『逃げ上手の若君』(第43話 軍略1335) 感想

奇襲のおそれがあるから本陣を動かして欲しい、という時行の進言に従わない四宮軍本陣。
まあ、ただの稚児ということになっている時行の、根拠のない言葉なのでしかたない。
本陣を動かすのもそれなりのリスクがありそうだしな……。ボスである四宮の命令がない状態で動かすのは無理があるんだろう。
子供が何を言ってるんだ、と怒られてないから、まだ時行に対してそれなりの敬意をはらっているように思える。


ここで襲ってきた瘴奸の軍。
わざわざ大声を挙げて奇襲するのか。
これだけの数の男たちが大声を出したらかなりな迫力だろうな。


すべてが計算され尽くしたうえでの奇襲。
国司がつくった戦闘神輿を「玩具」って言い切ってるけど、それはそれとしてきっちり利用してるのすごいな。

こんなにめっちゃ丁寧に自分たちの軍略を説明したのは、瘴奸なりの時行への敬意の示し方なのか。
それとも、おまえはまだ子供で何もわかっていない、と嘲笑したかっただけなのか。

いずれにせよ、あそこで本気で瘴奸が太刀をふるっていたら、時行は死んでいたような気がする。
「だが残念! 良い子は死ぬ時間だ!」って言ってたけど、以前みたいな狂気は感じられなかったし。

瘴奸はなんというか、ちゃんとした(?)武士になったな。
これは上司になった小笠原がすごいんだろうな。


四宮はやっぱりできる男だな。
冷静に状況をみつめて、負けはくつがえらないとみて、どうすれば犠牲を少なくするか、に考えをシフトさせている。

そこに現れた望月。
「諏訪明神」の名前を出して四宮軍を撤退させるか……。
頼重の元に集められている信仰がちょっとこわい。頼重自身、こわくなる時ってないのかな。

そして、「なんかつまらん」で一番やばいところにちゃんと駆け付ける望月はすごいな。
以前、祢津が「望月は相変わらずだ。雑に動くがなんだかんだで良い方へ転ぶ」って言ってたけど、本当にそう。
てか、木を根っこから引き抜いたあげくにポイするとか、何者なんです?
亜也子の父親だから、と言われると謎の説得力はあるが。


そして、時行はこの戦いの裏にある頼重の軍略を知る。

頼重、海野、祢津、望月、小笠原、瘴奸……癖が強いけど有能な武将たち。
これらの存在は、時行に様々なことを教えてくれた。

そして、無茶が過ぎると思われていた時行の伝令役としての行動も、だからこそ諏訪神党の武士たちの信頼を得ることができた。

戦いがどのようなロジックで動かされているのかを時行に教え、時行がどのような人物であるのかを諏訪神党の者たちに教える。
この信濃での三つの戦場をめぐる戦いは、時行にとっての中先代の乱への前哨戦だったのだな、とあらためて思う。


頼重は大乱の結果を予知できないのかな。
「諏訪から離れるほど、戦などで関わる人数が増えるほど、我が予知は精度を失いまする」って言ってたから、できなさそう……。