『アンデッドアンラック』(No.041 痛みなんざどうでもいい) 感想(死ねない、という痛み)

表紙は上段が現代(?)の高速道路上でのアンディ&風子ちゃんで、下段が過去のアンディ&風子ちゃん。
ふたりは出会いを繰り返し、お姫様抱っこを繰り返すのですね。
てか、いつみても、アンディの腕にすっぽりはまってる風子ちゃんのジャストサイズ感はすばらしい。


アンディ、英語しゃべってたから、英語できない風子ちゃんはどうするの、と思ってたら、日本語も普通にしゃべってる。
ヴィクターの記憶は失ってても、知識は残ってる感じなのかな。


風子ちゃんは魂だけになっても「不運」は消えない。
否定能力は肉体にくっついてるんじゃなくって、魂にくっついてるってこと?
UMAゴーストが追加された場合、魂の復活みたいなものが可能になって、過去の否定能力者が再利用(?)できるとかだったら、なかなかすごいな。
でも、否定能力者が死ぬと、その能力が他者に移動する、ということは、否定能力の重複が発生してしまうけど、それはどうなるんだ?
たとえば、ジーナさんが幽霊として復活しても、「不変」の後継者の能力はそのままなのか?


突然、現れて、「アナタの未来を知っている!!」とか言われても、何がなんだかわからないよね。
それでも、アンディのタトゥーを知っているから無視もできなくて、とりあえず一緒に食事でもするか、となった。

アンディは記憶がない状態で、自分の正体の手がかりを求めて、あちこちをさまよっている。
1865年はアメリカで南北戦争が終わった年で、アンディは「南北の戦争が終わって色んな場所が荒れてる」と言ってるから、胸の「1865」のタトゥーは、ヴィクターからアンディに変わった年っぽい。
アンディにその記憶がないということは、ヴィクターが残したものだと思うけど。

1865年は日本では慶応元年で、多分、この記憶の時点では明治になってる。
ジョシュは「侍に会いに行きたくてよぉ!!」って言ってるけど、侍はギリ残ってるかな。


アンディの連れの三人はアンディを慕ってくっついてきていて、名前がないアンディを「隊長」と呼んでいる。
「もしお前が隊長を知っているってのがウソだったら許さねぇ」って、本当に慕われてるんだな。

タトゥーを知っている理由を問われて「未来じゃいっつも上裸だったから」と言われた途端に、みんなに銃つきつけられて、アンディに「そんな訳ないだろ」って真顔で言われてるの、めっちゃ笑った。
「ウソじゃないもん!!」って言いたくなるよ、そりゃ。
風子ちゃん、一応、アンディの体裁を慮って「上裸」って言ったけど、実際は「全裸」だからね!
堂々と全裸だからね!

まあ、この「隊長」は、女性の前ではちゃんと服を着こむ紳士っぽいけど。


この頃のアンディにはまだ「不死」の自覚がない。
そりゃそうだ。一度、死にそうな目に遭わなければ「不死」の能力には気づきようがない。
「キズの治りははえーけど」って言われてるあたり、未来のアンディのように瞬時で治るわけでもなさそうね。
自覚がないから弱い、ってことなのかな。


仲間にしてほしいと言われてアンディが提示したのは、1/6の確率で死ぬロシアンルーレット。
その銃を風子ちゃんは、頭に六連発した。
アンディは一発も弾を入れていないと確信していたから。
「よかった、やっぱりアナタはアンディなんだね」とにっこにこで言う風子ちゃんがかわいい。

ジョシュも弾が入ってないことを知ってたんだろうけど、それでも風子ちゃんのことを心配して怒ってくれたのやさしい。
「大丈夫だよ、アンディだもん」って風子ちゃんはケラケラ笑ってるけど。


決死のロシアンルーレット(風子ちゃんにとってはただのひっかけ問題だけど)をクリアして、仲間にいれてもらえそう、となった矢先に突然の銃撃戦、というか、一方的に撃たれてるだけ、になってめっちゃびっくりした。
ジョシュが風子ちゃんをかばってて、サンダースも腕をだして盾になろうとしてた。
風子ちゃんが「隊長」が探していた過去への手がかりだと信じて、風子ちゃんだけでも助けないと、と思ったんだろうな。

「未来の隊長…元気? 痛そうにしてない?」ってジョシュはきいたけど、隊長はいつも痛そうな顔をしてたのかな、って思った。

レドは倒れてる位置からして、アンディに駆け寄ろうとしたのかな。


敵に一番、近い位置にいて、もっともたくさん銃弾を浴びたであろうアンディは生きている。
当然だけど。
この時、アンディは「不死」を自覚したんだな。
普通だったら、これはどういうことなんだ、ってパニックになる事態だけど、事前に風子ちゃんが「不死」というキーワードを出してるから、なるほどそういうことか、ってすぐに納得しちゃったんだろう。


暴漢を手引きしたのは食堂の女性か。
子供たちに手を出さない、という条件でアンディたちを酔わせて襲いやすくさせたんだろうな。
読み返すと、この女性、不自然に汗かいてるし、笑顔もぎこちないし、「外の人にはちょっとキツイかも…」と暗にお酒は飲まない方がいい、みたいなことを言ってるから、ギリギリのところで迷ってたんだろう。
子供たちを助けてくれた人たちを殺すなんて、平気でやれる人たちではないんだよ。
それでも、子供をたてに脅されたら、逆らえなかったんだろうな。

エプロンに「SUN FLOWER」の字が入ってるけど、あの幼稚園の先生はこの人の子孫なのかな。
ロンギングでアンディを裏切った人たちの子孫が、スポイルにゾンビにされて、アンディと共に戦うことになる、というのは因果応報というやつか。


月を背に、血まみれでうつむくアンディの姿がキツイ。
「死なねぇなら、痛みなんざどうでもいい」ってセリフが泣ける。
仲間たちは死んでも、自分は死ねない。
これから先もずっと、ということを知ってしまったアンディの絶望は深い。

アンディの、痛みはただのノイズ、という主張は、死にすぎて痛覚を無視できるレベルになってる、と思ってたんだけど、死んでいった仲間のことを想えば痛みなんてどうでもいい、ということだったのかな……。


この頃のアンディ、不愛想だし笑わないし寡黙だし、全裸なんてとんでもないしで、全然違う!
これがどうやって、あの陽気でイカれた兄ちゃんになったんだろう。
でも、ずっとやさしい人ではあるんだよね。
アンディはずっとアンディなんだ。

風子ちゃんはアンディを知るために必要なことを知った。
いつでも生き残ってしまうアンディと共にたくさんの死を見届け、一緒に泣くことを覚悟した。

これから、アンディと風子ちゃんのツラい道行きがはじまるけど、実際にはアンディは、それにひとりで耐え続けたんだよね。
風子ちゃんの能力で死ねるかも、って思った時に、あれだけヒャッハー! な状態になってたのも当然か。


ところで、この部分の記憶って、アンディの中に残るのかな。
現実ではないから過去改変は起きないけど、記憶改ざんみたいなことにはなりそう。

スポイル捕獲のためにロンギングに向かった時、アンディは何も言ってなかったけど、あれは、あえて黙っていたのか、ロンギングでの事件の記憶は失われていたのか。
額のカードにうつして削除しちゃったのかも。
てか、カードへの記憶保存って、どういうシステムになってるのかな。