『逃げ上手の若君』(第57話 尊氏1335) 感想

時行、弧次郎、吹雪の三方からの攻撃を受け止めた尊氏。
刃を指で止めるのはともかく、矢を鼻の下で止める技はなんなの?

超本気モードの吹雪でもまったく歯が立たないとはな……。


覆面を剥がされてしまった時行。
しかし、尊氏の反応がおかしい。

「…え? …え? 覚えて…ないのか? この顔を」って……。
尊氏が時行の顔を覚えてないとは予想外すぎる。

北条の遺児がこんなに落ちぶれて、とか言われた方がまだマシだよね。時行にとっては。
忘れる程度のとるにたらない存在だった、って言われたも当然だし、と思ってたら「薄い関係の者の顔はすぐ忘れてしまうんだ」と火に油を注いできた。
時行は尊氏に出会った日のことまでよく覚えていたのにこれはない。

「この声、この顔、この感触。私は全て憶えている」って、声や顔はともかく感触か……。
手を握られながらそう考えるということは、かなり頻繁に手を引かれていたんだろうな、って思うと、時行がどれだけ尊氏を慕っていたかがわかる。

そうか……最大の侮辱は忘れ去られることか……。
松井せんせー、すごいとこ突いてきた。
「死んだ女よりもっと哀れなのは忘れられた女です」って詩の一節があったな。


おまけに鎌倉を滅ぼした理由をきかれて「我にもよくわからん。結果的に滅んでいた…としか言いようがない」とまで言い出したよ。
張本人にもよくわからん理由で一族を滅亡させた、とか言われたら、もうわけわからんよな。
絶句するしかない。

てか、研究者もよくわかってないのか。びっくり。


普段、自分の身分に無頓着な時行が、はじめて「無礼者」と激怒した。
なんつーか、時行の北条一族としてのプライドは、ほとんど表に出てくることがないけれど、それを懇切丁寧に踏み潰していくな。
見事すぎる。


「無自覚の極悪! 無邪気に生きているだけで人を狂わせ死なせる男!」という吹雪の評が、そのまんますぎる。
ちっとも過大表現と思えないところが震える。
もう完全に化け物じゃん。

本気で『魔人探偵脳噛ネウロ』に出てきそうな造形だよ。
魔界の住人だよ、この人。


ところで、尊氏のビーム(?)をもろに浴びた吹雪が、なんだかおかしくなってるようにみえるんだが……。


ここでまさかの楠木正成の介入か。
宴席の主人がこんなところで何をしている。
思いっきり尊氏の馬に自分の馬をぶつけてるし……。


尊氏の人間離れっぷりが加速していってるんだが、どうなるのこれ。