『アンデッドアンラック』(No.092 粋) 感想(粋な遊び相手に出逢うまで)

あいかわらず一頭身スプリングさんはかわいいな。
「コレ」「ワシ咲カセタ」って人間にアピールするとこもかわいい。
スプリングさんは桜が好きで、だから桜を咲かせれば自分を好きになってもらえる、って考えたのかな。
でも、それは「桜は不吉の象徴」と石を投げられただけで終わった、と。

でも、どうしても人間と仲良くなりたくて、日本中から玩具をかき集めて、遊んでもらおうとしたら、それもダメだった、と。
箱を背負ったでっかい裸の鬼が走り寄ってきたら、そりゃあこわいよな。

で、そこに鎧姿の初代一心が現れた、と。


なんとなくスプリングさんと一心の鎧のデザインが似てるのは、初代一心がスプリングさんの人相書に寄せてつくったからか。
相手は鬼なのに「おめぇさんがビビらねぇようにな」って気を遣うのすごいな。
鬼相手なら何やってもいいんだよ、だって人間じゃないから、とはならない。鬼だってこわいものはあるだろうと考える。やさしい人だ。

しかし、相手を驚かせないように一心さんがせっかく気を遣ったのに、面をとったら「顔ガ取レタ!!」ってめっちゃビビるスプリングさんが……かわいい……。


「桜が不吉」というのは、人間同士の諍いの原因を桜になすりつけてるってことだ。
だから、スプリングさんは被害者だ、と「さぞ辛かったろう…すまんかった…!!」と、土下座する一心さん。
スプリングさんが考えている通り、スプリングさんを傷つけたのは一心さんじゃないから、一心さんが土下座するのは違う気がする。
でも、一心さんの中では、人間が誰一人としてスプリングさんに謝らない、ということの方が筋が通らないんだろうな。


一心さんが持ってきた百人一首の札に、「おお!!」って手を叩いて喜ぶスプリングさんかわいいな。
なるほど、スプリングさんが七五調でしゃべるのは、百人一首で言葉を覚えたからか。

そして、今、スプリングさんが身に着けているものは、すべて一心さんが揃えてくれたもの……。
何百年も経ってるのにまだちゃんとしてるのは、「不壊」の手が入っているからか?


一心さんの目論見通り、桜は人から愛されるものになったけれど、スプリングさんが人間を苦しめようとしないことが気に入らない「神」によって、スプリングさんはUMA・人間を苦しめるという命令を遂行するだけの存在に引き戻されたんだろうな。

「後生だワシを殺ってくれ!!」
スプリングさんは、風子ちゃんにお願いしたのと同じことを、一心さんにも頼んでた。

「春など無くとも世は廻るのだ!!」
実際、「夏」と「冬」が無くなっても世は廻っている。
「夏」か「冬」だけが残るともはやラグナロクだから、残すとしたら「春」か「秋」だな、となった時、「秋」だけを残すように「神」が仕向けたのは、人間好きすぎでUMAのお仕事(?)をしない「春」を始末したかったからかもしれん……。

いや、オータムはあんなことになってたけど、実は人間大好きUMAだった可能性もあるのか?
人間大好きで、だからこそその人生を読みたがる、とか。


スプリングさんと風子ちゃんの三回勝負の一回戦目は、一心さんとはじめて遊んだ独楽で、二回戦目は一心さんに言葉を教えてもらった百人一首なのね。
そして、三回戦目は一心さんの命を奪ったチンチロか……。

一心さんは、ただ我を失ったスプリングさんにやられたわけではなく、ちゃんと自分の意志でスプリングさんと向き合って、その結果、命を失ったのだ。
それだけで、なんだかホッとした。
初代一心は「神」に振り回されて一生を終えたのではなく、ちゃんと幕引きのやり方を自分で選んだんだな、って。

そして、「不運」によって討伐が確定的になっているスプリングさんも、ちゃんと一心さんとの約束を守ることができるんだ。
スプリングさんは大願を果たして終わることができるんだ。

初代一心もスプリングさんも、それぞれ精いっぱい「神」に抗ったんだ。

そういうことが知れて、そういうエピソードをちゃんと描いていただけて、うれしかった。


ところでラストのページの「スプリング!! あーそびーましょっ!!」って飛び込んできた風子ちゃん、ちょっとこわくない?
スプリングさんにとって、待望の遊び相手が来てくれた! って絵なんだけど、なんか風子ちゃん覚悟きまりすぎでこわいです……。


ところで公式Twitterさんにジャンフェスネタがあげられていたんですが、本当にジュイスさん、それはやめてあげてください。ユニオンのみんなが困ってしまいます……。