『アンデッドアンラック』（No.083 賭ける命は）　感想（10万の命を背負って立つ）

ユニオン本部で戦いを見守るニコラボメンバー。
衛星から攻撃とか、本部側からもなんとか援護しようとはしてたのね。
今回は円卓メンバー以外の参加もOKだから、それもOKになるのね。

風子ちゃん単身でスプリングのところにたどりついたけど、他のメンバーはやはりアンダーと交戦中か。
チカラくんとトップくんの戦いは片付いたけど、ふたりともボロボロになってるから、他の援護にいける余裕はないのかな。
ニコとテラーがどうなってるのか気になる。

アンダーの動きをおさえつつ、風子ちゃんを奪還し、ユニオンがスプリングを討伐する、がユニオン側の狙いだから、ほぼほぼ目標は達成されてるな。
今のところ、ユニオンもアンダーも誰も死んでないし。

「結局命をかけんのはいつだって否定者だ…」と歯噛みするミコちゃん。
今のところ、唯一、否定者の肉親という立ち位置にいるミコちゃんだから、そのくやしさや無力感は、より切実なものを感じる。

ミコちゃんがさりげにボウの腕にしがみついてるのかわいいな。
ミコちゃんにとって、ライナスの毛布的な存在なのかも。


一方、スプリングに「お話をしに来ました!!」と言い切った風子ちゃん。
テラーさん経由でずっとスプリングのことをみてたのか。
風子ちゃんにべったりなバニーちゃんもかわいいけど、なんなんだよこの状況、って感じの顔してるテラーさんもかわいい。
ビリー様がスプリング討伐は風子ちゃんに任せると決めたんで、テラーさんには協力しないという選択肢はないんだろうけど、そういうのがなくても、頼み込まれたら断れなさそう感がある。


桜に変わっていく人を見ながらお酒を呑む、って普通に考えたら、俺の能力すごいって悦に入ってるとか、「神」の命令を着実にこなせてる満足感に浸ってるとか、そんなことかなって気がするけど、夜になると寂しそうになるってなると、ちょっと違うかも、ってなるか。
夜になるとつまらなそうにする、だったら、まだつながるけど。

スプリングが実は人間大好き、って場合は、昼間はお酒を呑んでないとやってられないし、夜は、また大勢の人間を犠牲にしてしまった、とヘコんでいる、という解釈もできるっちゃあできる？

スプリングがアーティファクトを使ってて、そんなUMAいるの？　ってなってたけど、考えてみれば、人がつくったものを身に着けているUMAも他にいないな、そういえば。


「人がUMAと話したい？」っていうのも、自虐で言ってるって解釈もできる。
スプリングもそれを望んだ時期があったけど、叶わなかった、っていう。

風子ちゃんがUMA相手でも会話できればわかりあえる可能性がある、って考えてるのは、クロちゃんの存在が大きいのかもね。
アンディと離れてからは、クロちゃんをめっちゃ頼りにしてるし。
アンディもクロちゃんを信じてるから、風子ちゃんについていかせる、という選択ができたんだし。

それにしても、「私達はあなたを倒さなきゃいけない」って断言する風子ちゃん、すごいな。
そこは濁さないんだ。


人間に嫌われて涙目なちっちゃいスプリングかわいい。
あれはスプリングのコアなのかな。

江戸時代に桜は不吉、と考えた人たちも確かにいたんだろうけど、愛されてもいたと思うけどね。
何が凶で何が吉かは、地域とか身分階層でだいぶ違うし。
スプリングが人間のこと好きすぎて、人を悲しませてしまったことを重く受け止めすぎた可能性もあるのかな。


ところで、スプリングの命を取った人たちの名簿（？）にさりげに「一心」って入ってるんだけど……それって「不壊」のこと？
いや、うっかり同じ名前入れちゃった、ってのはさすがにないと思うんだけど。
四季編ではほぼ出番なしな一心が、まさかここでクローズアップされるとわっ。

もし同一人物なら、一心は江戸時代から生きてる？
だから、使う言葉が時代がかってる？

う～ん。考えられるとしたら、殺されそうになったので、自分がつくった鎧に魂を定着させたら、「不壊」がつくった鎧なので壊れずにここまで生き延びた、みたいな話かな。
『鋼の錬金術師』のアルフォンス的な。
ソウルキャリバーがあるので、魂を別の何かに定着させることは可能なはずだし。
でも、鎧の面頬の口のとこから目がみえたコマがあったから、中に誰かが入ってるはずなんだよね。
いや、鎧そのものが「不壊」で中にいるのは別の誰か、という二人羽織状態という可能性もあるのでは？
と、いろいろと妄想がひろがりまくり。

