『逃げ上手の若君』(第34話 礼儀1334) 感想

表紙は戦闘機や戦闘ヘリに追いかけられる時行&亜也子。
松井せんせーのマンガで戦闘ヘリをみると、魔人様が空母につっこんでいく絵を思い出す勢です。


領地争いをしていても、それはそれとして、儀礼を絶やさない諏訪大社と信濃守護。
うわべだけの関係であっても、そこまで崩したらもう全面衝突にしかならないしな。
それに、信濃の人たちの諏訪大社への信仰心は根強いだろうから、そこを軽んじるわけにもいかないのかもしれない。

頼重に「けっこうお高い品ですぞ~」って言われて、はははと楽し気に笑う赤沢の絵が、THE外交って感じだな。


小笠原貞宗は返礼の使者として長寿丸=時行を指名。
時行がただの稚児ではないと見抜いた貞宗が、確たる証拠を得ようと動き出した。

ところで、からだは子供、頭脳は大人な人の横で、背中に大量の矢を受けているのは市河ですか?
これ、眠ってないよね。死んでるよね。

時行が特別な存在であると気づかせるわけにはいかない諏訪大社側。
しかし、時行に危ない橋を渡らせるわけにもいかない。
ここで「はいはいはーい」と元気に手を挙げたのが亜也子。
「小さい子供が一人きりじゃ可哀想だよ」って、亜也子も同じ年じゃなかったっけ。まあ、亜也子は体格的には小さい子供じゃないけど。

「それとも、諏訪家には一介の稚児をよこして困る理由でも…?」
「それとも、女の子一人ついてて困る小笠原家ですか?」
亜也子の切り替えしがなんともうまい。ただの脳筋キャラではない。


貞宗は「逃若党(ちょうじゃとう)」を「諜者党」と解釈したのか。
字でそう書かれたわけじゃないから、普通に受け取るとこの漢字になるか。

「儂の推測ではあの小僧は北条一族か重臣の子!」
かなりいいとこいってるけど、さすがに北条の跡取り息子まではいかないらしい。
本当に跡取り息子だったら、あんなおおっぴらに外に出さないし、ましてや戦の場に駆り出さない、ということだろうか。


亜也子のあこがれは巴御前か。
木曽義仲が時行と同じ境遇なら、亜也子も巴御前と同じポジションになれる。
てか、「両脇に二人の武者を抱えて首をポロリともぎ取って見せた」ってこわすぎない?
頬を染めてポロリの練習する亜也子が不気味だ……。

赤沢にセクハラ発言かまされて、冷えた目をしてたのに、すぐに愛想よく「よく言われます~」って応じたあたり、頼重に信頼される理由がよくわかる。


時行に敬意を払って正座をしろ、という貞宗が、ちゃんと正座をしてるのが、良いよね。
貞宗なりにただの稚児に対して敬意を払っている。
貞宗は時行を試すつもりでいるから、こうやって一人前の武士として取り扱って、様子を見ているのかもしれないけど。

以前、貞宗を時行の師匠にする、と頼重が言ったけれど、実際、貞宗は時行の良き師になりそうだ。
まあ、貞宗に許可はとってないんだけどね。

そして、現状を正しく把握し、「今から始まるのは言葉の戦」と見定めた時行は、やっぱり賢い子だなあ、って思う。
これは時行にとって得意の「逃げ」が活かせない戦だ。
だけど、時行の立場を考えれば、これからもっとも得意にならなければならない戦い方とも思える。

亜也子が赤沢のセクハラ発言をさらっと交わしてたけど、あれは亜也子なりの「言葉の戦」だったんだな。
そして、冒頭で頼重が赤沢相手にやってたのも、考えてみれば「言葉の戦」なんだな、って思うと、やっぱり松井せんせーの構成力すごいな! ってなる。

そういえば、解説で名前の話をやってたけど、私も日本史の記事とかで通称と諱が入り混じってるのわかりにくくてなんでだろう、と思ってたんだけど、「わからないんだから仕方ない」ということだったのか。なるほど。通称の方で統一すると、同じような名前ばっかりになってさらに混乱しそうだし。