『アンデッドアンラック』(No.084 遊ぼうよ) 感想(狂気×狂気=純愛?)

スプリングとの三本勝負に勝てば「桜や小判になった人は元に戻って、あなたの核ももらえるんだね」って、ユニオンからみればめっちゃおいしい話なんだけど、スプリングはそれだけの自信があるってことなのかな。
てか、桜になった人たちは元に戻せるのか。
核ミサイルが不発で本当によかった。

スプリングが背負っていた箱の中身は大量のおもちゃ。
毬、羽子板、福笑いといろいろ入ってるな。扇子は投扇興に使うやつだろうか。
「不」の字が入ってるの多いな。けん玉も持ち手が「不」の字になってるし。
これ全部アーティファクトなの? 随分と熱心に集めてきたんだな。


ところでいつの間にか、ジュイスさんと友才さんが対峙していた。
アンディのオリジナルであるヴィクトルの彼女と、アンディの元彼女(みてーなもん)の対決とは、なかなか興味深い。
あと、ジュイスさんからめぐりめぐって友才さんに渡ったバーンの加工剣は、これからどうなるのかな。


「人との勝負は何百年ぶりか…」
「何故こんな昂るものをやめていた? 気付きをくれた神に感謝よ」
スプリングが急に攻撃的になったのは「神の洗脳」だとクロちゃんは言う。

人に興味を持ってしまったスプリングが、力をおさえてきたから、本来の役割を果たしてないとして、強制的にただの「課題」に戻そうとしているのか。
「何百年ぶり」ということは、そんなに長いこと人間にちょっかいを出してないってことだもんな。

すると、「神」は常にリアルタイムでUMAを監視してて、UMAは初期配置したらそのまま放置ではなく、気に食わないことがあれば介入して動きを変えることもできるのか。
ますます無惨様っぽくなってきた(苦笑)。

てか「課題UMA」ってのがあるのね。
トラップとしてのUMAとか、報酬としてのUMAとか、UMAにもそれぞれに役割が割り振られているのかな。
クロちゃんはなんなんだろう。

「俺達ぁ人を苦しめる為に神に作られたんだぜ? 人に興味を持つ方が悪ぃんだよ」
「UMAと人は相容れないんだよ」
そんなことクロちゃんに言われるの、ちょっとさびしい。
クロちゃんの動きが「神」に介入されないのは、「課題UMA」だけがコントロール対象になってるってことなのか、クロちゃんの行動が一応は服のUMAとしてのルールに則っているからOK判定なのか。


「不運」のせいで誰とも遊べず、校庭で遊ぶみんなを描くことしかできなかった小学生時代の風子ちゃん。
そんな風子ちゃんを気にかけてくれた先生たちもちゃんといた。
でも、風子ちゃんはそのやさしさを受け入れることができなかった。
受け入れてしまったら、このやさしい人たちが不運にみまわれるかも、と思うとおそろしくて仕方なかったんだろうな。

眼は泣いてるのに、顔は懸命に笑ってて、「私…お絵描きの方が好きだから」なんて言う子を見守ることしかできなかったんだろうあの先生たちもつらかっただろうな。
でも、先生たちの心遣いはちゃんと風子ちゃんに届いてたってことを、いつか風子ちゃんの口から先生たちに伝えられるといいね。


ここでビリー様が介入してきたけど、部外者の妨害行為は否定されるのか。
射ち込まれた弾丸は止められ、ビリー様の腕が桜にされてしまった。
からだ半分が腐ってて、残り半分が桜になったら、かなりおもしろい絵面になるな。
てかもう3/4くらい腐ってない?


「私は出会えた!! 人の気も知らないでずかずか私の心に入ってきて、私を知ろうとしてくれたアンディに!」
ここのアンディのちょっとうれしそうなアンディかわいい。
でも、今回のアンディずっと生首状態なの、絵面がおもしろすぎるな。


アーティファクトに触れると大量の記憶が流れ込み、脳が焼き切れる。
以前、それで風子ちゃん倒れてたよね。
だから、それがどれほどの苦痛かわかってるのに、アーティファクトが詰まってる箱の中に突っ込んでいくとは、本当に風子ちゃん覚悟が決まりすぎてる。