巻物に名前が載ってた、ってだけでここまでワクワクさせられるとは、『アンデッドアンラック』おそるべし。


中学校を途中でやめちゃった、という風子ちゃん。
それまでなんとか頑張ってたけど、「不運」がらみでなんか事故って、これ以上はもう耐えられない、ってなっちゃったんだろうな。
窓からみる楽しそうな人たちの姿をみるのが喜びだった、っていう風子ちゃん、本当に良い子。
なんで私だけこんな……ってなってもおかしくない、というか、そうなるのがあたりまえじゃない？　って状況だと思うんだよ。
でも、世の中を恨まず、他者をねたまず、自分が家の中でひっそり生きていることで、誰も不運をかぶらずにすむならその方がいい、って考えてたんだろうな。
もし風子ちゃんが、自分が死んだら誰かがその能力を引き継ぐことになる、と知っていたら、自殺なんか考えなかったかもしれない。
できるだけ長生きして、自分がこの不幸を引き受け続けようって頑張ったんじゃないかな、って思うんだよね。

こんないい子だからこそ「不運」を付与されてしまった、ということなのかもな。
これまでの「神」の人選の確かさ（？）をみるに。


スプリングに異変発生！
「ニ…ゲロ」と言っておいて、「いや、賭けろ…!!」というあたり、誰かに乗っ取られてる感あるよね。
無惨様にコントロールされてる阿窩座っぽい。
「神」はUMAの精神を乗っ取ることが可能なのか？
乗っ取られてるとしたら、スプリングが対話で否定者に譲歩する流れは絶対に許さない、という意志を感じるけど。

フェーズ3、とも言えそうな変貌を遂げたスプリング。
ちょっと歌舞伎っぽくなった。
ユニオンが把握してるのもフェーズ2までらしい。
「神」のお気に入りの概念系にしかない機能（？）かもしれない。


ユニオンって10万人以上の職員がいたんだね。
意外と大所帯だった。
ロンギングで助けられた子供たちが、将来的には記憶消去して一般社会に戻るか、記憶そのままでユニオンの職員になるかを選ぶことになる、みたいな話があったから、UMA被害に遭ったところを救われたって人も多そう。

それなら、風子ちゃんのお願いに、みんなが応じた気持ちもわかる。
冒頭のミコちゃんみたいに、みんな、否定者ばかりに命を懸けさせている、と忸怩たる思いを抱えていたから、否定者のために命を賭けることに躊躇しなかったんだろうな。
この組織、鬼殺隊なみに覚悟決まってるな。

でも、万が一、風子ちゃんが負けたら、ユニオンの職員が10万人減るし、ニコラボメンバーもニコだけ残して全滅になるわけで、ユニオン存続の危機なんでないかい？
まあ、ここでスプリングに負けて「公転」が追加されたら人類存亡の危機になること確実なので、何もできないままペナルティ受けるくらいなら、やれるだけのことやって負けた方がまだ納得できるというものか？
職員にペナルティのことが周知されてるかは知らんけど。


それにしても10万人分の命を背負わされるのに、「組織の皆!!　お願い!!」って言える風子ちゃんは本当に強い。

風子ちゃんは「不運」を信じられるようになった。
それは、自分を信じる、と同じことだ。
家の中に引きこもって、窓越しに世界を眺めることしかできなかった女の子が、10万の命を、その先につながる地球上に生きるすべての命を、背負いこむことになるってすごい。

多分、アンディはこのかけ金になることができないけど、真っ先に伍萬両箱にとびこみたかったんじゃないかな。


ところで公式Twitterさんで、アンディがビリー様にやたら注文だしてるの笑った。
そして、今号のラストのコマをみると、ちゃんとビリー様のポケットから風子ちゃんの手袋がのぞいてて、倶利伽羅も持ってる（刺してる？）んだよね。
ビリー様、なんだかんだで人がいい。
でも、そんなことやってるとゾンビ化が進行してしまいそうで心配。