『逃げ上手の若君』(第15話 尊氏1333) 感想
15話目にしてはやくも『ジャンプ』表紙&巻頭カラー!
ちゃんとアンケートがとれてるようで何よりです。
コミックスの方も1巻が7月、2巻が8月の連続刊行のようで編集部も売り出す気満々っぽい。
コミックスの連続刊行は若干トラウマがあるんだけど、1巻の発売の方を遅らせて連続にした形なので、そんなに心配することもないのかな、と。
ところで『ジャンプ』表紙の方のカラーの時行がめっちゃかわええですね。
横にちょっとアブナイ感じの神主がいるけど。
そして、巻頭見開きカラーの方は尊氏メインか。
かっこいいな、尊氏。さわやかイケメン感がすごい。
新キャラ護良親王。
とてもすずしげな容貌の正統派美形。
いかにも育ちがよさそう。
皇子なので育ちが最上級なのは当然だけど。
他の連中が塀から降りているシーンで、ひとりだけ空中浮遊でもしているかのように描いてるのが良いよね。
尊氏もすずしげな容貌ではあるんだが、護良親王とは趣が異なるというかなんというか……。
この利発な皇子に堂々と命を狙われても、怒らず、護良親王を褒め称え、困惑した様子で「話せばわかる」という主張を繰り返す尊氏。
ここらへんでもう、尊氏のありえなさ感がすごい。
でも、本人は至極まじめに困ってるだけなんだよね、多分。
誤解されちゃってるなあ、まいったなあ、みたいな感じで「殿下。どうかお気をお鎮めに」って言いながら、後ろでは生首がポンポン飛んでる絵が、めちゃくちゃ尊氏をあらわしているように思う。
なんか、自分は善であると信じ込んでる『魔人探偵脳嚙ネウロ』のシックス、みたいな?
実際、「悪人」ではないと思うんだけど、護良親王の「怪物」という評価が近いのかなあ、と思いつつ、でもまだなんか違う感じがする。
「怪物」と言うよりは「異物」の方が近い感じかな?
これだけの人数を軽々と殺し尽くし、護良親王の刃を指一本で受け止め、うやうやしくひざまずく尊氏。
こんなの相手にしなきゃいけない護良親王がかわいそう。
でもまあ、先に仕掛けてきたのは護良親王だしなあ。
死体や生首が転がる血でびちゃびちゃになった路上を、まったく気にする様子なく尊氏に向かって駆け寄ってくる人々が、めっちゃ狂気なんだけど、それをあたりまえの光景って感じで描いてるのは、さすが松井せんせーだなあ、と。
尊氏はそういった狂気に支えられている。
そして、その狂気を生み出しているのは尊氏なんだろう。
でも、その中で尊氏は「普通」の人間として振る舞い、後醍醐天皇への恭順を語る。
これ、護良親王に「怪物」呼ばわりされてもしかたないよね。
尊氏は何かにとりつかれているのか。
それとも、とりつかせてやっているのか。
護良親王に視えたものが、後醍醐天皇には視えなかったのか……。
ついに尊氏掘り下げ回か、と思ったんだけど、謎が深まっただけだった。
尊氏サイドを『魔人探偵脳嚙ネウロ』のシックスと血族たちの世界に例えるのなら、時行サイドは『暗殺教室』のE組っぽい。
諏訪頼重という師に導かれ、時行たちはすくすくと育っている。
モザイクまみれの玄蕃はアレだけどな。
次回から新展開突入だそうだけど、そろそろ本格的に戦の準備に入るのかな。
巻末ページで松井せんせーが「歴史ものの連載は不安でしたが想定よりも高い評価を頂けて有難い限りです…!」とコメントしてらしてて、「想定より」という言葉のチョイスが松井せんせーっぽいな、と思った。
普通は「期待」とかそういう単語をチョイスするんじゃないかな、って。
ところで「『逃げ上手の若君』松井優征先生に聞いてみた 【第1回】ただただお客さんのために描こう」というインタビュー記事で松井せんせーが澤井先生のアシスタント時代のエピソードを語ってらっしゃるんですが、壮絶すぎて変な笑いが出た。