『呪術廻戦』(第147話 パンダだって) 感想(造られた自我の咆哮)

 表紙は大きな人間の手と小さな獣(?)の手。
そしてサブタイトルは「パンダだって」。
ということは、夜蛾学長とちっちゃかった頃のパンダ先輩の手ね……と思ってページをめくったら、囚われの夜蛾学長がドン! ですよ。
手を呪符っぽいので巻かれてるのは、呪術を封じるためかね。


夜蛾学長を特級に認定しようとしているって、「特級」というのは「一級の上」という意味ではなく、強いうえに何かしら唯一無二の能力を保持している、ということなのかな。
だとすると、夏油が特級なのもわかる。
里香ちゃんを失って、特級を剥奪されたにもかかわらず、今、特級になっている乙骨も何かあるんだろうね、きっと。多分、リカちゃん関係で。

そして、夜蛾学長もパンダ先輩をつくったことで「特級」に値すると判定されている。
パンダ先輩みたいのを増産できるのなら、それこそひとりで「軍隊」をつくれるから危険視されている、というのは納得できる。
パンダ先輩、強いし、頭もいいし、判断力も高いもんなあ。
そんな高性能かつ自立した呪骸たちが一致団結して反乱おこしたらこわいよなあ。

これまで夜蛾学長が見逃されていたのは、パンダ先輩は偶然造れただけで、増産はできない、と言い張っていたからか。
あとはまあ、五条先生が夜蛾学長を慕っていたから、その権威で守られていた部分もあるんだろうね。
本当に、五条先生がいる、というだけで守られていた人、多すぎる。


だけど実は夜蛾学長はパンダ先輩みたいのをいつでも造ることができるらしい。
そして、そんな呪骸たちを天元様が守る森に隠している?
ってことは、天元様、このことを知っているのか。


一方、パンダ先輩も拘束されていたけど、日下部先生に逃がしてもらった。
日下部先生は夜蛾学長に恩がある。
息子を亡くして心を病んだ日下部先生の妹さんに、息子のタケルくんの魂が宿った呪骸を造ってくれたという恩が。
だから、その恩を、夜蛾学長に「息子」を返してやる、という形で返したわけか。

日下部先生も、こんな形で妹の心を救うことに葛藤があったんだろうな。
それは「甥」ではなく「甥の情報」をもって動く何か、ということを理解しているから。
理をねじまげて、まがい物で救われて、妹は本当に幸せになれるのか? って。
それでも、この解決方法に踏み切らざるを得ないほどに、どうしようもなく追い詰められていたんだろうな。妹さんも。日下部先生自身も。


今回、時系列でみると、
夜蛾学長は囚われていた
⇒でもどうにかして逃げ出した?
⇒夜蛾学長は呪骸たちを匿っている森にお別れを言いに行った
⇒夜蛾学長を誘い出すためにパンダ先輩が拘束されていた
⇒夜蛾学長はパンダ先輩に会いに行った
⇒パンダ先輩は日下部先生に逃がされた
⇒夜蛾学長は楽巌寺学長に倒された
という流れなのかな。

楽巌寺学長に倒され、死の間際に完全自立型人工呪骸の製造方法を話した夜蛾学長。
「私からアナタへの呪いです」か……。
呪いを託して死ぬ呪術師、多すぎじゃない?
だからこそ呪術師なのかもしれんが。

「悪くなかった」って言った野薔薇ちゃんは高く評価されるべき!


私は、自分が確立した技術が消え去ることを、夜蛾学長は最後の最後で否定したのかな、って思った。
技術屋というのはそんなもんなんじゃないかな、って。
でも、その技術が何をもたらすかはわかっているから、悪用はしない、という信頼がある楽巌寺学長に託したんだろう。
楽巌寺学長にしてみれば、こんなもん託されても、呪いにしかならないけど。
そういうことを理解しているから、「後は頼みます」ではなく「呪いです」って言ったんじゃないかな。


パンダ先輩の中には3つの魂がある。
夜蛾学長は、どこに行くのかと問われて「息子に会いに」と答えた。
前々からあった、パンダ先輩の中にある魂は夜蛾学長の子供説、が強化された感じだな。


「肉体の情報から魂の情報を複製する」で、すでに亡くなっている日下部先生の甥っ子の魂を呪骸にのせられたんだから、遺体さえあればいくらでもパンダ先輩みたいな呪骸はつくれることになる。
相性のみきわめが必要っぽいけど、失敗しても捨てればいいだけだからな。
今、東京は遺体だらけになってそうだから、呪骸の軍隊をつくることもできそう。
めっちゃこわい話だけど。

てか、それを死滅回游のコロニーに放り込んだら、プレイヤーとして認めてもらえるのか?