『逃げ上手の若君』(第150話 フルメタル1338) 感想

このサブタイトルなんなの……って思ったんだけど、読んだらなるほどってなった。


今回は足利側のエピソード。
公家の人妻を寝所に連れ込んでおいて、尊氏の朝食をつくるから、と追い出す高師直。
清々しいほどにゲスい!

そして、うどんを打ちながら細川に指示を出し、尊氏の衣服に使う布を選んだ下人にも指示(?)を出す、というマルチタスク?
さらに、うどんを切りながら罪人に裁定を下すという……まあ、働き者ではあるな。うん。
尊氏がのんびりとうどんを味わい、雑務に忙殺されずに済んでるのは、師直がすべて片付けてくれてるおかげだろうし。

しかしながら、すべてを片付けすぎて、他の連中は自分の指示に従っているだけでいいんだよ、ってなってて敵を着々と増やしてる感じ。
でも、尊氏はそんなことに気付かず、師直のうどんおいしい、って喜んでる。
尊氏、軍務にはちゃんと関心があるけど、それ以外はめんどくさいだけなんだろうね。

そして、カジュアルに腹を切ろうとするな!


全金属製の帝、不敬すぎて笑った。
なるほどこれがフルメタル……。
師直は金箔で飾り付けてあげてるから敬意は示せてる! とか思ってそう。
帝なんて人じゃなくてもいいじゃないですか、って言われたら尊氏も同意してしまいそうだよ。

そして、キャスター付きでシャーってなってるのおもしろすぎる。

いくらなんでもフルメタルな帝を立てて政治をやっていけるはずがないと思うんだけど、尊氏と自分にならできると本気で考えているのかな……。


合理主義を極め過ぎてる師直にドン引きしている直義。
あの兄とあの執事に振り回されてるの、シンプルに気の毒。


亜也子に振り回されていいとこなしだった桃井だけど、気持ちの切り替えが速いな!

庇番衆が一気に減った時、なんで悲しまないのかと直義にくってかかっていた斯波。
自分が死んでも直義は泣かないだろうと思ってたけど、それでも忠義を尽くした斯波。

でも、直義は斯波の死に涙した。
庇番衆の中でも最年少だったし、武勇よりも頭脳で戦うという自分と似たタイプだったし、直義的には特にかわいがってる部下だったんだろうな。

けれど、その成長をみることができないまま斯波を失ってしまった直義。

「なんと見事に成長したのだ家長」と称えた後で、「だが孫二郎 きっとお前はひとつだけ読みを外したはずだ」と涙する直義。
頼りにしていた部下としての「家長」と、成長を楽しみにしていた弟子としての「孫二郎」。
どちらも直義にとっては唯一無二の存在だったんだろうな。


直義の背にそっと手を置く上杉の姿に泣いた。
上杉はこれから斯波の最期の指示に従って、直義のために生きていくんだな。