『暗殺教室』第178話 涙の時間 感想、もしくは、「世界の中心」は消えたから、世界はただひたすらに広がっていく

結構な重大事だったと思われる「天の矛」発射が、ちっちゃいヒトコマで片づけられていて、あれをつくった政府とエンジニアの皆さまはちょっと気の毒だなあ、と思った。
でも、E組の生徒たちにとっては、殺せんせーがすでにいない以上、本当にどうでもいいことだったんだろう。


殺せんせーの愛が(物理的に)重すぎる件(苦笑)。
お揃いの卒業アルバムと、生徒それぞれへのアドバイスブック……。
どんだけがんばっても春休みいっぱいは読み切れないだろ。
殺せんせーは、これを読み切るまでに、生徒たちの心の痛みがやわらいでいればよい、と願ったのかもしれない。

それにしても、こんだけのものをつくるとか、殺せんせーどんだけ暇だったんだよ、と思ったんだが、「地の盾」に阻まれ、外に出ることかなわず、生徒たちにも会えない。
そんな時間を、殺せんせーはひとりっきりで、生徒たちの顔と、その未来を想い描きながら、アドバイスブックを書き綴ったんだろうなあ。
そうやって殺せんせーは、間直にせまった生徒たちとの決別の時を、穏やかな気持ちで、でも、手をせわしなく動かしながら、待っていたんだろうなあ。
もう一度だけでも生徒たちに会いたい、と願いながら。


烏間先生は生徒たちを守るのに必死だなあ。
殺せんせーがいない今、自分がE組のすべてを守る覚悟なんだろうなあ。


渚くんはなんで「潮田」ではなく「渚」と呼ばれているんだろう。
と、いうのは地味に疑問だったんだが、ここにきてついに謎が解けた。
そうか、渚くんのご両親、別居してるだけなのかと思ってたんだけど、離婚してて、母方の名字を使ってたのか。
で、渚くんが周囲に、名字がいつ元に戻ってもいいように、「渚」と呼んで欲しいと頼んでた、と。
あの堅物の烏間先生までもが「渚くん」って呼んでたから、はてさて、と思ってたんだが。
カルマくんが「カルマくん」と呼ばれているのも、本人の希望か?
案外、渚くんだけだと、特別扱いっぽいんで、自分も同じにしてもらえばちょっとは特別感が薄れるだろ、という考えだったりして。


おおっ、浅野くんはともかく、もう二度とお目にかかれないと思っていた五英傑が出てきたっ。
学校の旗でさりげにE組のみんなを隠してあげるあたりが、なんともかっこいいねえ。

カルマくんが殺せんせーの話をおもしろおかしく浅野くんに話してきかせる絵を想像して、ちょっと楽しくなった。


思ったより、落ち着いていたE組の生徒たち。
あの子たちは、これからも、殺せんせーのことを思い出しては泣いて、でも、あの先生と時間を過ごせたことを幸せに思うんだろう。


そして、「世界の中心」だった旧校舎はもぬけの空になり、生徒たちは理不尽があふれる世界に散らばっていくんだ。

ところで律ちゃんはどうなる……。