『アンデッドアンラック』（No.091 遊んで来い）　感想（宿命を肯定し、運命を否定する）

アンディに「チッ!!　ダメだ!!　リップの刃が脆すぎる!!」言われて、「しょーがねぇだろ！」って言い返すリップがかわええ。
いや、リップの刃が脆いんじゃなくて、スプリングが頑丈すぎるんじゃないかな。

アンディが桜化したけど、ABCローブは舞ってる花びらは弾くけど、あの枝みたいなので直接押し付けられたら防げないってことなんだろうな。
服着てればともかく、アンディ全裸だから……。
てか、風子ちゃんの斬首が手慣れすぎててて笑う。


友才さんの否定能力は「UNDRAW -不抜-」。
これはあちこちで予想されてたな。
視えてる範囲ですべて「抜く」ことが否定されるのか？
それで起こる悲劇ってなんだろう。
抜刀術の使い手なので、真剣勝負をしようとしたら、相手の刀が抜けなくてとんでもないことに……とかかな。

視界に入ってるすべてが効果範囲だとしたら、ツリーの展望デッキからみんなの戦いを見守っていれば、それで桜化の被害は防げる、ということになる。
アンダーだけじゃなく、ユニオンのメンバーも守っちゃうことになるけど、ビリー様も本心ではユニオンのメンバーを減らすつもりはなさそうだし。

でも、アンディに抜刀術を教えていたから、何か別の条件があるのかもしれん。


「流石オレの元カノ」はジョークとしても言っちゃダメなやつだぞ、アンディ。
「怒ってないですよー。私アンディの彼女じゃないですしー」って、風子ちゃんから手痛いペナルティをくらったので、二度と言わないと思うけど。

それにしても、アンディに「元カノ」って言ってもらえて喜ぶ友才さん、かわいいな。
てか、風子ちゃん、友才さんにその話ちゃんとしたのね。
まあ、そうすれば次の戦いでみんなを守れるかも、となったら風子ちゃんは話すだろうな。若干、もやもやは抱えてたかもしれんが。
風子ちゃんはアンダーのみんなのことを知りたがってもいたし。


桜の樹で全身を守るスプリング。
リップは樹を切ればいいと言うけれど、桜は元は人なので、風子ちゃんはそれをやらせたくない。
まあ、スプリングを倒せば元に戻る、って話になってるから、受け入れがたいってのはわかる。
アンディも風子ちゃんの気持ちは大事にしたいけど、打つ手がみつからない。

トップくん、一心に抱えられて「な？　壊れないだろ？　俺の足は折れたけど」って……。
トップくんが足を折るのを、いつものこと、みたいに言ってるの（そして実際にいつものことだ！）が、本当にキツイよね。
これ、トップくんの足と一緒に、一心の気持ちもボコボコにしてる。
あの面頬の下でこっそり泣いてそう。

チカラくんも眼が開かない状態だし、ジュイスさんに支えられてようやく立ってる感じ。かなり殴られたからな。


そこで、アンディが頼ったのはタチアナちゃん。
タチアナちゃんのビリー様からちょっとだけ距離を置いて、話しかけることを迷ってる様子がかわいいけどかわいそう。
でも、アンディに励まされてやらかしたのが、ビリー様の口にロングケーキバーをツッコむ！　で笑った。
いや、ズポって……絵面がおもしろすぎるんだが……。
でもちゃんと食べてる。


考えてみれば、ビリー様、見えてないのにタチアナちゃんのためにせっせとケーキをつくってたんだな。クリームだか生地だか飛ばしすぎだけど。

アンディはケーキづくりというか、料理上手そうだよね。
タチアナちゃんに「全然美味しくない!!」って言われて、アンディ猛抗議してたけど、タチアナちゃんが求めていたのは、おいしいケーキではなく、ビリー様とケーキをつくる時間なんだからしょうがない。