ところで、アーティファクトってなんなんだろうね。
ジュイスさんによると「神が神を倒すために作った武器」らしいんだけど、その前に「報酬で手に入るアーティファクト」っていう前置きがあるんだよね。
つまり、「課題」の「報酬」じゃないアーティファクトはその枠には入らない。
案外、「神」が手を加えたわけじゃなく、勝手にアーティファクト化しちゃったものがあるんじゃないか?
たとえば、「不死」が地球が壊れても死ねないように、歴代の「不壊」がつくったものも地球が壊れても壊れなくって、新しいループに突入した時点でそれがアーティファクト化するんじゃないか?
一心は「不壊」という字を刻むけれど、実は「不」という字さえあれば発動して、「不」と刻まれたアーティファクトはすべて「不壊」製なんじゃないか?

アーティファクトには記録機能があるけれど、周辺で発生した出来事をなんでもかんでも記録してるんじゃなくて、強い感情を伴うものが優先的に記録されるんじゃないか?

「神」が記録されているアーティファクトはレア、ってリップが言っていたけれど、それって「神」が登場するラストステージあたりになると生き残ってる人間がほとんどいなくて、人間がいないと記録機能が起動しないから結果としてレアものになる、ということなんじゃないか?

とか、いろいろと妄想しちゃうんだよね。
もし、アーティファクトが強い感情の煮凝りみたいなものだとしたら、そりゃあ、脳が焼き切れるよね。


ところで見開きで描かれたスプリングの記憶。
あんなでっかい怪物が近寄ってきたら、そりゃ怖いよね、逃げるよね。
スプリングには悪いけど。
スプリングがUMAにはめずらしく服を着てるのは、人間に嫌われるのは服を着てないからかも、と思ったからだったりして。

てか、あからさまに一心が出てきた。
一心もユニオンの一員なんだから、スプリングに関する情報は渡ってるだろうから、スプリングに関して知ってることがあったらジュイスさんに申告しそうなもんだけどな。
鎧の中身は別人ってオチかもしれんが。
まあ「不死」でも「不老」でもないのは確実だから、中身は違う人、の可能性は高いな。


「相手を知り」
「好きになって」
「相手を死に至らせる」
こうやって並べると、本当にひどい能力だな「不運」。

その能力が渡った風子ちゃんが「この世で一番優しい者」というのは納得できる。
これまで出てきた、能力の内容とそれを渡す相手のチョイスが悪い意味で完璧だから……。


涙を流し、鼻血をたらしながら「これ! この独楽で遊ぼうよ!!」って言う風子ちゃんが怖かった。
なんか、狂気を感じる。

「そしたらあなたをもっと好きになれる」というのは、「そしたらあなたを確実に殺せる」という意味にならんか?

そうか、「不運」に向き合い、生き続ける、というのは狂気の沙汰なんだな、と今さらながら思い知った。


前々回までのアンディとビリー様の戦いで、「不死」と共に生き続けてきたアンディが、どれほどの狂気を抱えて生きているかが描かれていたけれど、そこに重ねての、この風子ちゃんの描写。
この構成はすごいな、って思った。

アンディには風子ちゃんしかいないし、風子ちゃんにはアンディしかいない、というのが、ものすごく納得できるんだよ。
お互いしか、全部を同じ強さと同じ重さで支え合える相手がいないんだな、って。
だから、なんかもうドン引きしちゃうような風子ちゃんの凄みを見せつけられて、アンディはあんなにやさしそうに満足そうに微笑むことができるんだろうな、って。


ジュイスさんがループを重ね続けていることに、ヴィクトルは心折れて、もういいからお願いだから死んでくれ、ってなったけど、アンディは、風子ちゃんがどれだけの無理を重ねても、さすが風子だ、と言い続けるのかもしれないな。
それとも、アンディもヴィクトルと同じだけ時間を重ねれば同じ心境に達するのかな……。


ところで公式Twitterに戸塚先生が「最近スプリングの台詞せいで他のキャラも七五調につられそうになります」って書いてて笑った。
前回のボウの「あたぼーよ、全支部集めりゃ釣りがくる」とかちょっと七五調だったよね。

あと、フォロワー3万人突破おめでとうございます!
突破記念で戸塚先生への質問を募集してるけど、案の定、濃い質問が多いな。
連載完結したらデータブックを出して欲しいものです(連載中は戸塚先生が大変そうなので完結後で!)。