『逃げ上手の若君』(第134話 往く人去る人1337) 感想

顕家軍と共に時行たちは鎌倉を離れる。
しかし、叔父上はふらふらで、馬に乗るのも大変な様子。
斯波にだいぶ痛めつけられてたようだから。

叔父上、目が血走ってて痛々しいのに、おでこには「やるぞ」って書いてあって、これは扱いに困るやつ。
叔父上は時行を困らせるつもりはないんだろうけど、まったく余裕がないんだろうねえ。


土岐軍の、鉞を重量挙げみたいに持ち上げてる人すごいけど、それを片手で振る長山は何者なんです?
てか、鉞+鎧+大男を乗せてるお馬さんがかわいそうだな。

そして、その十倍の重さの鉞を振り回してるのに、「鍛錬さえして下さればなあ…」って言われちゃう土岐は、さらにわけがわからない。
人の認識をバグらせるほどの豪傑か……。
お馬さんを2頭並べてまたがってるのに、馬がめっちゃ小さくみえるな。


一方、伊豆にたどりつき、ついに叔父上にリタイアを促した時行。
しかし叔父上は大激怒。
親族としては目上である叔父上をどう説得するのかと思ったら、祖母(叔父上にとっての母)をかつぎだしてきたか。
なるほど、目上の説得にさらに目上をもってくるのか。

おばあさま、すごい迫力だな。
めっちゃコワイけど、言ってることは政治的にも心情的にもめっちゃ正しい。
そして、そこからの泣き落としである。
もちろん、お芝居ではなく本心からの涙。
これは勝てない。

それでも一応、抵抗はしたけど、時行がちゃんと説得した。

おでこの「やるぞ」がパリンとくだけて「恐かった 死にたくなかった 降りたかった 逃げたかった やっと休める」になるとこは泣けた。
こんなギャグ表現でこんないいシーンつくるのすごいな!

そうだよなあ、叔父上は戦が大好きバトルジャンキータイプじゃないもんなあ。
ちゃらんぽらんにみえて、それでも自分の立場に求められるものに応えようと、ここまでがんばってきた人なんだよ。
親族のほぼすべてを失って、それでも絶望することを受け入れず、進み続けてきたけれど、そろそろ「北条」から降りて、ただの親孝行息子になればいいじゃない、ってことだよ。


「文献は彼の最期を伝えていない」
だから、伊豆で静かに余生を過ごしましたでもいいじゃない……という結末でうれしい。
親族のほとんどを失ったけれど、叔父だけでも守ることができた、と思えることが、時行の気持ちを明るくしてくれると思うから。