「戻ってきて…一緒に闘おう？」
言われて、片膝ついたビリー様。
身長差は、タチアナちゃんのカメラ的には問題なかったんだろうけど、まだ小さい、本当のタチアナちゃんと目線をあわせたかったのかな、って気がした。

ここでアンディが通信を切らせたのは、ビリー様とタチアナちゃんの会話を横からきくのは無粋だと思ったのか、これ以上、ビリー様に好感を抱きたくなかったからなのか。


ビリー様が髪を後ろに流して、ユニオンにいた時と同じ髪型にして、タチアナちゃんにまっすぐな視線を向けたところ、なんかもう目がきれいすぎて、ちょっとうっかり笑ってしまった。
いや、感動的なシーンなのはわかるんだけど、きれいになりすぎだろ、って思って。
考えてみれば、あの髪型の時のビリー様って常にグラサンかけてたんだよね。
だから、このビリー様を見慣れなくて違和感なんだよ。多分。

タチアナちゃんに説得されても、ユニオンには戻らない、とはっきり断ったビリー様。
「でも…戻れないだけだ」って言うビリー様は何を決意してるんだろうな。
ユニオンには戻れないけど、敵対以外の道を探す、ってことだといいな。

アンディと風子ちゃんに「手を貸そう」って言いながら、ちらっとテラーさんの方をみるビリー様がっ！　なんかかわいい！（←さっきは笑ったとか言ってたのに）

テラーさんの「どーぞ」もまた良いな。
なんか、こうなると思ってましたよ、的な。
「恩人の叶わぬ夢に声を貸し　止めたい本音は　声に出来ない」の句の人だからね。
本音としては止めたいので、止めてくれる人が現れてくれてうれしい、って密かに思ってそう。


「不死と不運は運命を否定する」か。
死を否定することは「命」を否定することであり、「運」を否定する風子ちゃんとあわせれば「運命」を否定する、という意味になる。
「UNDEAD」と「UNLUCK」のデカフォントが作中で出てこないのは、まだふたりとも本当の意味での能力は使ってない、ということなのかも。


風子ちゃんを背負ったアンディと、ビリー様を乗っけたタチアナちゃんが並走してる絵が燃えるし萌える。

スプリングを守る桜を「城に模した」ととらえて、「不均衡」をここでつかってくるのうまいな。
いや、桜であって城じゃないだろ、って思うんだけど、いや、城にみえるから城！　対象内！　って言いきっちゃえば通じるのね。
解釈で能力を拡張する、というこのマンガ独自の能力強化法をこういう形でつかってくるの、本当に強い。

で、スプリングを攻撃してるんじゃなくて、ビリー様を斬りたいだけだから！　って言い分もちゃんと通るんだよね。

そのうえでさらに「不変」でアンディの血の刃の形を変えさせない＝折れないにするのもうまい。
ビリー様の能力の組み合わせ技、本当に強いな。

ところでビリー様、まっぷたつにされちゃったけど、これでゾンビ化した部分だけ切り離せる？　大丈夫？
再生する前に「不死」が使えなくなったら大惨事なんだが……。

ラストの見開きをよくみると、風子ちゃんがタチアナちゃんの装甲に弾かれてスプリングに飛びついていて、タチアナちゃん大活躍だった。


スプリング戦をうまいこと乗り切ったとして、その後、ビリー様はどうするつもりなんだろうね。
ユニオンに戻らないって言い切ったけど。

安野先生は「ビリーの裏切りの顛末」を知る過程に意味がある、と言っていた。
「裏切り」ではなく「裏切りの顛末」ってなってるのはどういうことなんだろう。
ビリー様の裏切りは必須ルートで、そこを通らないと望むエンディングにはたどりつかない、というのは確定だと思うけど。


ところで、ジャンプフェスタのプログラムで、アンディのおでこのカードはアーティファクト、という新情報がでてきて驚いた。
あのカード、記憶を封じ込めるとかなんなの？　って思ってたら、アーティファクトだったのか。
だとしたら、ヴィクトルがみずからの記憶を封じるために刺したのかな、あれ。