『ジャンプ流! VOL.6 まるごと松井優征』ちょこっと感想

『ジャンプ流! VOL.6 まるごと松井優征』を買ったので、ちょこっと感想。

ビデオにカラーを描く松井せんせーの様子が収録されてたんだけど、その時に松井せんせーが、コストに見合わないメリットしか出せないのならがんばらなくてすむ方法に変えろ、みたいなことを堂々と言ってて、これはちょっとおもしろいなあ、と思った。
できるのならやった方がいいけど、できないことを無理してやることはない、他に手があるのならそっちも試してみろ、みたいな。

いや、そういうこと言うと「手抜きかよ」って感じにきこえちゃいそうだけど、週刊誌で、ある程度のクオリティを維持して描き続けるために、いろいろ試行錯誤して、手を抜いちゃだめなとこと、省力化してもそんなに影響でないとこをしっかり考えて最適化してるんだなあ、と感心してしまった。

毎週、締め切りはあるし、リソースは限られているし、1ヶ月くらいなら無理もきくかもしれないけど、年単位で連載を続けるのなら、それは絶対に必要なことだと思うんだ。
実際、『暗殺教室』の4年弱の連載の中で、「今週はちょっと作画が荒れてるな」って思ったことないものね。

フジテレビの『暗殺教室』の映画の宣伝番組で、松井せんせーが「フルコース料理じゃなくて、インスタント食品なので」とおっしゃっていたのも、そういうことなのかなあ、と思う。
インスタント食品だという割り切りと、インスタント食品だっておいしいよ、というプライドがかいまみえたような気がした。
知恵と工夫をつぎ込んで、安くておいしいものを提供しようとがんばっているんですね、松井せんせー。

あと、『3月のライオン』が好きとおっしゃってたのが、個人的にうれしかった。
自分の好きなマンガ家さんが、自分と同じマンガを好きって、なんかうれしいよね。


この『ジャンプ流!』はマンガ講座の本+ビデオなので、松井せんせーがマンガを描くに際して、何に気を配っているか、について語っているわけなんだけど、松井せんせーは本当にいろいろなことを考え抜いてマンガを描いていらっしゃるんだなあ、ということが伝わっておもしろかった。
これまでのいろいろな対談とかインタビューとか読んでて、そうなんだろうなあ、とは思ってたけど、それがまとまってドーンってきたみたいな。
マンガの描き方講座なんだから、そうなるのも当然かもしれんけど。


効率化と手抜きの違いって話については、本当にいろいろと書きたいことがあるんだけど、話が脱線しすぎちゃうので割愛。
私が他で書いている文章の領域なんで、そっちに書くかもしれない。
ってまあ、両方を読んでくださってる方は、多分、そんなにいないと思うんだけど。


とにかくいろいろと楽しい本+ビデオでした。
1290円(税抜き)なんで、全巻そろえるのはちょっと厳しいけど、桂正和先生の号はちょっと欲しいかな。