『アンデッドアンラック』(No.232 Assault) 感想(最後にして最強で最高)

祝! 『ジャンプ』表紙&巻頭カラー!
次の巻頭は連載5周年記念でくるのかと思ってたのでうれしい!
最近、掲載位置が前半で安定してるのもうれしい!
一時期、だいぶ怖いことになってたので……。


『ジャンプ』表紙はアンディ&風子ちゃん。
めずらしくおんぶも抱っこもしてない! ちょっとだけ残念。
でも、ふたりが並んでる表紙をみれるの本当にうれしい。

巻頭カラーは不死不運&不死不正義メインで、周囲にちっちゃくユニオンメンバーを配置。
アン風とヴィクジュイを同時に楽しめるカラー絵は初めてなのでは?

テラーさんの隣でビリー様が耳をふさいでるの何?
めっちゃうるさいのかな、あそこ。


さて本編。
ラストバトル開始宣言をした重大局面なのに、アンディ×風子ちゃんとヴィクトル×ジュリアちゃんはダブルデート中みたいなほのぼのした雰囲気。
アンディとヴィクトルの仲もずいぶんくだけた空気感になってるな。
まあ、45億年もあればね。
ヴィクトルはそもそも、ジュイスさんがからまなければただの陽気なお兄さんっぽいし。

ジュリアちゃんとジュイスさんが微妙にミックスされてて戸惑う風子ちゃん。
これはどう対応すべきか戸惑うよね。

「ジュリアでいい ジュリア=U=スティティア 君にループを託し得たこの名を大事にしたいんだ」
この口調がかなりジュイスさんっぽいのが、なんか良い。
メンタル的にはほぼほぼジュイスさんな感じなんだけど、ジュリアとしての個を大事にしたいんだろうな、って思うんだよ。
自分の選択の結果だから。

そんなジュリアちゃんをみているヴィクトルの表情が穏やかなのもとても良い。

で、すぐにヴィクトルに向かって「キミはジュイスでいいよ 今更無理だろ?」って言うの、ヴィクトルに対しては完全にジュイスさんだな。

ヴィクトルとジュイスさんの関係を夢にみていたから、これまでのループの記憶を取り戻したら、ずっともやもやしていたものが急にクリアになって、ジュイスさんという人格がすんなり統合されたのかもしれない。


アンディとヴィクトルが普通に分裂してることにびっくりして、アンディのことペンペンしちゃう風子ちゃん、めっちゃかわいい。
この風子ちゃんを見たかった……。ずっと恋しかった……。

ふたりが分裂できた理屈はちゃんとあるらしい。
でもまあ、どうでもいいかな(←失礼)。


さて、ついに「ソウル」が「サン」に合体した。
「不正義」の発現阻止がかなわなかったうえに、仲間をすべて失ってブチギレ状態。

「魂は一人一つだから」
「ソウル」の最大のブチギレポイントはそこか……。
ひとつの否定能力は一代に一人。
否定能力は魂に宿るものだから。
なのに「不死」が同時にふたりいるのは、「ソウル」のルールの根幹をゆるがすものであるわけだ。

実際のところ、アンディはヴィクトルのもうひとつの人格ではなく、別々の魂を持っている、ってのいまだに理屈がわからんからな。
「不死」に「リメンバー」というアイテムを使う、というイレギュラーなことやっちゃったらバグが発生した、というのはなんとなくわかるんだけど、アンディのその魂はどこから湧き出たんだよ、ってのがいまだにひっかかってる。
そういうものだ、で済まされるかもしれんけど。


「だそうだ」
「今更知るかよ 裏技使ってナンボの世界じゃねーか」
「まぁな」
ここのアンディとヴィクトルのやりとりの軽さがめっちゃ良いんだけど、明らかに「ソウル」の地雷を踏みつけにいってるよなあ。


ヴィクトルとジュイスさんが前作主人公で、アンディと風子ちゃんがそれを引き継いだ今作主人公なんじゃない。
ユニオンのみんなが主人公なんだ!
この流れが美しい。
今回ループのみんなのリクルート話に時間かけすぎ批判はあったけど、これがそのアンサーなのかもしれない、と思った。
みんな主人公だから、それぞれの戦う理由をしっかり描きたかったんだろうな、と。

ユニオンメンバー全員集合な見開きがとても良いね。
ビリー様とタチアナちゃんがサイン送り合ってたり、リップとラトラが乗ってた「ハーレークイン」にバニーちゃんが加わってたり、フィルくんが円陣とくるるちゃんをぶらさげてたり。

ショーンが泣きながら謝るようなポーズしてるけど、風子ちゃんを殺そうとしたことに対してだろうか。


この見開きにしっかり満月がうつりこんでるんだけど、「ルナ」はこの展開をどうみてるのかな。
めっちゃウキウキしてそうな気がする。


限界がきて、元に戻ろうとしているアンディとヴィクトル。
ヴィクトルの方が引く気満々なのは、まあ、前回ループでそう誓ってたからそうだろうね。
でもそれだとジュリアちゃんはどうなるんです~! と思ってたら、リップが介入してきた。

アンディとヴィクトルの癒着(?)は「不治」によって切り裂かれた。
「不治」は魂にも作用するんだな、って思ったんだけど、魂は切れるものだとリップが解釈すればそうなるんだろう。
否定能力って裏を返せば解釈次第でどうにでもできる便利機能だよなあ。

今回も散々言われていた通り、否定能力はバグなんだよね。
バグが自分はバグだと認識すれば暴れ放題という罠。



考えてみれば、アンディと風子ちゃんは最初、「不治」に「不死」を殺す能力があるんじゃないか、と期待していたんだよ。
でも、リップはアンディと風子ちゃんの提案を受け入れられず、アンディとリップは悲しい殺し合いをすることになってしまった。
その時には、アンディとヴィクトルが入れ替わることでリップは敗けた。
そのリップが今回ループではアンディとヴィクトルを分裂させる、という展開の見事すぎる反転。
「不治」と「不死」の見事過ぎる和解。

ありがとう! 戸塚先生ありがとう!
リップとラトラを救ってくれて!
アン風とヴィクジュイを両立してくれて!

「アンタの不治が二人を裂けば不幸せになるわ100%」
ラトラのこの「不幸」ではなく「不幸せ」という言葉のチョイスがまたしゃれているよね。
「不死」が「合わさる」ことを裂いている、という。


いや、この作品の根幹が示されたこの話を巻頭カラーにもってきたの、本当にすごい!