『アンデッドアンラック』(No.048 ボクの知らない物語) 感想(ボクが望んだ物語)

『ジャンプ+』に『アンデッドアンラック』のフルカラーパックがきてた。
フルカラーでみると、また違う味わいがあって良いね。
あと、カラーだとなんだかシェンが目立ってみえる(髪色が明るいせいかな)。


さて本編。
アンディの本と風子ちゃんの身体をリップと着ぐるみから守っている安野先生。

リップが「ショーンまだだ」と言ってる横に誰もいないが、これは不可視(アンシーン)か。
「あのガキを殺せばオレはアンタより席が上になる」って、アンダーもユニオンと同じ席次システムなんだな、と思ったんだけど、円卓を持ってったからには席次は明確に決めないとあかんのか。
ポイント稼いで席次アップ! は否定者たちを納得させやすいから、同じようにしてるのかな。

「腹裂いた奴の言う事なんざ、もう聞かねぇよ」って、そういえばリップに切られてたな、アンシーン。
ということは、やっぱりリップを殺す以外のアンリペアの解除方法ってあるんだな。

リップに椅子に縛りつけられて、腹を切られて、脅されてたアンシーンにしてみれば、そりゃあ、リップの言うことききたくないよね。


そして、再び安野先生の回想。連載がはじまってしばらく経った頃。
安野先生が漫画描いてるの、風子ちゃんが持ち込みしてた編集部?
なるほど、漫画雑誌の編集部なら、原稿用紙やらインクやら消しゴムやらを調達しやすそうだし、それらをかすめとっても、あまり罪悪感がないかもな。
その結果が編集部に利益として還元されるわけだから。

そういえば、安野先生、アシスタントなしで連載してるのかな。だとしたらすごいな。

安野先生の背後にかかってたカレンダーに曜日表記がなくて、そういえばこの頃はまだ曜日がなかったんだな、と思ったんだけど、7日で1タームにはなってるんだよね。
だけど、左上端から日付がはじまってるってことは、単純にこのカレンダーがそうなってるってだけで、5日で1タームのカレンダーとかもあるのかもしれない。


安野先生、Gライナーにみせられた記憶が現実に起こること、とは思ってなかったのか。
自分が否定者になってしまったので、否定者の実在は信じたけど、アンディと風子ちゃんが実在することまでは信じてなかったのね。

でも、記憶を頼りにアンディを探しにいってみたら、アンディは確かに存在していた。

ジョシュが習いたがっていた居合いを代わりにマスターするアンディ。
アンディがいろんなことをやってるのは、趣味とか、ひまつぶし的なこととは別に、死んだ仲間がやりたがってた事をひととおりやってた、ってこともあるのかも。

居合いの師匠の友才さん、少年かと思ったんだけど、後継ぎ云々言い出したところで、あれ? ってなった。
で、プロポーズされて「いいね」って言ったアンディに「アンディには風子ちゃんがいるでしょ!!」ってツッコんだ安野先生。
アンディ×風子ちゃん推しの気持ちを代弁してくださってありがとうございます!

「俺より長く生きれるならな」ってプロポーズを断ったアンディ。
やっぱり、先に死ぬとわかっている人と生きていくのはつらいか。
自分より先に死ぬとわかっている子供なんて、もっとつらいよね。

アンディがジーナさんに、風子ちゃんのことを「ホレさせて、抱いて、俺が死ぬ!!」「こいつが死ぬのはその後だ」って言ったけど、今さらながらにあのセリフの重さがわかるという。
アンディにとって、風子ちゃんは初めての、自分より先に死なない=共に生きることを受け入れられる存在だったんだなあ。
でも今は、先に死んじゃってもいいからそばにいて欲しい存在、になっているような気がする。
それはそれとして、風子ちゃんに死なれたら、額のカードをひっこぬいてヴィクトルの中にひきこもりそうだけど。


シェン、トップくん、(多分)ビリー様、ニコの過去が1コマずつ描かれているけれど、そこから想像できるものがキツすぎる。

シェンは大事な人が落ちていくのを助けられなかった。
「手を離すな」ってシェンが言ったから手を離した、みたいな想像しちゃうし、トップも加速しちゃって身内に大けがさせちゃったんだろうな、って思う。
ビリー様は大事な人を失って酒にすがり、ニコは否定能力に苦しんで薬に頼ったんだろうな。
でも、彼らはそこから死を選ばずに、神を殺す為に闘う道を選んだんだ。


このループの本来の結末は、アンディと風子ちゃんを失うことで、ユニオンは負け、またヴィクトルだけが取り残される、ということ。

ジュイスさんの亡骸を大きな太陽から守るように立ち尽くし、涙を流すヴィクトル。
このループではジュイスさんはアークに乗らなかったのかな。アンダーに奪われて乗れなかったのかもしれないな。
きっとジュイスさんはギリギリまで闘ったんだろう。
もしかしたら、もうみていられなくなったヴィクトルが、これ以上、苦しまないように殺してしまったのかもしれないな。


安野先生は自分の中の記憶が本当にあった過去で、本当におこる未来だと知った。
でも、安野先生はそれを許容できなかった。だから、闘うことを決意した。

そして、安野先生が選んだ闘い方が、漫画に未来の情報をかきこむこと、か。
でも、彼らの成長を阻害しないために、成長のために必要な要素はあえてふせた。
それが「安藤くん過去編」「公平くん裏切り編」「四季四天王編」というわけね。
まあ「宇宙サッカー部襲来編」に成長要素ないのは確かだな。

