『アンデッドアンラック』(No.044 不死VS不死) 感想(アンデッド×アンラック×アンデッド)

表紙はアンディとヴィクトル。
そして、わざわざ「No.0」「44」「不死VS不死」と分けて書かれたサブタイトル。
しかもメインのはずの「不死VS不死」よりも「44」の方がフォントがでかい!
いやあ、すごいね「4(死)と4(死)」と「不死と不死」を重ねてくるとは。
よくこんなにぴったりはまるように調整できるな。

そして「アンデッドアンデッド」というルビがまた良いよね。

実は、「No.0」ってのは、もしかしたらヴィクトルがユニオンの「No.0」ってことなのかな、ってちょっと思ったんだよ。
No.1のジュイスの隠し札的な存在なのかな、って。
まあ、アンディがいる限り、切れない札になっちゃうんだけどね。


さて本編。
アンディにひっついて、ぐしゃぐしゃに泣いてる風子ちゃんがかわええ。
ここんとこ凛々しいというか、ものすごく頑張ってる感じの風子ちゃんだったけど、こうやってアンディに頼り切った感じでわんわん泣いてる姿は、なんかちょっとホッとするね。
風子ちゃんがようやく安心できる場所に戻ることができたって感じで。


定位置(?)に戻った風子ちゃんを背負いながら、なぜ風子ちゃんを追い回しているのかと訊ねるアンディ。
「その女が勝手に過去を覗こうとするからだ」って、まあ、気持ちはわからんでもない。
本物(?)のアンディは自分の過去を風子ちゃんにみせることを許可したけれど、ヴィクトルの許可はとってないからね。
自分の記憶に入れるのを拒否するのは、当然の権利だと思う。
やり方が過激すぎるけど。

「俺は外に用がある」「出て殺さなきゃならない奴がいるんでな」って誰のことなんだろう。
真っ先に思いついたのはビリー様なんだよね。
ユニオンを裏切って、ジュイスさんを傷つけてるから、ヴィクトルが「殺す!」ってなるのは当然かと思う。ついでにユニオンの敵対組織になるアンダーも潰せるからジュイスさんの憂いを取り除いてやれるし。
あと、可能性として考えられるのは安野先生かな。
おれの記憶に他人を踏み込ませやがって、ってなる可能性はあるんじゃないかな、と。

「そいつに依存している外のお前」って、さらっとすごいこと言われたような気がする。
ヴィクトルには、アンディが風子ちゃんに依存しているようにみえるんだな。


「こいつのおかげで今のオレは変われた」「死の捉え方」「未来への希望」「だから今の俺はここにいる」
このセリフを読んで、本来のアンディは風子ちゃんなしでどうやってここらへんを克服したんだろうな、って思ったんだけど、実は克服してなかったのかもしれない、という気がしてきた。
ただ、どうしようもないから、開き直って、ちょっと享楽的な感じになっちゃった結果が、1話のアンディだったんじゃないかな、って。
なんかめっちゃハイテンションで風子ちゃんにむりやりせまってたのは、死なせて欲しいという自分の気持ちばかり優先して風子ちゃんの気持ちを置いてけぼりにしちゃってたのは、「死の捉え方」を変えられず「未来への希望」も持てなかったからなんじゃないかな、って。

でも、「だから今の俺はここにいる」のところの、風子ちゃんに向けた視線はとてもやさしい。
「外のオレ」も風子ちゃんをこんな目でみる。
アンディは風子ちゃんに出会えば「アンディ」になるんだな、って思う。

「こいつは俺に必要だ」「死んでも守る」
不死が言う「死んでも守る」は趣深いなあ。


ところで、ここの見開きページ、左右対称でコマ割りされてて、右がヴィクトル、左がアンディなの、ちょっとおもしろいね。
厳しくてちょっとさびしそうな眼をしている孤高のヴィクトルと、ゆるぎなく幸せそうな、風子ちゃん付き(?)のアンディ。
この対比はちょっとさびしいかな。
ヴィクトルにも元々は、ジュイスさんといういつも寄り添ってくれる人がいたのに……。


「不死」という能力が強すぎる。
技のバリエーションが豊富すぎる。
わけがわからんが、とにかく迫力があってすごいな。
これ、モノクロだからまだいいけど、カラーになったら、血みどろの戦いになってるわけだよね。
双方ともダメージリアクションがないので忘れがちだけど。

最初は本気でアンディにいら立ってる感じだったのに、途中からヴィクトルがちょっと先生モードというか採点モードに入ってるのおもしろい。


しかし、アンディがどれだけ強くなってもヴィクトルには及ばない。
かけた時間が桁違いだから、そりゃそうなる。
「デッドロード」も、ヴィクトルが片腕でアンディが両腕なのに、アンディがおされてるもんな。
しかも、ヴィクトルまだまだ余裕ありそうだけど、アンディは全力っぽい。

でも、アンディには「不運」がついている。
ヴィクトルには使えない札が。

アンディが「不運は十分溜まった…!!」って言ってるのに、さらに不運を注入(?)する風子ちゃん……。
そうだね、再会できた日にキスをする、って約束したもんね!
ここのちょっともじもじしてる風子ちゃんがめっちゃかわええ。

「やったれアンディ!!」って言われて「…あぁ!!」って、答えにちょっと間があったのは、アンディ、催促してないのにキスされて動揺したんだろうなって思ってニマニマしている。


ヒロインが主人公のことを好きだってわかってるのに好きになっちゃったライバルキャラが、それでもヒロインを守って戦ってくれて、自分の元に留めたい気持ちを押し殺して「あいつが心配している。はやく行ってやれ」って言っちゃう、みたいな展開はたまにみるけど、このマンガの場合、主人公もライバルもアンディである。
どこをみても、どっちからみても、アンディ×風子。
公式が最大手!
いいね!! 最高だ!!