『逃げ上手の若君』(第175話 責任1338) 感想

自分が消える前提で神力を解放した雫。
そこまでやれば人間の魅摩ちゃんがかなう相手ではない。


佐々木道誉が娘を差し出してでも欲したものは、実は顕家を超える「美」だったか。
あの顕家の死に様はそれほどに強烈なものだったんだな。
でも、顕家の華やかさは公家という出自の上に成り立つものではあるけれど、公家なら顕家みたいになれる、なんてことはないからなあ。

「もっとド派手に もっと贅沢に もっと婆娑羅に!!」って、めちゃくちゃ無理してがんばること自体、美しくないもの。
顕家はたとえ困窮しても、きっと美しく華やかに生きるもの。

「いかなる犠牲も陰謀も」と考えてしまった時点で、顕家が示した「美」から遠ざかってしまった気がするな。


そして、魅摩ちゃんにとってもっとも目障りな存在が雫だった、というのはめっちゃわかる。
神力が彼女を特別にしてくれたのに、雫は同じものをもっていて、時行の側にいる。
つまり、神力があるから、という理由だけでは時行に特別扱いしてもらえないんだよ。

自分は神力以外に価値あるものを持っていない、と魅摩ちゃんは考えているんだろうね。
だから、雫がいる限り、時行は自分を求めてくれないと思い込んだんじゃないかな。


「負けたくなかった 私の存在を見下すような奇麗な奴らに」
時行たちは魅摩ちゃんを見下してなんかいないのに、魅摩ちゃん自身が、自分は見下される存在だと信じきっている。
自己評価が低すぎる……。
もしかしたら、自分が傷つけてきた人たちに対する罪悪感から、自分は最低ランクの人間だ、という評価になっているのかも。


海に落ちた時行を助けてくれた結城。
「背中の傷は嫌いです 鮮血吹き出す自分の傷口が見れないので」って、自分の血が流れるのを見るのも好きなのね。


時行に別れを告げようとした雫の前に、頼重が現れるってのは感動的なシーンのはずなんだけど、ピザを頬張ってることでいろいろと台無しになってる。
でもずっと時行のことを見守ってくれてるんだな。


そして、いきなりの時行の魅摩ちゃんを「娶る」発言ですよ!
なるほどそうきたか!
これなら確かに合法的(?)に親から娘を引き離すことができる!
佐々木道誉の娘なら家格的にも時行の正室として問題なさそうだし。

時行は魅摩ちゃんのことをずっと「友達」と言っていたので、そんな方向に持っていくとは思わなかったよ。


これは雫も「思い残しは無い」とか言ってる場合じゃないよ!
これで雫消滅フラグは完全にへし折れたな!
良かった……ひとまず良かった……。