『逃げ上手の若君』(第60話 悪党1335) 感想

そういえば「悪党1334」ってサブタイトルがあったな。
悪党は1年経っても悪党か……少なくとも、時行にとっては。


諏訪にたどりつくことができた北条の遺臣たちで結成された「鎌倉党」。
その指揮を執るのは時行だと知って、みんながっかり。
まあ、彼らにとっては「長寿丸」だからね、仕方ない。

名前を明かせば、みんな「鎌倉党」が担ぐにふさわしい人物だと感激してくれるんじゃないかと思うんだけど、名前ではなく実力で忠誠を得て欲しい、というのが頼重の考え。
そのためにも、「鎌倉党」を率いて瘴奸を倒す、というミッションをこなして欲しい、ということね。


ところで、吹雪が教えた時行の新技って何なんだろうね。
玄蕃が「読めるか、こんな技」って言ってるけど。

時行が瘴奸と一対一になった場合の策はできたとして、そこまでもっていくのがまた難しい。
雫の策が良さそうだけど、兵力が足りない。
手がかりを求めて楠木正成からもらった記録書は、なにがなんだかわからない……って「あーもう締切やばい逃げたい」とか「編集の坊門殿が門まで来てる」とか、ピンチなのはもしかして松井せんせーなのでは?

ところで、信濃での2年間で時行が思い出せるのは、変態おじさんたちに翻弄されたことばかり、って……でも、思い返してみると確かにそうだな、ってなる。
ひどい。

いやいやいや「逃若党」のみんなでキャッキャウフフしてたことも思い出してあげようよ。


一方、瘴奸も戦の準備をしていた。
小笠原貞宗から領地をもらえた瘴奸が「もう永久に武士としては死ねんぞ」って言ってて、そうか、今は「武士として死ぬ」が彼の望みなのか、ってなった。
あと、「犯りたければ首無しで犯れ。それなら犯人の顔もバレんしな」って台詞がめっちゃこわい。


領地を譲ってもらえなくて、悪党になった瘴奸が、今は良い地頭になってて、領民にも慕われている様子。
欲しくて欲しくて仕方なかったものを与えてもらったんだもんな……そりゃあ貞宗に対する忠誠心も篤くなる。

領民の子供になつかれて幸せを感じるその一方で、過去の罪にふるえている瘴奸。
「死んで欲しく無いよ」って言ってる子供が目の前にいることで、「死にたくない」と泣く子供を殺してきたことを思い出すんだろうね。
「仏様に心を洗われ」と認めているのに「仏様を殺さなきゃいけない」と、やけに澄んだ目で語る。
御仏の存在を実感させてくれた時行よりも、欲しかったものを与えてくれた貞宗への恩義の方を重くみるのは、武士らしいような気もする

それにしても、時行に値をつけてたイカれたおじさんが、こんな爽やかに子供と語るおじさんになるとはな……。


「必ず帰ってきてね。約束だよ」
「もちろんだとも。おじさんは恐ろしく強いんだ」
これあからさまに死亡フラグなんですけどっ。

許されざる人物ではあるんだけど……それでもちょっと悲しいな。
この展開、罪を償わせるためには、まず罪を認めさせなければならない、ということなんだと思うんだけど。