だけど、伏せたことに気づいてもらえるように、風子ちゃんにもわかるような構成のアラをつくったり、わざわざ事前にこんな構想がある、ということを編集さんに話したうえで、やっぱりやめました、と言って、なにかあることを匂わせる、という細工はほどこしてある。
安野先生、頭いいな。


安野先生がユニオンの書庫にもぐりこんでたのは笑った。機械的なセキュリティを突破できればどこにでももぐりこめるのは便利だな。
そして、ニコとジーナさんはほんと仲良し。ジーナさんが亡くなるまで最低でも50年は同僚やってたんだね、そういえば。

安野先生が読んでた本、多分、アーティファクトの図鑑なんだろうけど、あの図鑑ってどうやってつくったんだろうね。
存在はわかってるけど回収がむずかしくて放置してあるアーティファクトがあるのかな。
でも、どうやって存在を知ったんだ、って話だし。

図書館のシーンにちょこっとジュイスさんっぽい人がいるな。
ジーナさんがニコに『君に伝われ』をおススメしてるシーンでも後ろ姿っぽいのが描かれているけど、これなんか意味あるのかね。


安野先生がジャージでジャングルっぽいとこをすすんでるとこ、そんな装備で大丈夫か、ってなった。
最近、『Dr.STONE』で、軍隊アリこわい、って話がでていたし。
でも「自身以外の生物に感知されない」ということは、軍隊アリにも感知されないってことで、そういう意味では安全なのか。
でも、川で溺死とか、足すべらせて転落死という危険は普通にあるわけで、めちゃくちゃ危険であることにかわりはないんだよね。
倒れてても誰にもみつけてもらえないし。

連載中で余裕ないだろうに、ああいうところに行く時間をつくって、危険なところに出向いて、泥だらけになってソウルキャリバーを探したんだな。
ソウルキャリバーを手に入れて、目に涙を浮かべて喜ぶ安野先生が愛おしい。

でも、これは誰も知らない物語なんだよ。
安野先生、ひとりっきりで20年近く、闘い続けていたんだよ……。


姿を消して、風子ちゃんを狙うアンシーン。
安野先生の指示でデッドラインでアンシーンをまっぷたつにしたアンディ。
なるほど、見えない敵を倒すには、あの広範囲を無差別にぶったぎるデッドラインが最適なのか。
ずっと存在だけは示唆されていたのに、まったく姿を現さなかった不可視。
名前と姿が出た回でそのまま退場は不憫だけど、風子ちゃんを殺そうとした(本来は殺していた)ので、同情はしない。

それにしてもこれ、リップと着ぐるみはよく避けたなあ。


「やった…!! ここからはボクの知らない物語だ」
安野先生の勝利宣言。
これが、安野先生が20年かけて積み上げて、ようやく手に入れたものだ。

安野先生が本当にうれしそうで泣ける……。


「安野雲不在の中、オータムとの交戦中、アンシーンによる視えない凶刃によって出雲風子は死んでいた」
これが、本来のこのルートで、バッドエンドが確定するポイントか。

本来ルートのオータム戦のコマをみると、オータム、リップ、着ぐるみを前にして、アンディにおぶられてる風子ちゃんの背後に足跡っぽいのがみえるから、アンディがすぐそばにいるのに風子ちゃんが殺されたことになるのね。
これは……アンディが絶望のあまり即座に額のカードを抜いてしまいそうだわ。
「唯一の油断…!!」言われてるけど、アンシーンがそこにいるなんて、どうやって察知するんだよって感じだ。

風子ちゃんがオータムに突撃していった時、安野先生がめちゃくちゃあせって止めてたのは、風子ちゃんがオータムと対峙したところで殺されていたからかもね。

あそこで、安野先生が自分の左腕を斬り落とすというトンデモ行動をとっていなければ、アンディは安野先生を信じてなくて、あのままオータムと戦っていたかもしれない。

安野先生は、本来、風子ちゃんが死んでいた場であり、アンシーンが潜んでいるかもしれない場から、一刻もはやく風子ちゃんを遠ざけたかったんじゃないかな。
そう考えると、あそこで腕を斬るというのは、安野先生的にはイカれた選択ではないのかもしれない。
むしろ、左腕一本で風子ちゃんを死から遠ざけることができるのなら安いもの、とか考えてそう。

あそこで、腕を失ったのに安野先生めっちゃハイテンションなのがこわかったけど、風子ちゃんを一旦、危ない場所から遠ざけて、自分が想定したシナリオにアンディと風子ちゃんをのせることに成功して、めちゃくちゃうれしかったのか、と思うと、あのサイコなシーンが若干いじらしく思えてくるというマジック。

「さあ、恩も売った事だし、二人の修行編スタートー!!」って、20年かけた計画が順調にスタートしたぜ、ヒャッハー!! 的な意味だったんだね。


オータム戦で風子ちゃんが死ぬことになっていたから、「四季四天王編」が大事ってのはわかる。
風子ちゃんを救うためにデッドラインが必要だったし、アンディと風子ちゃんの関係を強化するために、「安藤くん過去編」が大事なのもわかる。

すると、「公平くん裏切り編」が重要なのは、なんでだろうね。
ビリー様を裏切らせないことが大事、ならもっと別の手を打ってたんじゃないかと思うんだよ。
だから、ビリー様が裏切る、という要素は必須だったんじゃないかな。
そのうえで、ビリー様がなぜユニオンを裏切ったのか、を知る過程がとても大事ということだよね、多分。


ところで、安野先生が死にそうな気配がまったく消えないんだけど、大丈夫か?