨様に向かうってことなんだろうけど。

「本来ならば一生眠っていたはずの虎や龍を君は起こした」という言葉がせつないよなあ。
鬼がいなければ、炭治郎は一生、山の中で炭を焼いてただろうし、と不死川も玄弥と一緒に家族を守っていただろうし、しのぶさんもお姉さんと穏やかに暮らしてただろう。
みんな、自分の内側にある力なんて気づかずに生きていけたはずだったんだよなあ。
恋柱さんはちょっと例外だけど。

無惨様、ちゃんと最後までお館様の話をきいてたな。
あれは、同じ血を持つ者に対する、郷愁みたいなものなのかもしれないなあ。

『ONE PIECE』(第926話 "囚人採掘場")
あんな強そうな人たちの懐に、気づかれずに紙をしのばせるとか、ウソップがめっちゃ有能だなあ。
本人がその気になればスリで生きていけそう。さすがにやらないと思うけど。

囚人に対して、約束した量のきびだんごをちゃんと渡すとか、意外と良心的だな、あの看守たち。
あと、ドボンととカバの融合の仕方が本当に変で、このデザインセンスはさすが尾田先生だな。

『アクタージュ act-age』(scene44.僕の言葉で)
表紙のアキラくんにかかってる髪は誰のなんだろう。
夜凪ちゃんと七生さんかなあ。

夜凪ちゃんのアドリブに、舞台裏では「台本と台詞が違う…!?」と大混乱なのに、舞台上の阿良也くんと七生さんは間髪容れずにそれにのっかった。
つまり、あの場では、夜凪ちゃんのあれは、アドリブでというよりは、自然な行動と受け入れられたんだろう。
アキラくん以外には。
なんかもうこのアキラくんの場違い感が胸に刺さる。
アキラくんの「怖い」がめっちゃリアル。

"正しい答え"を探すことを努力というのだとすら思っていた。
それがまさしくアキラがこれまでやってきた「努力」なんだよね。
それが間違った努力だとは思わないけれど、その努力が実が結ばないことに苦しんでいる限り、アキラくんは欲しいものを得ることはできない、ってことなんだと思う。

アキラくんの役は「私」だったのに「僕」と言ってしまった時点で、アキラくんは役を捨ててしまったということになるんだろう。
それをみていた千世子ちゃんのあっけにとられた表情。
そして、空いてる隣席。
普通に考えれば、トップ人気女優である千世子ちゃんの隣に誰ともしれない人を座らせたくなくて、わざと余分に席を取ったってことなんだろうけど、それは、スターズを背負う看板役者として千世子ちゃんの隣にいるべきアキラくんが、その座を離れた、ということなのかもしれんなあ、と思った。

「お前の孤独は、お前を育てた」
それは巌さんのアキラくんに対する最大の賛辞だと思える。
その積み重ねた努力は、決して無駄ではなかったんだと。

スポットライトの当たらない場所で、アキラくんは語り続ける。
「主演しかやらねぇ青春キラキライケメン野郎」だったのに。
この構図は本当に美しいなあ。

『Dr.STONE』(Z=85 資源の王様)
なんかまた変なキャラがでてきた。
ものすごい財閥の御曹司が、その財閥の力なんてまるっきりない世界になったと知って落ち込むどころか、「世界中の所有権が消えたのなら、今から全てが手に入る……!!」って、めっちゃ燃え上がってしまうというその発想力がすごい。
筋肉すごいし、部下だけを働かせてたわけじゃなく、自分でもしっかり動いて、経験を積んできたんだろうな。
親のお金や権力を最大限利用しつつ、自分をちゃんと鍛え上げてる、というのは好感もてる。

リアリストだけどロマンチストなところが千空とめっちゃ気が合いそう。

『呪術廻戦』(第38話 京都姉妹校交流会-団体戦・5-)
別記事(パンダはパンダじゃないし、メカ丸もメカじゃない)になりました。

『ブラッククローバー』(ページ184 夢想の世界)
バネッサ、食べるの苦しそう。
食べると魔力が増えるって魔法はめっちゃ便利だけど、やっぱり食べることそのものが負担にもなるよなあ。

サリーの「この世界からのぉ~出口!! 出口!!! 出口!!!! 創ってよっっ!!!」には笑った。
なるほど、「イメージしたものそのものが出る」けど「それ自体を思い通りにはできない」ってのはそういうことか。
うっかり出口をイメージさせられちゃったらそれが出ちゃうし、これはダメだと思ってもひっこめることができない。
これまで、この世界に閉じ込められて、そんな発想ができた人はいなかったんだろうな。
そりゃあ、そんな状況になったらパニクるだけで終わるもんなあ、普通。
サリー、さすがに頭がいいし、発想も柔軟。
これでマッドじゃなければなあ。

『ハイキュー!!』(第329話 全国三大エース)
最新刊の表紙の研磨がめっちゃこわい。
あれ、鳥籠の中の日向くんをみつめてる研磨の絵だよね。
古舘先生の、たまにカラーがホラーになる現象はなんなんだろう。

でも、今回のカラー絵は木兎なのでホラーじゃない。
てか、木兎までホラーになったらヤダな。
そして、胸でレシーブして、自分で「ナイスレシーブ!!!」って言っちゃう木兎があまりにも木兎で笑える。
てか、あれって胸をおさえて倒れる案件なんじゃないの?

桐生くんがあのスタイルになった経緯がせつない。
すごく抱え込んじゃうタイプなんだろうなあ。
木兎の周囲に甘えまくるスタイルとは対極にある感じだ。
でも、木兎に甘えられてる連中はなんだかんだで楽しそうだから、そのままでいい。

『火ノ丸相撲』(第220番 鬼丸国綱と草薙の剣、激昂)
チヒロが普通に柴木山部屋にとけこんどる。

久世が潮くんのこと好きすぎる。
「俊!! 聞いてよ!! 潮くんが復帰するって!!」って……なんかかわいい……。
台詞だけ抜き出すと、ケガして休んでた推しが復帰することに喜んで、友達に電話してる女子高生みたい(苦笑)。
桐仁くんが潮くんのストーカー呼ばわりされてたけど、久世も負けず劣らずだな。
こんな電話受けてたら、そりゃあ狩谷くんも潮くんを応援しなきゃ、って気持ちになるわ。

そして、狩谷くんの「良かったな…」が久世への愛にあふれすぎている。
久世は狩谷くんしか友達がいなさそうだけど、狩谷くんひとりでじゅうぶんだよね。