『ワールドトリガー』第223話「遠征選抜試験・21」 感想(隊長としての成果)

水上9番隊の強さの理由を知ったオサム。
隠岐は水上が元は将棋のプロを目指してたってことを知ってたから、この結論にたどりつくのがはやかったんだろうね。
あれだけのコマをひとりで操って勝ちまくれる、という発想はなかなか出てこないよなあ。

ひとりでやってれば、諏訪7番隊で発生してオサムが解決案を出したコミュニケーション問題が完全にゼロになるわけで、そりゃあ強い。
ついでに、水上以外の隊員がみんな戦闘シミュレーション以外の課題に取り組める、という二重においしいことになる。

でも、上層部が単純に点数で判定をくだすのならいいけど、戦闘シミュレーションに対してどのような反応や動きをみせるのか、をみたい場合、そこらへんが採点不能になるわけで、それは問題にならないのかなあ、というところがとても気になる。


一方、柿崎3番隊では太一がヘコんでいた。
太一は物事を深く考え込まない性格なのかと思ってたけど、結構、ネガティブな感情をひきずるタイプなのかな。
来馬隊はみんなやさしくてなかよしだから、そういうところが出にくいだけで。

そう思ってたら「鈴鳴の先輩たちに申しわけないって思ったんす……」とか言いだして、なるほど、太一が一番ひっかかってるとこは、そこなのか。
自分の評価が低いと、来馬先輩や鋼くんに心配かけちゃうかな、とか、自分のせいで来馬先輩の評価が下がるんじゃ、とか考えてたのか。

「おれアホなんで寝たら大体忘れるんで」って言ってる顔が、いやこれ寝ても忘れられない案件って感じだ。
だって、ドラフトで最後まで残ったことも忘れられてないじゃん。

「……犬飼先輩は恨みます」
「……おう、ザキさん困らせねぇ程度にな」
って会話はちょっと笑った。
カゲさん、犬飼に冷たすぎる。
そして、ザキさんのことめっちゃ好きなんだな。


A級内では水上と照屋ちゃんのやりとりでポイントのプラスマイナス合戦が発生していた。
空気を悪くしてること自体がダメ派と、特に大きな問題が発生しないうちは静観派に別れてる感じかな。

小南ちゃんが水上のやり方はダメ、って怒ってる感じなのを、片桐が「感情移入能力が高いな」って評してて、おおっ、ってなった。
これ、「感情的だから」と言いそうなところだけど、言われてみると小南ちゃんのは、照屋ちゃんの気持ちやプライドを大事にしてあげて! って主張してるわけで、それを小南ちゃん自身が言われてるわけじゃないんだから、なるほどそういう解釈になるか。


「冬島隊でのナタ振り役は真木だからな」
「旗振り役じゃなくて?」
片桐と雪丸の会話がおもしろかった。
雪丸の笑顔がかわいいな。

確かに、マキリサは旗じゃなくナタを振り回しそう。
そして、ナタを振り回されて、平身低頭の冬島さんと当真さんの絵を想像するとめっちゃ笑えるわけだが、本当にそうなってる可能性もありそうでこわい。

まあ、そのおかげで冬島さんは「隊長として成果をあげることの難しさ」を身に染みさせることなく済んでるのかな?


水上は戦闘シミュレーションをひとりでやることを、メンバーたちに説得する案を一応は考えたのかな。
まあ、実現可能な案は一通り検討してるだろうな。

メンバーを選ぶ段階では当然、こんな形の戦闘シミュレーションがあるとは知らなかったはずだけど、荒船をメンバーに選んだ理由が、隊長のスペアを用意しときたかった、ということは、自分の特性を活かしたらついてこれない隊員が出る、という可能性を最初っから考えてたってこと?
水上は自分自身も駒として動かそうとしてる?
そうだとすると、なかなかの達観ぶりだが。

まあ、鷹揚な生駒さんの下で好き勝手やってるのが、水上には一番、合ってるってことなのかもな。
水上が立てた作戦に生駒さんはめっちゃ素直に従ってくれるし、チームメンバーのメンタルもいい感じに落ち着かせてくれてるし、水上にとっては理想の隊長かも。


ところで喜多川ちゃんはあれ着ぐるみとかじゃないんですか?
トリオン体でつくった何かな可能性はある?

対象が照屋ちゃんだから炎上してて、唯我ならみんな気にしてない、という意見は容赦なさすぎで笑った。
しかも出水が納得しちゃってるし。
多分、他のA級隊員たちもうなずいてる。
流れ弾に当たった唯我かわいそう。


戦闘シミュレーションのユニットが増えた。
メンバーひとりにつき3体ずつ。
これは、チカちゃんが3人いればほとんどのランク戦は勝てる説の検証ができるのでは?

そして、ヘルプユニットが草壁隊と嵐山隊(遠征試験に参加してる木虎ちゃん除く)になった。

「※毎試合3体のみトリガー構成を変更することができる」ってのもなにげに大きいかも。
例えば、自分以外のコマを、いつも自分が使ってるトリガー構成にすれば、より扱いやすくなる。

ユニットが増えると、ひとりで全部やってる水上はさらに大変になるな。


「2度は通じねえような一発ネタでもなんでもいい。明日だけうちが勝てる『ネタ』をみつけろ」
諏訪さんは、とりあえず全員で戦闘シミュレーションをやって、勝てるネタを全員で探す、という方針か。

「ネタ」ってのは、みんなが気づいてない仕様とか、裏技とか、テクニックみたいなものかな。

「知恵絞れよ三雲……おめーの得意分野だろ?」
これ、諏訪さんがオサムを立ててくれてるというか、オサムのいいところをみせて遠征参加に向けてアピールポイントを増やしてくれてるって気がする。

今回の諏訪さんにとっての「隊長として成果をあげる」は、隊員になったオサムの希望を叶えるためのバックアップをする、ということなのかもしれない。
諏訪さん、本当に良い隊長だ。


そして、水上にとっての「隊長としての成果」は単純に、みんなのポイントをあげることなのか?
ボーダーという組織がそんなシンプルに判断するとは思えないんだが。
そして、そういうことに思い至らない水上とも思えないんだが。
う~ん。水上、本当にこわいな。