『アンデッドアンラック』(No.111 ENTRUST) 感想(また会えるから)
元々のリップの計画は、リップがループして、ライラの手術をやり直すこと。 自分が指示して、信頼できる代理人に執刀してもらえば成功する予定。 当然、そこで助かってもすぐにラグナロクはやってくるので、たとえ助けることができても、一緒に過ごせる時間はあまりない。 そこをラトラに問われて、「ラトラは真面目だな」って返すリップの投げやり感が怖い。 「いいじゃないか。それで終わるなら」 ここのリップの目がやけに静かで、それだけに痛々しい。 「一緒に死ねるならそれで……」 リップとラトラはライラを殺さなかった。 最期まで3人で過ごして、一緒に死んだ。 リップが欲しがったのは、ただそれだけだった。 たとえばリップが「神」殺しをあきらめず、アンディとの共闘路線を選んだとしても、ライラはもういない、という事実は覆せないからなあ。 リップのそばに運んでもらったラトラが「…ありがとう」ってお礼を言うとこが泣けた。 殺し合いをしたけれど、アンディを恨んではいないよ、と伝えてくれたような気がしたから。 そして、リップもアンディのことをよくわかっている。 アンディが何をしようとしているのかを察している。 「でなけりゃ甘チャンのお前がここまでするわきゃねーんだ」か。 アンディとリップは戦いばかりで、穏やかに会話できたことがほとんどないんだが、リップは本当に良くアンディのことを理解している。 風子ちゃんがアンダーのアジトにいた時に、いろいろ話していたのかもしれないな。 思えば最初っから、リップは「神殺し」は不可能、っていう意見だったよな。 まあ、普通はそう考えるよね。 そしてアンディは最初っから、可能、という意見だった。 理解しあえても、根本のところが交わらない。 鬱屈を吐き出すようにアンディに無理な理由、諦める理由をぶつけるリップに対し、アンディは静かだった。 「変えるさ。でなきゃループする意味がない」 アンディの覚悟をきいて、うつむいたリップは何を思っていたんだろうか。 「変える」という覚悟は、多分、リップにはなかった。 ライラを殺してない、という事実だけ手に入れれば、あとは全部どうでもいい。 だって、否定者たちみんなを救うなんてことできるわけがないんだから。 でも、アンディは「変える」と断言した。 「みんな救って、みんな仲間にして、仲良しこよしで、神さま倒してグッドエンド」にするんだ、と。 だか...