『アンデッドアンラック』(No.088 心にかけて) 感想(心が届く時)

しょっぱなの「皆の想いの積み重ねが、いつか神に届くと思うんです」のところの風子ちゃんがちょっと怖い。
言っちゃなんだが狂信者っぽい。
でも、これくらいじゃないと「不運」背負って生き続けられないんだろうな。

その次のコマで、アンディがちらっとビリー様の方みたのはちょっとおもしろかったな。
リアクションなしかよ、みたいな感じにみえた。

「不運とは好きな奴のみ効くのだろう!? しからばワシに通らぬわ!!」
そう言うスプリングに「関係ないよ、好きになったら」って答えてるコマに、アンディが描かれてるのもいいよね。


「不運」をもたらすことで、スプリングを好きだってことを証明する、というなんとも不条理な風子ちゃんの言葉。
そんな理不尽を受け止めきってる今の風子ちゃん。
本来なら、かわいそう、ってなりそうなのに、怖い、って感じちゃうんだよね。

「だから素敵だし、辛いんだ」
この言葉に、風子ちゃんはどれだけ重いものをこめているんだろう。
目に迷いはないけれど、スプリングから目をそらさぬよう、懸命にこらえているようにもみえる。


「想い人 死なせた己が許せずに その眼に刻んだ 不治の傷痕」
リップのいつも血が流れてる眼帯の下には、リップが自分でつけた傷があるのか。
子供に戻ってもやっぱり眼帯してたけど、あれはもしかして、わざわざ傷をつけなおした?


「眠らずの姫に恋した 青き日々 忘れられずに 今を苦しむ」
風子ちゃんが「消去法でニコさん!」って言ってるけど、ニコのことは風子ちゃんも知らないんだな。
ニコさんで「眠らずの姫」ってめっちゃあまずっぱいワードが出てきて驚いた。
「眠らず」=「不眠」なのかな、って気もするんだけど、自対象の場合、すぐに死んでしまいそうだよ。
この「姫」がミコちゃんの母親なのかな。


「恋の色 教えてくれた不死人に 返せる恩は 何かと探す」
友才さんは抜刀術を教えてた時点で、アンディが「不死」だって知ってたんだな。
アンディが去った時に強く引き留めなかったのは、「俺より長く生きれるならな」という言葉の重さが理解できちゃったからなのかもしれない。
友才さんは若い時の恋を自分の中でちゃんと折り合いつけてて、そのうえでアンディにしてあげられることを探して、「神」を殺してアンディを死なせてあげよう、ってなってアンダーに入ったのかな。

あきらめずに追いかけ続けたジーナさんとは対照的だけど、友才さんはちゃんと断ってもらえたけど、ジーナさんは何も言ってもらえず逃げられた形っぽいので、そこらへんも影響してるのかも。


「触れない ただそれだけなら構わない あなたの心に 触れるのなら」
タチアナちゃんの句がせつない……。けなげすぎるよ、タチアナちゃん。
ビリー様、どんな気持ちでこの上の句を詠んだんだよ。
テラーさんの句といい、ビリー様、激重感情を受けすぎだよ。
まあ、ビリー様がそれだけ魅力的な人だってことなんだろうけど。


雷うけてバリィンってなったり、樹が倒れてきたり、突風でおもちゃ箱がぶつかってきたり、雹が降ってきたり、スプリングさんがかわいそすぎる。
傘で「不運」を避けようとしたら、雷が曲がるのはおもしろすぎる。
いや、普通、傘に落ちるだろ、雷。どういう理屈で曲がるんだよ。


「互いが互いを否定して、浮世はようやく廻るのだ!! それこそが…神が定めた理だろうに」
「…もし本当にそんな理があるのなら、どうしてあなたは苦しんでるの?」
こんな厳しい言葉をスプリングさんに突き付けておいて、「続けよう」と落ち着いたまなざしで語り掛ける風子ちゃん。

最後の一枚は、もう迷いようがない争奪戦。
ビリー様が詠みはじめた瞬間にはじまる奪取勝負なら、スプリングさんは負けるはずがない。

「あと一枚…どんな痛みが来ようとも、ワシは耐え抜き足を止めぬわ!!」
でもスプリングさんは足を止めた。
心の痛みに耐えられなくて。
きっと、最後の一枚が一心さんの句だったことそのものが、スプリングさんにふりかかった「不運」だった。

痛みを与えるのではなく、その人にとってもっとも不運だと思える事象を招く。
進化した「不運」が得た能力が、スプリングさんに降りかかった。
スプリングさんにとっての最大の不運は、初代・一心さんを自分が殺してしまったことを、思い出してしまうことだったんだな。

風子ちゃんは、スプリングを好きだ、という気持ちを「不運」で証明した。
UMAを好きになる人間がいる、って証明した。
それは、スプリングと遊んでくれた初代・一心さんは、本当にスプリングのことが好きだったんだよ、って言ってくれてるんだよね。

でも、それはスプリングにとって、うれしいことであり、残酷なことだ。
だって、スプリングは「神」の洗脳に呑まれ、初代・一心さんを殺してしまったんだから。


初代・一心さんはかっこいいな。
「どいつもこいつも、春を好きになるってもんだ!!」
その言葉通り、春が人々に愛される時代が訪れた。
だけど、そこに友達になってくれた一心さんはいなかった。


「神よ!! わしゃもう人を殺りとうない!!」
「不運!! 後生だ頼む!! ワシを殺れ!!」
スプリングさんの叫びがせつない。
UMAが人を滅亡に導くためのただのイベント発生装置なら、なんでこんな自我をもたせちゃったんだろうね。
ウィンターさんみたいにただそこに在るだけでいいじゃん、ってなるんだけど。


三本勝負の三番目は最初に戻って、あのアーティファクトの賽を使った丁半勝負かな。
対象が一番大切にしているものを奪う、という。


十三人一首がすべて出そろった。
どれもこれも重いんだよ!
否定者の人生を句にしてるんだから、そりゃそうなるだろうけど。
一心さんの句が一番、平和かな?

■亡き親が 恥じぬ息子である為に 動き出そうぞ 動かぬ為に:不動・チカラくん
■友の夢 砕き拾ったこの命 神の顔面 蹴るまで 止まらぬ:不停止・トップくん
■恩人の叶わぬ夢に声を貸し 止めたい本音は 声に出来ない:不?・テラーさん
■悠久を共に廻った あなたへと 死を届けるのが 我が正義也:不正義・ジュイスさん
■あなたから 貰った力と言の葉に 嘘無き眼で 応えてみせる:不真実・ムイちゃん
■出られない 皆がいるから気にしない だからそんなに 哀しまないで:不?・バニーちゃん
■戦友(とも)の悲願 戦の理(るーる)を殺めても 成せぬのならば 俺は神(おまえ)を:不減・クリード
■妹を占い殺した その業を 背負うか 足掻くか 占うか:不?・ラトラさん
■想い人 死なせた己が許せずに その眼に刻んだ 不治の傷痕:不治・リップ
■眠らずの姫に恋した 青き日々 忘れられずに 今を苦しむ:不?・ニコ
■恋の色 教えてくれた不死人に 返せる恩は 何かと探す:不?・友才さん
■触れない ただそれだけなら構わない あなたの心に 触れるのなら:不可触・タチアナ
■春の日に 学びし不壊の心得を 守って行きます 心にかけて:不壊・一心さん



ところで公式twitterさんにとんでもないネタが投下されてて笑った。
バニーちゃんは本当にウサギみたいだな。